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virgin suicide :貴方が残してくれたもの
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警察署を出てから、山上先輩が眠っているお墓に来ていた。
「山上先輩……やっとここに来たよ」
胸の奥がきゅっと絞めつけられ、すごく切なくなる。
持ってきたひしゃくで、じゃばじゃばとお墓に水をかけ、黙々と掃除をした俺。スポンジでゴシゴシお墓を擦っていると、何だか山上先輩の広い背中を洗ってるみたいで、つい笑ってしまった。
そして、カサブランカを花立に差す。何の花が好きか分からなかったので、山上先輩に似合いそうな、カサブランカにしたんだ。
掃除道具を片付け、墓前に向かってきちんと合掌してから地面に体育座りして、ゆっくり話しかける。
「山上先輩が追ってた汚職事件。関さんとふたりで、やっと解決したんだよ」
残してくれた資料、とても役に立った。
「山上先輩を撃った被疑者も、捜査一課総出で一斉検問かけて、すぐに捕まったんだ。坊っちゃんの仇討ちだ~とか言って、みんなが必死に捜査したんだよ」
影では悪口を言っていたのに心のどこかで、貴方を認めていたんじゃないかな。
「やっぱ、山上先輩はすごいなぁ……」
膝頭に額を当てて、そっと俯いた。柔らかく微笑んでる、山上先輩の顔が瞼の裏に映る。
俺を愛しそうに見つめてくれる、ふわりと笑った顔――
「こんなすごい人が自分の恋人だったなんて、ホント奇跡みたいな話……俺はドジばかりして、ダメな男、だから」
――今だって、そう――
俺は何をすればいいのか、分からない状態で。無気力とは違う、何かに支配されていた。
心が、身体がずっと、貴方を求めているんだ。悲鳴をあげ続けているんだよ……
「ねぇ、そっちに逝ったら両手を広げて、俺を迎えてくれる?」
山上先輩がいなくなってから、特に夜が淋しくて、身体が冷たくて。いつも甘えるように、貴方は俺に抱きついて寝ていたから。そのぬくもりがないことをひしひしと感じただけで、すごく――
「つらいんだ。死にたくなるほど。つらい、よ……」
「死んだら、山上に叱られるぞ。何やってんだ、このバカ! ――ってな」
顔を上げ声のする方を見ると、そこにはデカ長が苦笑いしながら、こちらに向かって歩いている姿がそこにあった。
「何、山上の墓前で、そんな辛気臭い顔してるんだ。ほらそこ、ちょっと退いてくれや」
慌てて言われた通り退くと、小さくて可愛らしい敷物を、ババッとそこに敷いた。
「娘が幼稚園の時に使ってた、お古なんだよ。水野、ここに座りなさい」
「……失礼、します」
靴を脱いでおずおず座ると、向かい合う形でデカ長も座った。カバンからおもむろに、缶ビールを取り出す。
「なぁ、山上。コイツ酷いんだ。今日は表彰式だってのに、勝手に欠席してよぅ、しかも俺のデスクに辞表を置いて、さっさと出て行きやがったんだ」
言いながら、俺の手に無理矢理、缶ビールを持たせた。
「山上が亡くなってからの一ヶ月半で、水野はえらく成長したと思ったんだけどな。事件が解決しちまったら、一気に何かが抜けてしまったか?」
垂れた目を細めて、優しく微笑むデカ長。俺はどうしていいか分からず、手渡された缶ビールを、じっと見つめた。
「お前さん宛てに、山上から遺言……預かってる」
「えっ!?」
驚いて顔を上げると、デカ長はやるせない顔をして、ぽつりぽつりと語り出す。
「山上が撃たれた直後、俺に電話してきたんだ。遺言、聞いてほしいって」
「山上先輩が……?」
「ああ。水野が刑事辞めないように、引き留めてくれってさ。山上はお前さんのこと、何でもお見通しなんだなぁ」
「辞めないように? どうしてそんなこと……」
「僕が手塩にかけて、育てた時間を無駄にするつもりか水野。って言うんじゃないかね。なぁ山上?」
似てない山上先輩のモノマネして、そっと墓石へ視線を移し、ここにはいない山上先輩に訊ねた。返事なんて、返ってくるハズないのに――
それから困惑しまくりの俺の顔をじっと見て、とてもつらそうに顔を歪ませる。
「山上が最期に……政隆、ありがとうって、囁くように言ってたよ。俺はそれ聞いて、マジ泣きしちまってな。一人きりで逝く山上が、可哀想でならなかったわ」
その言葉を聞いて、俺は下唇を噛んだ。泣かないように強く噛んだのに、止めどなく涙が溢れてきて。
愛してるという言葉より、何故だかすごく――心に響いてしまった。
「山上、せんぱ……」
俺に刑事を辞めるなと言った。貴方の代わりに、刑事を続けろってことなの?
いろんな想いがぶわっと胸の中に詰まって、涙を流しながら嗚咽をあげる俺に、デカ長は優しく頭を撫でてくれた。
「山上が、捜査一課に初めて来たときな。隣にある、マル暴担当に配属されたんだよ。ホストみたいにブランド物のスーツをビシッと着こなして、刑事らしくない雰囲気を、何となくだけど漂わせててさ。初めまして、山上 達哉です。好きな言葉は徴悪です。って言ったのが、印象的だったなぁ」
「うっ……何か、山上先輩らしいですね。勧善懲悪って、言わないトコが」
鼻をグズグズさせながら言うと、大きく頷いた。
その頃の山上先輩は、今と変わらずカッコイイんだろうな。
流れ落ちてくる涙を拭って、しっかりと話を聞いてみる。
「犯人検挙するためには、手段選ばないヤツだったから。持って生まれたセンスも手伝って、手柄と一緒に始末書もたくさん立ててたけどな。実際はその手腕を買われて、三係に引っ張られたんだよ……それと同時に関に頼まれて、所轄の汚職事件の捜査に着手したんだ」
「デカ長は、山上先輩がその事件調べてるの、知っていたんですね」
「始めからじゃないさ。デカ長になって、暫くしてからかな。関に呼び出されて、オーバーワークにならないよう、気をつけてやって欲しいと頼まれた。そのときに、事情を聞いたんだ」
デカ長が空を見上げながら、切なそうな顔をする。
「毎日、きゅうきゅうと仕事してた山上が、水野が来てから変わったなぁ。落ち着いたというか、しおらしくなったというか」
信じられない言葉を聞いて、げぇっと言いながら、眉間にシワを寄せてしまった。
「あの、アレで落ち着いた……と言うんですか?」
「水野が来る前はほぼ毎日、関と始末書について、ケンカばかりしてたから。表向きは、犬猿の仲を演じてただけみたいだが」
デカ長は深いため息をついてから、手に持っている缶ビールのリングプルを引き抜いた。
「水野の表彰、本当は山上と交えて三人で、お祝いしたかったよ。ほら遠慮せずに、いい加減、開けなさい」
「は、はいっ!」
慌てて引き抜いたら、ビールが少し溢れてしまった。
「まったく――山上がいてもいなくても、お前さんのドジっぷりは、しっかり健在だな」
苦笑いしながら俺の手元を、ポケットから出したハンカチで、優しく拭ってくれる。
「すみません……」
「すみませんついでに、これで鼻をかんでおけ」
ポケットティッシュを手渡されたので、頭を下げながら、いそいそ鼻をかんだ。
「……何から何までホントに、すみません……」
俺が謝ると右手に持ってる缶ビールを掲げ、フワッと微笑んだ。その笑顔が、すっごく眩しくて、思わず目を細めてしまう。
「山上の代わりに水野の面倒、見なきゃだからな。お前さんも決めたか? 山上の遺志を継ぐことを、さ」
俺はしっかりとデカ長の目を見てから、同じように缶ビールを掲げた。
「山上先輩の命令は絶対、ですから……。きちんとしなきゃ、あの世から出てきて、祟られちゃうかもですよね?」
