夢で逢えたら

相沢蒼依

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現の夢

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 高橋は敦士の視野から消えるように空中を浮遊し、大きく息を吸い込んだ。

「ちくしょう! ふざけやがって!」

 目の前にある太陽に思いっきり悪態ついたが、それだけじゃまったく気が収まらなかった。じたんだを踏んでも足元にはなにもないので意味がなく、両手で頭をかきむしってみても、長い髪が無駄にぐちゃぐちゃになるだけだった。

 自分のことを『創造主』と名乗ったアイツ――高橋を夢の番人として作り変えたときに、不特定多数と行為に及ばなければならない仕様にしたのは、現世でおこなっていた高橋の所業を知っていたから。そのことについて、敦士とヤっている最中にやっと気がついた。

(俺が現れるタイミングで、敦士が悪夢を見ることは不可能なんだから、敦士以外のヤツにも抱かれなきゃいけないなんて――)

 高橋がヤる側なら楽しめる行為が逆転した途端に、憂鬱なものに変化した。しかも自分の躰の限界を見極めながら、それなりの相手を探さなければならない。好みじゃない相手と行為をしなければならない躰の事情は、高橋にとって反吐が出るほど嫌なことだった。

「ノンケをその気にさせるだけでも、相当骨が折れるっていうのな。あのクソ創造主め、今度顔を突き合わせたら文句を言ってやる!」

 高橋は少しでも早く元の躰に戻るべく、悪夢を見ている人間を探した。終わりの見えないその仕事にかなりうんざりしながらも、しっかりとこなしたのだった。
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