28 / 35
恋のマッチアップ番外編 膠着状態7
しおりを挟む
「いやいや! 俺の愛の告白に、顔を真っ赤にしたじゃん! 全然落ち着いてなかったって」
「好き好き言われ慣れていないからだよ。しかも加賀屋は、なにか誤魔化そうとするときに限って、この言葉を使ってるような気がしてならない」
「そんなことないっ! 俺は笹良が好きなんだ、誰にも負けないくらい大好きだ!!」
「言えば言うほど、墓穴を掘ってる。なおさら信ぴょう性が感じられない上に、俺の気を逸らして話を変えようとしてるだろ?」
互いに一歩も引かない口論が続く。俺は意地でも負けないぞという気持ちを込めて、加賀屋を睨みつけた。
「笹良を好きな気持ちを、可視化できないのが悔しい……。どうすればわかってくれるんだ」
力任せに黄金のレフティが手の中から引き抜かれ、いきなり俺の首根っこを掴む。
「ちょっ、加賀屋っ」
さっきまでへばっていたのに、そんなことを感じさせない腕力で、俺の顔を加賀屋にぐぐっと近づけた。
「笹良の元気、少し分けて」
「いや待て、もうかなり元気になってるだろ!」
「黙ってキスしろよ、早く」
ギリギリのラインで、加賀屋の腕の力が抜かれる。あとは俺から、目の前にある唇に触れればいいだけにされてしまった。
「しょうがないな……」
憧れてる加賀屋だからじゃなく、それなりに気になる存在だったし、こんなことで元気になるんだったらと考え、自分からキスをした。この間のように失敗せずに、加賀屋の存在をしっかり感じるキスになった。
「キス、うまくなってるじゃん」
ほんのりと唇に残る加賀屋の熱。それを逃したくなくて、少しだけ唇を噛みしめる。そんな心情を悟られないように、眉根を寄せながら口を開いた。
「あんな失敗は痛いし、もうしたくない」
「だけどもう少し、熱烈なのが良かったなぁ」
こんなところで、キスするだけでもヒヤヒヤものなのに、熱烈なんてそんなの――。
「加賀谷には空気を読むことと、羞恥心というものを自覚してほしい。ここは外なんだぞ!」
見るからにさっきよりも元気になったので、加賀屋の頭を膝から落としてやる。
「笹良のケチ。久しぶりに逢えたんだから、ちょっとくらいイチャイチャしたっていいじゃん」
落とされたまま、ブーたれた顔で他にも文句を言う加賀屋に呆れ果てたので、逃げるように立ち上がった。
「加賀屋を心配して損した。もう帰る!」
「待ってくれ。肩を貸してもらわなきゃ帰れない……」
コートに横たわった状態で、俺に向かって両腕を差し出す。
「は?」
「実は体力が底をついちゃって、動けなくなった」
「呆れた……。なにやってんだよ、本当に」
仕方なく加賀屋に肩を貸して、アパートに連れ帰ることになった。躰にかかる重さに辟易したけど、加賀屋と逢えなかったときよりも心が弾む――。
「好き好き言われ慣れていないからだよ。しかも加賀屋は、なにか誤魔化そうとするときに限って、この言葉を使ってるような気がしてならない」
「そんなことないっ! 俺は笹良が好きなんだ、誰にも負けないくらい大好きだ!!」
「言えば言うほど、墓穴を掘ってる。なおさら信ぴょう性が感じられない上に、俺の気を逸らして話を変えようとしてるだろ?」
互いに一歩も引かない口論が続く。俺は意地でも負けないぞという気持ちを込めて、加賀屋を睨みつけた。
「笹良を好きな気持ちを、可視化できないのが悔しい……。どうすればわかってくれるんだ」
力任せに黄金のレフティが手の中から引き抜かれ、いきなり俺の首根っこを掴む。
「ちょっ、加賀屋っ」
さっきまでへばっていたのに、そんなことを感じさせない腕力で、俺の顔を加賀屋にぐぐっと近づけた。
「笹良の元気、少し分けて」
「いや待て、もうかなり元気になってるだろ!」
「黙ってキスしろよ、早く」
ギリギリのラインで、加賀屋の腕の力が抜かれる。あとは俺から、目の前にある唇に触れればいいだけにされてしまった。
「しょうがないな……」
憧れてる加賀屋だからじゃなく、それなりに気になる存在だったし、こんなことで元気になるんだったらと考え、自分からキスをした。この間のように失敗せずに、加賀屋の存在をしっかり感じるキスになった。
「キス、うまくなってるじゃん」
ほんのりと唇に残る加賀屋の熱。それを逃したくなくて、少しだけ唇を噛みしめる。そんな心情を悟られないように、眉根を寄せながら口を開いた。
「あんな失敗は痛いし、もうしたくない」
「だけどもう少し、熱烈なのが良かったなぁ」
こんなところで、キスするだけでもヒヤヒヤものなのに、熱烈なんてそんなの――。
「加賀谷には空気を読むことと、羞恥心というものを自覚してほしい。ここは外なんだぞ!」
見るからにさっきよりも元気になったので、加賀屋の頭を膝から落としてやる。
「笹良のケチ。久しぶりに逢えたんだから、ちょっとくらいイチャイチャしたっていいじゃん」
落とされたまま、ブーたれた顔で他にも文句を言う加賀屋に呆れ果てたので、逃げるように立ち上がった。
「加賀屋を心配して損した。もう帰る!」
「待ってくれ。肩を貸してもらわなきゃ帰れない……」
コートに横たわった状態で、俺に向かって両腕を差し出す。
「は?」
「実は体力が底をついちゃって、動けなくなった」
「呆れた……。なにやってんだよ、本当に」
仕方なく加賀屋に肩を貸して、アパートに連れ帰ることになった。躰にかかる重さに辟易したけど、加賀屋と逢えなかったときよりも心が弾む――。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる