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貴方に逢えたから
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ベッドが大きく軋む音が聞こえて、敦士は目が覚めた。肩にくっついている大きな背中からぬくもりが伝わってきて、自然と笑みが浮かんでしまう。
こうしていつでも彼に逢えるというのに、夢の中でも逢いたい気持ちがなくなることはなかった。
敦士の予想通り、自分よりも大人な高橋に散々翻弄させられ、どう対処していいか分からず、未だにオドオドしている状態が続いた。そんな情けない姿を高橋は見ているのに、呆れることなく屈託ない笑顔を見せてくれた。
あのあと付き合うと決めてから、無職だった高橋が敦士の住むのマンションに転がり込んだため、ほどなくして一緒に暮らすことになった。その後すぐに就職先を決めた彼と共同生活をして、気がつけば早1ヶ月が経つ。
はじめて肌を重ねたときなんて、恥ずかしさやその他もろもろの気持ちが渦巻き、大変の極みそのものだった。
そして現在、いろんなことで翻弄する魅力的な高橋に、敦士は毎晩手を出さずにはいられなかった。
『おまえは顔に似合わず、絶倫だからな』と宣告されている意味が、痛いくらいに分かってしまい、行為のたびに申し訳なさを感じてしまったが、何度シても全然足りずに、もっともっと求めてしまった。
(緊張しまくる僕の手を取り、柔らかく微笑んだ健吾さんの笑顔を、今でもはっきりと思い出せる)
『夢の中で散々ヤったおまえに、こうしてふたたび手ほどきするとは思いもしなかったが、今回は生身の躰だからな。丁寧に教えてやる』
「高橋さん、よろしくお願いします!」
『おまえもはじめてだろうが、俺もネコになるのははじめてだ。正直不安はいろいろあるが、とりあえず挿入したら俺のことは気にせず、先にイけよ』
高橋にこういう感じで分かりやすくレクチャーされたが、敦士は中に挿れたあまりの気持ちよさに、全部吹っ飛んでしまった。
『うっ、大きぃっ、ンン、あぁ……』
すごくつらそうに眉根を寄せる高橋の姿を目の当たりにしてるのに、敦士は快感を求めてるせいで腰の動きを止めることができず、申し訳なさを感じてしまった。どうにもできない現状に顔を背けながら、上半身に抱きつくしかない。
「高橋さん――」
『ぐ、俺にかま、わず、早く、イって、くれ……』
「でも」
『俺はさっき、おまえに口でしてもらって、気持ちよくしてもらってる、から、気にするな。んっ…は…ぁっ』
喘ぐ呼吸を飲み込むように、敦士は高橋に口づけた。感じさせるなんて真似はできないだろうけど、自分の中にある気持ちが伝わるようにと思いながら、舌を絡める。
最初の数回は悲壮な表情を見せていた高橋も、気持ちよさを覚えていくうちに、敦士が誘う前にバスルームで手を出してきたりして、いい関係を築くことができていると思っていた。
つらそうに顔を歪ませながら、うなされるように呟いた、彼の寝言を聞くまでは――。
こうしていつでも彼に逢えるというのに、夢の中でも逢いたい気持ちがなくなることはなかった。
敦士の予想通り、自分よりも大人な高橋に散々翻弄させられ、どう対処していいか分からず、未だにオドオドしている状態が続いた。そんな情けない姿を高橋は見ているのに、呆れることなく屈託ない笑顔を見せてくれた。
あのあと付き合うと決めてから、無職だった高橋が敦士の住むのマンションに転がり込んだため、ほどなくして一緒に暮らすことになった。その後すぐに就職先を決めた彼と共同生活をして、気がつけば早1ヶ月が経つ。
はじめて肌を重ねたときなんて、恥ずかしさやその他もろもろの気持ちが渦巻き、大変の極みそのものだった。
そして現在、いろんなことで翻弄する魅力的な高橋に、敦士は毎晩手を出さずにはいられなかった。
『おまえは顔に似合わず、絶倫だからな』と宣告されている意味が、痛いくらいに分かってしまい、行為のたびに申し訳なさを感じてしまったが、何度シても全然足りずに、もっともっと求めてしまった。
(緊張しまくる僕の手を取り、柔らかく微笑んだ健吾さんの笑顔を、今でもはっきりと思い出せる)
『夢の中で散々ヤったおまえに、こうしてふたたび手ほどきするとは思いもしなかったが、今回は生身の躰だからな。丁寧に教えてやる』
「高橋さん、よろしくお願いします!」
『おまえもはじめてだろうが、俺もネコになるのははじめてだ。正直不安はいろいろあるが、とりあえず挿入したら俺のことは気にせず、先にイけよ』
高橋にこういう感じで分かりやすくレクチャーされたが、敦士は中に挿れたあまりの気持ちよさに、全部吹っ飛んでしまった。
『うっ、大きぃっ、ンン、あぁ……』
すごくつらそうに眉根を寄せる高橋の姿を目の当たりにしてるのに、敦士は快感を求めてるせいで腰の動きを止めることができず、申し訳なさを感じてしまった。どうにもできない現状に顔を背けながら、上半身に抱きつくしかない。
「高橋さん――」
『ぐ、俺にかま、わず、早く、イって、くれ……』
「でも」
『俺はさっき、おまえに口でしてもらって、気持ちよくしてもらってる、から、気にするな。んっ…は…ぁっ』
喘ぐ呼吸を飲み込むように、敦士は高橋に口づけた。感じさせるなんて真似はできないだろうけど、自分の中にある気持ちが伝わるようにと思いながら、舌を絡める。
最初の数回は悲壮な表情を見せていた高橋も、気持ちよさを覚えていくうちに、敦士が誘う前にバスルームで手を出してきたりして、いい関係を築くことができていると思っていた。
つらそうに顔を歪ませながら、うなされるように呟いた、彼の寝言を聞くまでは――。
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