8 / 126
冴木学の場合
3
しおりを挟む
♡♡♡
村田先輩のツテで、以前勤めていた会社の関連企業に再就職した私は、一人暮らしをはじめた。いつまでも親に頼ってばかりもいられないし、なにより学くんとふたりきりの時間を作りたかったのもある。
(あーあ。仕事が忙しくて助かるなんて、なんだかなぁ……)
あれは引越ししてから、数日経ったときのこと。働きながらだと、なかなか思うように荷物の片付けができなくて、見かねた学くんが手伝いに来てくれた日だった。
『美羽姉、これはどこにしまえばいい?』
「あ、それね、クローゼットの棚にあげて欲しい箱なんだ。高いところに置くものだったから、後まわしにしちゃった」
『それって俺の仕事を、わざわざ残してくれた感じ?』
嬉しそうに瞳を細めた学くんは、指定されたところに荷物を置く。そんな彼の背中を立ったまま、なんとはなしに眺めた。
キス以上のことをしない、学くんとの関係――それをどうやって、その先に進ませるか。いつもは相手にまかせていたので、自然と深い関係になれたのだけれど、今さらこんなことで頭を悩ませることになるとは、思いもしなかった。
『おいおい美羽姉、手が止まってる。だから片付かないんだぞ』
「そ、そうだね。学くんとふたりきりだなぁって考えたら、つい……」
着ているTシャツの裾を両手で握ってモジモジしたら、学くんが傍にやって来た。
『そんなことを考えるなんて、美羽姉は意外とエッチだったんだ?』
私を見下ろす学くんの瞳の感じが、がらりと変わった。学くんを意識してから、ときどき物欲しそうなまなざしを向けられていることに気づいた。付き合ってからは、その回数が顕著に増えている。
「ちがっ、ううっ……その、学くんのキスが最近うまくなってて、感じてしまうというか」
粘り気を感じさせる視線にあたふたしたせいで、変なことを言ってしまい、思いっきり墓穴を掘った。
『……ホントに?』
大きな両手が私の頬を包み込み、彷徨う視線を学くんに固定させた。注がれる視線に自分の視線を合わせながら、思いきって告げてみる。
「感じたついでに、シてもいいかなって……」
『へっ?』
「ま、学くんに抱かれたいっ!」
あまりの恥ずかしさに、このときはまぶたを閉じてしまった。大きな手に包まれてる頬もムダに熱くて、顔が赤くなってるのがわかりすぎる。
『美羽、すごくかわいい』
学くんはぎゅっと閉じたまぶたにキスをしてから、優しく唇を塞ぐ。やんわりと挿入してきた学くんの舌に、自分の舌を絡ませた。求めるように蠢く舌に、どんどん感じさせられてしまう。
「ンン、ぁあっ」
鼻にかかったような甘い声を出すと、頬を包んでいた両手が外され、肩と腰に腕が回された。私も学くんのシャツを掴んで自分から唇を押しつけ、密着度をあげる。
「はぁはあ、んあっ」
互いに顔を離したら、顔を真横に向けた学くんが私の首筋にむしゃぶりつき、チリッとした痛みを与えた。耳に聞こる呼吸音で、すごく興奮しているのが伝わってくる。
村田先輩のツテで、以前勤めていた会社の関連企業に再就職した私は、一人暮らしをはじめた。いつまでも親に頼ってばかりもいられないし、なにより学くんとふたりきりの時間を作りたかったのもある。
(あーあ。仕事が忙しくて助かるなんて、なんだかなぁ……)
あれは引越ししてから、数日経ったときのこと。働きながらだと、なかなか思うように荷物の片付けができなくて、見かねた学くんが手伝いに来てくれた日だった。
『美羽姉、これはどこにしまえばいい?』
「あ、それね、クローゼットの棚にあげて欲しい箱なんだ。高いところに置くものだったから、後まわしにしちゃった」
『それって俺の仕事を、わざわざ残してくれた感じ?』
嬉しそうに瞳を細めた学くんは、指定されたところに荷物を置く。そんな彼の背中を立ったまま、なんとはなしに眺めた。
キス以上のことをしない、学くんとの関係――それをどうやって、その先に進ませるか。いつもは相手にまかせていたので、自然と深い関係になれたのだけれど、今さらこんなことで頭を悩ませることになるとは、思いもしなかった。
『おいおい美羽姉、手が止まってる。だから片付かないんだぞ』
「そ、そうだね。学くんとふたりきりだなぁって考えたら、つい……」
着ているTシャツの裾を両手で握ってモジモジしたら、学くんが傍にやって来た。
『そんなことを考えるなんて、美羽姉は意外とエッチだったんだ?』
私を見下ろす学くんの瞳の感じが、がらりと変わった。学くんを意識してから、ときどき物欲しそうなまなざしを向けられていることに気づいた。付き合ってからは、その回数が顕著に増えている。
「ちがっ、ううっ……その、学くんのキスが最近うまくなってて、感じてしまうというか」
粘り気を感じさせる視線にあたふたしたせいで、変なことを言ってしまい、思いっきり墓穴を掘った。
『……ホントに?』
