37 / 74
現の夢
7
しおりを挟む
***
高橋は敦士の視野から消えるように空中を浮遊し、大きく息を吸い込んだ。
「ちくしょう! ふざけやがって!」
目の前にある太陽に思いっきり悪態ついたが、それだけじゃまったく気が収まらなかった。じたんだを踏んでも足元にはなにもないので意味がなく、両手で頭をかきむしってみても、長い髪が無駄にぐちゃぐちゃになるだけだった。
自分のことを『創造主』と名乗ったアイツ――高橋を夢の番人として作り変えたときに、不特定多数と行為に及ばなければならない仕様にしたのは、現世でおこなっていた高橋の所業を知っていたから。そのことについて、敦士とヤっている最中にやっと気がついた。
(俺が現れるタイミングで、敦士が悪夢を見ることは不可能なんだから、敦士以外のヤツにも抱かれなきゃいけないなんて――)
高橋がヤる側なら楽しめる行為が逆転した途端に、憂鬱なものに変化した。しかも自分の躰の限界を見極めながら、それなりの相手を探さなければならない。好みじゃない相手と行為をしなければならない躰の事情は、高橋にとって反吐が出るほど嫌なことだった。
「ノンケをその気にさせるだけでも、相当骨が折れるっていうのな。あのクソ創造主め、今度顔を突き合わせたら文句を言ってやる!」
高橋は少しでも早く元の躰に戻るべく、悪夢を見ている人間を探した。終わりの見えないその仕事にかなりうんざりしながらも、しっかりとこなしたのだった。
高橋は敦士の視野から消えるように空中を浮遊し、大きく息を吸い込んだ。
「ちくしょう! ふざけやがって!」
目の前にある太陽に思いっきり悪態ついたが、それだけじゃまったく気が収まらなかった。じたんだを踏んでも足元にはなにもないので意味がなく、両手で頭をかきむしってみても、長い髪が無駄にぐちゃぐちゃになるだけだった。
自分のことを『創造主』と名乗ったアイツ――高橋を夢の番人として作り変えたときに、不特定多数と行為に及ばなければならない仕様にしたのは、現世でおこなっていた高橋の所業を知っていたから。そのことについて、敦士とヤっている最中にやっと気がついた。
(俺が現れるタイミングで、敦士が悪夢を見ることは不可能なんだから、敦士以外のヤツにも抱かれなきゃいけないなんて――)
高橋がヤる側なら楽しめる行為が逆転した途端に、憂鬱なものに変化した。しかも自分の躰の限界を見極めながら、それなりの相手を探さなければならない。好みじゃない相手と行為をしなければならない躰の事情は、高橋にとって反吐が出るほど嫌なことだった。
「ノンケをその気にさせるだけでも、相当骨が折れるっていうのな。あのクソ創造主め、今度顔を突き合わせたら文句を言ってやる!」
高橋は少しでも早く元の躰に戻るべく、悪夢を見ている人間を探した。終わりの見えないその仕事にかなりうんざりしながらも、しっかりとこなしたのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
50
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる