夢で逢えたら

相沢蒼依

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貴方に逢えたから

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(敦士のヤツ、俺の悪夢のせいで、無駄に悩んでいるんじゃないだろうか――)

 高橋は仕事をしながら頭の片隅で、恋人のことを考えてしまった。他にもドジしがちな敦士の性格を考えると、仕事に穴をあけて、叱られている可能性まで思いついてしまう始末。

“浮気”という言葉まで出して、敦士に試すような質問をされた時点で対処しなければならないのに、思わず躊躇してしまった。

 敦士の心の傷を考えたら、今までのことを素直に吐露して、フォローすべきだったというのに――。

 自分がおこなってきた非道を知り、心底嫌われることを恐れて高橋が口を噤んだせいで、こうして悩むことになろうとは、あのときは思いもしなかった。

「忘れてくださいなんて言われても、気になってしょうがないだろ」

 高橋の小さな呟きは、事務所宛にかかってきた電話の音によってかき消された。だがモヤモヤする気持ちまでは消すことができず、悪いことばかり考えつく。

(とりあえず今日の仕事を早めに終えて、スーパーに寄ろう。敦士の好きなものを作って、ちょっとでも雰囲気を良くしなければ……)

 少しでも関係を良くした上で話し合いをすれば、見限られることなくスムーズに解決できる気がした。

 敦士が納得するような話をしなければと、高橋はいろいろ対応に苦慮したのだった。
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