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第7話
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「加賀谷のすごさを偉そうに語られても、話がさっぱり見えないんだけど」
「好きなんだ」
自分の両手を胸の前で握りしめながら、頬を染めて告白されても、最初のくだりがあるため、そこまでドキドキせずに済んだ。
(バカと天才紙一重って言うけど、加賀谷ってばまんまおバカじゃないか)
「あのさ、最初に言ったよな。深い意味はないって。それなのに同じ言葉を使うのは、どう考えてもおかしいだろう?」
呆れながら指摘すると、難しそうな表情を浮かべて下唇を噛みしめる。
「加賀谷が答えないなら、俺はもう帰る。貴重な時間を無駄にしたくない」
妙な沈黙に耐えきれず、踵を返して体育館を出て行こうとした瞬間に、腕を掴んで引止められてしまった。
「待ってくれ、答えたいんだ。答えたいのに、笹良が満足するような答えが見つからなくて」
「頭のいい加賀谷が答えられないなんて、ものすごい難題なんだな」
「ああ。考えれば考えるほどに、わけがわからなくなってくる。おまえのシュートする姿を見て、最近では勃っちゃって」
「ちょっ、それは……」
掴まれていた腕を、慌てて振り解いた。じりじりと後退りをして、加賀谷との距離をとる。
「笹良がシュートを外したあとに、苦しそうな顔をしているのを見たら、妙にクるものがあってさ」
左手をぎゅっと握りしめながら熱く語られても、内容が気持ち悪いものなので、当然同調できるはずがない。
「加賀谷に告白されただけでもぞくっとしたのに、それ以上の何とも言えない、躰の事情を説明されながら迫られる、俺の身にもなってくれよ」
「わかってる。俺だって正直なところ嫌なんだ。同性相手にこんなことになるなんて」
「そうか……」
(もしや神様がすべてを兼ね備えた加賀谷を狂わせるために、ゲイになる操作をしたんじゃないだろうか)
「だからいろいろ考えた。笹良がシュートを外さなければ、俺は勃起しなくて済むんじゃないかって」
「は?」
どうしてそんな答えに着地したんだ、やっぱりバカなヤツ。
「笹良はいつから、シュートを外すようになったんだ? 教えてくれ」
ひどく神妙な顔つきで、後退った分だけ迫ってくる。プレッシャーを与えるような雰囲気に飲まれないようにしながら、ふたたび後退ると、背中に壁が当たった。
「逃げるなって、答えろよ」
「ひいぃ!」
言葉と一緒に突き立てられた加賀谷の両腕を見て、思わず悲鳴をあげてしまった。逃げ道を塞がれた恐怖で、躰が自然と震えてしまう。
「あ、悪い。怖がらせるつもりはなかった」
躰をぶるぶる震わせる俺の姿を見て察してくれたのか、加賀谷が慌てて距離をとった。
「加賀谷にそのつもりはなくても、これまでのやり取りのせいで、身の危険を感じるに決まってるだろ」
「好きなんだ」
自分の両手を胸の前で握りしめながら、頬を染めて告白されても、最初のくだりがあるため、そこまでドキドキせずに済んだ。
(バカと天才紙一重って言うけど、加賀谷ってばまんまおバカじゃないか)
「あのさ、最初に言ったよな。深い意味はないって。それなのに同じ言葉を使うのは、どう考えてもおかしいだろう?」
呆れながら指摘すると、難しそうな表情を浮かべて下唇を噛みしめる。
「加賀谷が答えないなら、俺はもう帰る。貴重な時間を無駄にしたくない」
妙な沈黙に耐えきれず、踵を返して体育館を出て行こうとした瞬間に、腕を掴んで引止められてしまった。
「待ってくれ、答えたいんだ。答えたいのに、笹良が満足するような答えが見つからなくて」
「頭のいい加賀谷が答えられないなんて、ものすごい難題なんだな」
「ああ。考えれば考えるほどに、わけがわからなくなってくる。おまえのシュートする姿を見て、最近では勃っちゃって」
「ちょっ、それは……」
掴まれていた腕を、慌てて振り解いた。じりじりと後退りをして、加賀谷との距離をとる。
「笹良がシュートを外したあとに、苦しそうな顔をしているのを見たら、妙にクるものがあってさ」
左手をぎゅっと握りしめながら熱く語られても、内容が気持ち悪いものなので、当然同調できるはずがない。
「加賀谷に告白されただけでもぞくっとしたのに、それ以上の何とも言えない、躰の事情を説明されながら迫られる、俺の身にもなってくれよ」
「わかってる。俺だって正直なところ嫌なんだ。同性相手にこんなことになるなんて」
「そうか……」
(もしや神様がすべてを兼ね備えた加賀谷を狂わせるために、ゲイになる操作をしたんじゃないだろうか)
「だからいろいろ考えた。笹良がシュートを外さなければ、俺は勃起しなくて済むんじゃないかって」
「は?」
どうしてそんな答えに着地したんだ、やっぱりバカなヤツ。
「笹良はいつから、シュートを外すようになったんだ? 教えてくれ」
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「逃げるなって、答えろよ」
「ひいぃ!」
言葉と一緒に突き立てられた加賀谷の両腕を見て、思わず悲鳴をあげてしまった。逃げ道を塞がれた恐怖で、躰が自然と震えてしまう。
「あ、悪い。怖がらせるつもりはなかった」
躰をぶるぶる震わせる俺の姿を見て察してくれたのか、加賀谷が慌てて距離をとった。
「加賀谷にそのつもりはなくても、これまでのやり取りのせいで、身の危険を感じるに決まってるだろ」
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