大きな両手が私の頬を包み込み、彷徨う視線を学くんに固定させた。注がれる視線に自分の視線を合わせながら、思いきって告げてみる。
「感じたついでに、シてもいいかなって……」
『へっ?』
「ま、学くんに抱かれたいっ!」
あまりの恥ずかしさに、このときはまぶたを閉じてしまった。大きな手に包まれてる頬もムダに熱くて、顔が赤くなってるのがわかりすぎる。
『美羽、すごくかわいい』
学くんはぎゅっと閉じたまぶたにキスをしてから、優しく唇を塞ぐ。やんわりと挿入してきた学くんの舌に、自分の舌を絡ませた。求めるように蠢く舌に、どんどん感じさせられてしまう。
「ンン、ぁあっ」
鼻にかかったような甘い声を出すと、頬を包んでいた両手が外され、肩と腰に腕が回された。私も学くんのシャツを掴んで自分から唇を押しつけ、密着度をあげる。
「はぁはあ、んあっ」
互いに顔を離したら、顔を真横に向けた学くんが私の首筋にむしゃぶりつき、チリッとした痛みを与えた。耳に聞こる呼吸音で、すごく興奮しているのが伝わってくる。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
隠れドS上司の過剰な溺愛には逆らえません
如月 そら
恋愛
旧題:隠れドS上司はTL作家を所望する!
【書籍化】
2023/5/17 『隠れドS上司の過剰な溺愛には逆らえません』としてエタニティブックス様より書籍化❤️
たくさんの応援のお陰です❣️✨感謝です(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)
🍀WEB小説作家の小島陽菜乃はいわゆるTL作家だ。
けれど、最近はある理由から評価が低迷していた。それは未経験ゆえのリアリティのなさ。
さまざまな資料を駆使し執筆してきたものの、評価が辛いのは否定できない。
そんな時、陽菜乃は会社の倉庫で上司が同僚といたしているのを見てしまう。
「隠れて覗き見なんてしてたら、興奮しないか?」
真面目そうな上司だと思っていたのに︎!!
……でもちょっと待って。 こんなに慣れているのなら教えてもらえばいいんじゃないの!?
けれど上司の森野英は慣れているなんてもんじゃなくて……!?
※普段より、ややえちえち多めです。苦手な方は避けてくださいね。(えちえち多めなんですけど、可愛くてきゅんなえちを目指しました✨)
※くれぐれも!くれぐれもフィクションです‼️( •̀ω•́ )✧
※感想欄がネタバレありとなっておりますので注意⚠️です。感想は大歓迎です❣️ありがとうございます(*ᴗˬᴗ)💕
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
羽村美海
恋愛
古式ゆかしき華道の家元のお嬢様である美桜は、ある事情から、家をもりたてる駒となれるよう厳しく育てられてきた。
とうとうその日を迎え、見合いのため格式高い高級料亭の一室に赴いていた美桜は貞操の危機に見舞われる。
そこに現れた男により救われた美桜だったが、それがきっかけで思いがけない展開にーー
住む世界が違い、交わることのなかったはずの尊の不器用な優しさに触れ惹かれていく美桜の行き着く先は……?
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
✧天澤美桜•20歳✧
古式ゆかしき華道の家元の世間知らずな鳥籠のお嬢様
✧九條 尊•30歳✧
誰もが知るIT企業の経営者だが、実は裏社会の皇帝として畏れられている日本最大の極道組織泣く子も黙る極心会の若頭
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
*西雲ササメ様より素敵な表紙をご提供頂きました✨
※TL小説です。設定上強引な展開もあるので閲覧にはご注意ください。
※設定や登場する人物、団体、グループの名称等全てフィクションです。
※随時概要含め本文の改稿や修正等をしています。
✧
✧連載期間22.4.29〜22.7.7 ✧
✧22.3.14 エブリスタ様にて先行公開✧
【第15回らぶドロップス恋愛小説コンテスト一次選考通過作品です。コンテストの結果が出たので再公開しました。※エブリスタ様限定でヤス視点のSS公開中】
ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?
春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。
しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。
美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……?
2021.08.13
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる