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優しさに溺れる夜
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『今夜は、寝かさないかもしれないぞ?』という俊哉さんのセリフが、お風呂に入ってからも頭の中でずっとこだましていた。
(寝かさないって、一晩かけてトランプするわけないし、テレビを見続けるなんてもっとないよね。俊哉さんのしている仕事の話なんて、さっきまでの会話でもなかったんだから、絶対にありえないわけで――)
残された選択肢は一択しかない。まだ見ていない扉の閉ざされた寝室――そこでおこなわれるであろう行為に胸が弾みすぎて、長湯できそうになかった。
会社の階段下でされたキスだけで、すごく感じてしまってどうにかなりそうだったのに、それよりも進んだことをされるのを考えるともう、なんていうか表現できないむず痒さというか、モヤモヤというかムラムラというか。
とにかく落ち着けなかったこともあり、お風呂を早々に出る。のぼせるほどお湯に浸かっていないのに、あれこれ考えすぎてしまって、頭の中はすでにのぼせた状態だった。
「あれ、これはいったい?」
あらかじめ下着と一緒に部屋着を持参していたのだけれど、用意していた服の上に、謎の物が置かれていた。
体の水滴を拭い終えてから、手に取って謎の物を広げてみると。
「こっ、こここここ……これはっ!」
思わず大声をあげそうになり、慌てて口を噤んだ。それを眺めるだけで、顔が赤くなるのがわかる。
謎の物の付与を、俊哉さんに施されてしまった。『パジャマはいらないからな』の意味が、目に見えて理解できてしまう。俊哉さんがいるリビングとそれに、意味なく視線を送ってしまった。
(俊哉さんの彼シャツぅ~! これを私に着ろというの!? ちょっと待って、シャツの丈の長さはどれくらい……)
恐るおそる体に合わせてみると、丈は私の太ももの真ん中くらいの長さがあった。ギリギリじゃなくて、本当になによりだけど。
「俊哉さんのシャツを羽織るだけで、なんか緊張しちゃうな。しかも着てるところを見られるのも、恥かしい感じがするし」
ぶつぶつ独り言を言いながら、自分が着ているところを、洗面台の鏡でしっかり確認してみた。私の体形にはぶかぶかな俊哉さんのシャツ。当然萌え袖になっているし、あまり見せたくない両足も、いつも以上に露出した状態だった。
濡れた髪をそのままに、諦めた気持ちを抱えて、俊哉さんのいるリビングに顔を出す。
「笑美、ちゃんとあたたまったのか?」
ソファに座ってなにかを読んでいた俊哉さんが、にこやかに近づいて私をしげしげと眺める。その視線が体中にチクチク突き刺さった。
『今夜は、寝かさないかもしれないぞ?』という俊哉さんのセリフが、お風呂に入ってからも頭の中でずっとこだましていた。
(寝かさないって、一晩かけてトランプするわけないし、テレビを見続けるなんてもっとないよね。俊哉さんのしている仕事の話なんて、さっきまでの会話でもなかったんだから、絶対にありえないわけで――)
残された選択肢は一択しかない。まだ見ていない扉の閉ざされた寝室――そこでおこなわれるであろう行為に胸が弾みすぎて、長湯できそうになかった。
会社の階段下でされたキスだけで、すごく感じてしまってどうにかなりそうだったのに、それよりも進んだことをされるのを考えるともう、なんていうか表現できないむず痒さというか、モヤモヤというかムラムラというか。
とにかく落ち着けなかったこともあり、お風呂を早々に出る。のぼせるほどお湯に浸かっていないのに、あれこれ考えすぎてしまって、頭の中はすでにのぼせた状態だった。
「あれ、これはいったい?」
あらかじめ下着と一緒に部屋着を持参していたのだけれど、用意していた服の上に、謎の物が置かれていた。
体の水滴を拭い終えてから、手に取って謎の物を広げてみると。
「こっ、こここここ……これはっ!」
思わず大声をあげそうになり、慌てて口を噤んだ。それを眺めるだけで、顔が赤くなるのがわかる。
謎の物の付与を、俊哉さんに施されてしまった。『パジャマはいらないからな』の意味が、目に見えて理解できてしまう。俊哉さんがいるリビングとそれに、意味なく視線を送ってしまった。
(俊哉さんの彼シャツぅ~! これを私に着ろというの!? ちょっと待って、シャツの丈の長さはどれくらい……)
恐るおそる体に合わせてみると、丈は私の太ももの真ん中くらいの長さがあった。ギリギリじゃなくて、本当になによりだけど。
「俊哉さんのシャツを羽織るだけで、なんか緊張しちゃうな。しかも着てるところを見られるのも、恥かしい感じがするし」
ぶつぶつ独り言を言いながら、自分が着ているところを、洗面台の鏡でしっかり確認してみた。私の体形にはぶかぶかな俊哉さんのシャツ。当然萌え袖になっているし、あまり見せたくない両足も、いつも以上に露出した状態だった。
濡れた髪をそのままに、諦めた気持ちを抱えて、俊哉さんのいるリビングに顔を出す。
「笑美、ちゃんとあたたまったのか?」
ソファに座ってなにかを読んでいた俊哉さんが、にこやかに近づいて私をしげしげと眺める。その視線が体中にチクチク突き刺さった。
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