俺たちは笑い合いながら、缶ビールをカチンと当てて乾杯をした。
「良かったな、山上。水野が刑事を辞めなくて。当の本人は幽霊でもいいから、逢いたいだろうけど?」
その台詞に、呑んでいたビールを吹いてしまう。
「本当デカ長には、敵いませんね……」
言われたことは事実なので、あえて否定はしない。
「口だけは、山上に負けないな。困ったヤツだ」
困ったと言いながらも、何だか嬉しそうなデカ長。俺はやっと心から、笑うことが出来た。
「水野にとって山上の存在が大きかった分、亡くなって苦しんだかもしれん。だけど大きかったからこそ、それを柱に頑張っていけるよな?」
さっきまで心の中に渦巻いてた無気力や喪失感が、山上先輩の『ありがとう』の言葉で、キレイさっぱり、なくなってしまった。
代わりに芽生えた、頑張らなきゃという新鮮な気持ち。
山上先輩みたいに、カッコイイ刑事にはなれないだろうけど――俺だからこそ何か出来ることがあるんじゃないかって、心の中で思い始めていた。
「はい。デカ長にはたくさん迷惑かけると思いますが、改めて宜しくお願いします!」
俺がそう言うと、胸ポケットから手紙を取り出す。
「じゃあ、これは用済みだな」
俺が書いた辞表を、縦にビリビリと引き裂いてくれた。
「山上以上に厳しく、ばんばんしごいていくから、覚悟しておけ!」
「はい、頑張ります!」
そうして二人で、一気にビールをあおった。
山上先輩が『徴悪』なら、俺は『勧善懲悪』で行こう。勿論、ドジを減らすことは忘れない。
――これでいいよね? 達哉さん。
警察署を出てから、山上先輩が眠っているお墓に来ていた。
「山上先輩……やっとここに来たよ」
胸の奥がきゅっと絞めつけられ、すごく切なくなる。
持ってきたひしゃくで、じゃばじゃばとお墓に水をかけ、黙々と掃除をした俺。スポンジでゴシゴシお墓を擦っていると、何だか山上先輩の広い背中を洗ってるみたいで、つい笑ってしまった。
そして、カサブランカを花立に差す。何の花が好きか分からなかったので、山上先輩に似合いそうな、カサブランカにしたんだ。
掃除道具を片付け、墓前に向かってきちんと合掌してから地面に体育座りして、ゆっくり話しかける。
「山上先輩が追ってた汚職事件。関さんとふたりで、やっと解決したんだよ」
残してくれた資料、とても役に立った。
「山上先輩を撃った被疑者も、捜査一課総出で一斉検問かけて、すぐに捕まったんだ。坊っちゃんの仇討ちだ~とか言って、みんなが必死に捜査したんだよ」
影では悪口を言っていたのに心のどこかで、貴方を認めていたんじゃないかな。
「やっぱ、山上先輩はすごいなぁ……」
膝頭に額を当てて、そっと俯いた。柔らかく微笑んでる、山上先輩の顔が瞼の裏に映る。
俺を愛しそうに見つめてくれる、ふわりと笑った顔――
「こんなすごい人が自分の恋人だったなんて、ホント奇跡みたいな話……俺はドジばかりして、ダメな男、だから」
――今だって、そう――
俺は何をすればいいのか、分からない状態で。無気力とは違う、何かに支配されていた。
心が、身体がずっと、貴方を求めているんだ。悲鳴をあげ続けているんだよ……
「ねぇ、そっちに逝ったら両手を広げて、俺を迎えてくれる?」
山上先輩がいなくなってから、特に夜が淋しくて、身体が冷たくて。いつも甘えるように、貴方は俺に抱きついて寝ていたから。そのぬくもりがないことをひしひしと感じただけで、すごく――
「つらいんだ。死にたくなるほど。つらい、よ……」
「死んだら、山上に叱られるぞ。何やってんだ、このバカ! ――ってな」
顔を上げ声のする方を見ると、そこにはデカ長が苦笑いしながら、こちらに向かって歩いている姿がそこにあった。
「何、山上の墓前で、そんな辛気臭い顔してるんだ。ほらそこ、ちょっと退いてくれや」
慌てて言われた通り退くと、小さくて可愛らしい敷物を、ババッとそこに敷いた。
「娘が幼稚園の時に使ってた、お古なんだよ。水野、ここに座りなさい」
「……失礼、します」
靴を脱いでおずおず座ると、向かい合う形でデカ長も座った。カバンからおもむろに、缶ビールを取り出す。
「なぁ、山上。コイツ酷いんだ。今日は表彰式だってのに、勝手に欠席してよぅ、しかも俺のデスクに辞表を置いて、さっさと出て行きやがったんだ」
言いながら、俺の手に無理矢理、缶ビールを持たせた。
「山上が亡くなってからの一ヶ月半で、水野はえらく成長したと思ったんだけどな。事件が解決しちまったら、一気に何かが抜けてしまったか?」
垂れた目を細めて、優しく微笑むデカ長。俺はどうしていいか分からず、手渡された缶ビールを、じっと見つめた。
「お前さん宛てに、山上から遺言……預かってる」
「えっ!?」
驚いて顔を上げると、デカ長はやるせない顔をして、ぽつりぽつりと語り出す。
「山上が撃たれた直後、俺に電話してきたんだ。遺言、聞いてほしいって」
「山上先輩が……?」
「ああ。水野が刑事辞めないように、引き留めてくれってさ。山上はお前さんのこと、何でもお見通しなんだなぁ」
「辞めないように? どうしてそんなこと……」
「僕が手塩にかけて、育てた時間を無駄にするつもりか水野。って言うんじゃないかね。なぁ山上?」
似てない山上先輩のモノマネして、そっと墓石へ視線を移し、ここにはいない山上先輩に訊ねた。返事なんて、返ってくるハズないのに――
それから困惑しまくりの俺の顔をじっと見て、とてもつらそうに顔を歪ませる。
「山上が最期に……政隆、ありがとうって、囁くように言ってたよ。俺はそれ聞いて、マジ泣きしちまってな。一人きりで逝く山上が、可哀想でならなかったわ」
その言葉を聞いて、俺は下唇を噛んだ。泣かないように強く噛んだのに、止めどなく涙が溢れてきて。
愛してるという言葉より、何故だかすごく――心に響いてしまった。
「山上、せんぱ……」
俺に刑事を辞めるなと言った。貴方の代わりに、刑事を続けろってことなの?
いろんな想いがぶわっと胸の中に詰まって、涙を流しながら嗚咽をあげる俺に、デカ長は優しく頭を撫でてくれた。
「山上が、捜査一課に初めて来たときな。隣にある、マル暴担当に配属されたんだよ。ホストみたいにブランド物のスーツをビシッと着こなして、刑事らしくない雰囲気を、何となくだけど漂わせててさ。初めまして、山上 達哉です。好きな言葉は徴悪です。って言ったのが、印象的だったなぁ」
「うっ……何か、山上先輩らしいですね。勧善懲悪って、言わないトコが」
鼻をグズグズさせながら言うと、大きく頷いた。
その頃の山上先輩は、今と変わらずカッコイイんだろうな。
流れ落ちてくる涙を拭って、しっかりと話を聞いてみる。
「犯人検挙するためには、手段選ばないヤツだったから。持って生まれたセンスも手伝って、手柄と一緒に始末書もたくさん立ててたけどな。実際はその手腕を買われて、三係に引っ張られたんだよ……それと同時に関に頼まれて、所轄の汚職事件の捜査に着手したんだ」
「デカ長は、山上先輩がその事件調べてるの、知っていたんですね」
「始めからじゃないさ。デカ長になって、暫くしてからかな。関に呼び出されて、オーバーワークにならないよう、気をつけてやって欲しいと頼まれた。そのときに、事情を聞いたんだ」
デカ長が空を見上げながら、切なそうな顔をする。
「毎日、きゅうきゅうと仕事してた山上が、水野が来てから変わったなぁ。落ち着いたというか、しおらしくなったというか」
信じられない言葉を聞いて、げぇっと言いながら、眉間にシワを寄せてしまった。
「あの、アレで落ち着いた……と言うんですか?」
「水野が来る前はほぼ毎日、関と始末書について、ケンカばかりしてたから。表向きは、犬猿の仲を演じてただけみたいだが」
デカ長は深いため息をついてから、手に持っている缶ビールのリングプルを引き抜いた。
「水野の表彰、本当は山上と交えて三人で、お祝いしたかったよ。ほら遠慮せずに、いい加減、開けなさい」
「は、はいっ!」
慌てて引き抜いたら、ビールが少し溢れてしまった。
「まったく――山上がいてもいなくても、お前さんのドジっぷりは、しっかり健在だな」
苦笑いしながら俺の手元を、ポケットから出したハンカチで、優しく拭ってくれる。
「すみません……」
「すみませんついでに、これで鼻をかんでおけ」
ポケットティッシュを手渡されたので、頭を下げながら、いそいそ鼻をかんだ。
「……何から何までホントに、すみません……」
俺が謝ると右手に持ってる缶ビールを掲げ、フワッと微笑んだ。その笑顔が、すっごく眩しくて、思わず目を細めてしまう。
「山上の代わりに水野の面倒、見なきゃだからな。お前さんも決めたか? 山上の遺志を継ぐことを、さ」
俺はしっかりとデカ長の目を見てから、同じように缶ビールを掲げた。
「山上先輩の命令は絶対、ですから……。きちんとしなきゃ、あの世から出てきて、祟られちゃうかもですよね?」
俺たちは笑い合いながら、缶ビールをカチンと当てて乾杯をした。
「良かったな、山上。水野が刑事を辞めなくて。当の本人は幽霊でもいいから、逢いたいだろうけど?」
その台詞に、呑んでいたビールを吹いてしまう。
「本当デカ長には、敵いませんね……」
言われたことは事実なので、あえて否定はしない。
「口だけは、山上に負けないな。困ったヤツだ」
困ったと言いながらも、何だか嬉しそうなデカ長。俺はやっと心から、笑うことが出来た。
「水野にとって山上の存在が大きかった分、亡くなって苦しんだかもしれん。だけど大きかったからこそ、それを柱に頑張っていけるよな?」
さっきまで心の中に渦巻いてた無気力や喪失感が、山上先輩の『ありがとう』の言葉で、キレイさっぱり、なくなってしまった。
代わりに芽生えた、頑張らなきゃという新鮮な気持ち。
山上先輩みたいに、カッコイイ刑事にはなれないだろうけど――俺だからこそ何か出来ることがあるんじゃないかって、心の中で思い始めていた。
「はい。デカ長にはたくさん迷惑かけると思いますが、改めて宜しくお願いします!」
俺がそう言うと、胸ポケットから手紙を取り出す。
「じゃあ、これは用済みだな」
俺が書いた辞表を、縦にビリビリと引き裂いてくれた。
「山上以上に厳しく、ばんばんしごいていくから、覚悟しておけ!」
「はい、頑張ります!」
そうして二人で、一気にビールをあおった。
山上先輩が『徴悪』なら、俺は『勧善懲悪』で行こう。勿論、ドジを減らすことは忘れない。
――これでいいよね? 達哉さん。
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