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番外編
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♡♡♡
しょっぱなから松尾がビールを飲むペースが速かったので、酔った勢いで一夜を共にする羽目になるかもしれないと考えた。こうして男の下心をくすぐる女は、数知れずいる――正直なところ、そういう女には興味ないので、松尾も同じことをしてくるようだったら、お付き合いを断ろうと思っていた。しかし――。
「元彼と付き合いはじめたときは、すっごく優しかったんです。それなのにいつの間にかLINEの数は増えていき、気に入らないことがあったら目の前で物に当たられたり、恐怖しか感じなくなってしまったんですけど」
ピッチが速かった松尾は、話しながらビールを飲むペースを落としていった。きちんとコントロールしている姿に感心していたが、話す内容がいかんせんハードすぎて、リアクションに大変困ってしまったのである。
「私と連絡がつかなかったときは、必ずスマホをチェックされたり、本当に友達と一緒だったか、電話されて裏をとられたり」
「あ~元彼は、結構しっかりした奴だったんだな。しっかり度がいき過ぎてるとは思うが」
ビールで口内を潤しながら、しどろもどろに返答するしかなかった。
「スマホ、何台破壊されたっけ……」
遠い目をして思い出し笑いしている松尾を、憐れみを含んだ目で眺める。
元彼から暴力を受けていないことは、俺から不意に触れたときの松尾のリアクションで、されていないことが判明していた。もし暴力を受けていたら、俺の挙動に驚き、手を叩いたり体をビクつかせるなど、あからさまな拒否反応を示すだろう。
しかも松尾が赤面するようなことを、俺がわざと言ったり行動したときの反応も初心すぎることにより、元彼から大切に扱われていなかったことが推測できた。
「俺が仕事ばかりに、気を取られていたせいだろうな。灯台下暗しとはこのことだ」
「佐々木先輩、なんのことですか?」
「こっちのこと。松尾に声をかけてもらえてよかったと思ってさ」
「私もです。今まで元彼に束縛された分を発散しようと、ぶらぶらしていて、すっごくラッキーでした。まさか佐々木先輩に、悲惨な話を聞いてもらえるなんて」
嬉しそうに言った松尾は、すごく美味しそうにビールを飲み干した。見ているだけで自然と和んでしまう、居心地の良さを再確認したところで、俺の中で松尾と付き合おうという気持ちにシフトチェンジした。
コイツが自然体でいられる彼氏になるには、俺はどうしたらいいんだろうな。
しょっぱなから松尾がビールを飲むペースが速かったので、酔った勢いで一夜を共にする羽目になるかもしれないと考えた。こうして男の下心をくすぐる女は、数知れずいる――正直なところ、そういう女には興味ないので、松尾も同じことをしてくるようだったら、お付き合いを断ろうと思っていた。しかし――。
「元彼と付き合いはじめたときは、すっごく優しかったんです。それなのにいつの間にかLINEの数は増えていき、気に入らないことがあったら目の前で物に当たられたり、恐怖しか感じなくなってしまったんですけど」
ピッチが速かった松尾は、話しながらビールを飲むペースを落としていった。きちんとコントロールしている姿に感心していたが、話す内容がいかんせんハードすぎて、リアクションに大変困ってしまったのである。
「私と連絡がつかなかったときは、必ずスマホをチェックされたり、本当に友達と一緒だったか、電話されて裏をとられたり」
「あ~元彼は、結構しっかりした奴だったんだな。しっかり度がいき過ぎてるとは思うが」
ビールで口内を潤しながら、しどろもどろに返答するしかなかった。
「スマホ、何台破壊されたっけ……」
遠い目をして思い出し笑いしている松尾を、憐れみを含んだ目で眺める。
元彼から暴力を受けていないことは、俺から不意に触れたときの松尾のリアクションで、されていないことが判明していた。もし暴力を受けていたら、俺の挙動に驚き、手を叩いたり体をビクつかせるなど、あからさまな拒否反応を示すだろう。
しかも松尾が赤面するようなことを、俺がわざと言ったり行動したときの反応も初心すぎることにより、元彼から大切に扱われていなかったことが推測できた。
「俺が仕事ばかりに、気を取られていたせいだろうな。灯台下暗しとはこのことだ」
「佐々木先輩、なんのことですか?」
「こっちのこと。松尾に声をかけてもらえてよかったと思ってさ」
「私もです。今まで元彼に束縛された分を発散しようと、ぶらぶらしていて、すっごくラッキーでした。まさか佐々木先輩に、悲惨な話を聞いてもらえるなんて」
嬉しそうに言った松尾は、すごく美味しそうにビールを飲み干した。見ているだけで自然と和んでしまう、居心地の良さを再確認したところで、俺の中で松尾と付き合おうという気持ちにシフトチェンジした。
コイツが自然体でいられる彼氏になるには、俺はどうしたらいいんだろうな。
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