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番外編
作戦
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成臣くんに断られて、数日が経った。仕事中もモヤモヤしっぱなしで、消化不良中。このままなにもしなかったら、はじまらないどころか、むこうからも絶対に声をかけてくれないのは明白!
それがわかりきっているからこそ、自分から動かなければならない。
春菜を取り押さえたときに、成臣くんの職場の上司がすぐにかけつけてくれた。そして私に名刺を渡して、成臣くんが運ばれた病院に慌ただしく去って行ったのだけれど。
デスクに置いた名刺のお洒落なフォントの文字に、目を走らせる。
臥龍岡全――一目見たときから、誰だかすぐにわかった。大学時代に、いつも成臣くんの隣にいた男のコ。厳つい顔をしていたため、柔らかな雰囲気の成臣くんとは真逆のタイプで、下手をすると、成臣くんの要人警護をしているみたいにみえなくもなかった。
そんな彼が、今は成臣くんの上司になっているなんて、思いもよらず。もしかしたら、成臣くんが恋愛を拒否する理由を知っている可能性だってある。
「使えるものは、なんだって使わないと。人生の残された時間は決まってる。仕事で忙殺されて、そのままでいるなんて、絶対にもったいない!」
ずっと声をかけられなくて過ぎ去ってしまった日々は、あまりにもったいなく、後悔ばかりしていた。この先も同じような気持ちで過ごしたくないと思ったら、利き手が臥龍岡先輩の連絡先をプッシュした。
数コール目でつながるラインで挨拶をかわし、思いきって今まであった出来事を喋った。
『やっぱりねぇ。そういうことだったの、理解理解! 私としても下調べはついていたんだけど、千草ちゃんが告ってるところまでは追いついてなかったわ』
「そうでしたか。やっぱり成臣くんのことを、気にしていたんですね」
『ねぇ、ちょっとしたアイデアが閃いたんだけど、ノってみない?』
臥龍岡先輩は受話器のむこう側で楽しそうにいい放ち、閃いたアイデアを口にした。私は二つ返事で承諾して、成臣くんを落とす作戦に着手することになったのだった。
それがわかりきっているからこそ、自分から動かなければならない。
春菜を取り押さえたときに、成臣くんの職場の上司がすぐにかけつけてくれた。そして私に名刺を渡して、成臣くんが運ばれた病院に慌ただしく去って行ったのだけれど。
デスクに置いた名刺のお洒落なフォントの文字に、目を走らせる。
臥龍岡全――一目見たときから、誰だかすぐにわかった。大学時代に、いつも成臣くんの隣にいた男のコ。厳つい顔をしていたため、柔らかな雰囲気の成臣くんとは真逆のタイプで、下手をすると、成臣くんの要人警護をしているみたいにみえなくもなかった。
そんな彼が、今は成臣くんの上司になっているなんて、思いもよらず。もしかしたら、成臣くんが恋愛を拒否する理由を知っている可能性だってある。
「使えるものは、なんだって使わないと。人生の残された時間は決まってる。仕事で忙殺されて、そのままでいるなんて、絶対にもったいない!」
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数コール目でつながるラインで挨拶をかわし、思いきって今まであった出来事を喋った。
『やっぱりねぇ。そういうことだったの、理解理解! 私としても下調べはついていたんだけど、千草ちゃんが告ってるところまでは追いついてなかったわ』
「そうでしたか。やっぱり成臣くんのことを、気にしていたんですね」
『ねぇ、ちょっとしたアイデアが閃いたんだけど、ノってみない?』
臥龍岡先輩は受話器のむこう側で楽しそうにいい放ち、閃いたアイデアを口にした。私は二つ返事で承諾して、成臣くんを落とす作戦に着手することになったのだった。
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