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第3章:恋人キブン
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「ケンジさん、さっきの告白は、ケンジさんの本心なの?」
近づくなと言われたせいで、その場で声を大にして訊ねた。あんな盛大な告白をされたことがないゆえに、ドキドキがとまらない。
「はじめは、彩香ちゃんの見た目が好みだった。俺が好きだったゲームに出てきたキャラと同じ名前をしていたのも、運命を感じてしまったんだ」
「ゲーム?」
考えもしなかった言葉に、目を瞬かせながらキョトンとする。
「うん。萌え系のゲーム。だけどそのゲームが終了することになってね。だからこれをキッカケに、2次元から足を洗おうと思って、出会い系サイトで手当り次第に、女のコに声をかけていたんだ」
(近づきたくてもそれを阻む、高くて分厚い壁ってもしかして、モニターのことだったっていうの!? ゲームに夢中になるヲタクって、もっとパッとしない人だと思ってた)
どこから見てもケンジさんは、そこら辺にいるごく普通の会社員の男性にしか見えない。率先して私をリードしながら、今までデートしていたくらい、とても頼りになるしっかりした人で、コミュ障でもなかった。
「ケンジさんは、ゲームが好きなんだよね?」
「ええ、まぁ……」
「わざわざ好きな趣味を、無理してやめなくてもいいんじゃないかって、私は思うんだけど」
頭の中に浮かんだことを口にしたら、ケンジさんは持っていた花束を胸の前にズラし、顔を見せた。夜目でもわかるくらいに、顔全部が真っ赤になっているのだけれど、花束の薔薇も赤いので、余計に顔の赤さが増して見える。
「綾香ちゃん、それってどういう――」
「好きなゲームが終わっちゃうのなら、新しいゲームから好きなコを見つけたらいいんじゃないかって」
「…………」
「でもその2次元の彼女を優先して、私を蔑ろにしたら、妬いちゃうかもしれないけどね」
自分にまっすぐ注がれる視線がなんだか照れくさくて、俯きながら告げてしまった。頬をぽりぽりしながら、視線を明後日に向ける私に、ケンジさんは無言で近づき、花束ごとぎゅっと抱きしめる。
「わっ!」
「綾香ちゃん、イジワル言わないで、俺の告白に対しての返事をしてほしい」
抱きしめられる頭上から、ケンジさんの真剣な声が聞こえた。
「えっと、元カレに借金を背負わされるような女ですが、私でよければお付き合いよろしくお願いいたします」
「俺こそ……。俺こそ2次元の彼女に夢中になる男ですが、俺でよければ付き合ってください!」
「もう、ケンジさんったら、何度私に交際を申し込むんですか」
くすくす笑う私にケンジさんは顔を寄せて、なにも言わせない勢いでキスをした。熱のこもったそれを、私はしっかりと受け止める。
こうして元カレの借金を無事に返済し終え、ケンジさんとのお付き合いが改めてスタートしたのだけれど。
「綾香ちゃん、今は俺とのデート中なのに、スマホのゲームの男を落とすことに夢中にならないでくれよ!」
「ケンジさんだって昨日の夜、遊びに来てた私を放置して、2次元の彼女探ししていたじゃない!」
ケンジさんがプレイしているゲームを見ているうちに、女性向けのゲームがあることを知り、試しにやってみたら、見事にハマってしまった。
「彩香ちゃんがこんなことになるなら、やっぱりゲームをやめればよかった!」
「ケンジさん、違うちがう。ゲームの中のカレシよりも、私をときめかせればいいだけなんじゃない?」
しかしながらゲームの中のカレシは、甘い声で私に囁いてくれるけど、触れることはできない。しかもプレイしている、女のコ全員を相手にしてる。
「綾香ちゃんをときめかせることを、俺がすればいいってこと?」
「そういうこと! 私をたくさんときめかせてよね!!」
私だけに愛情を与えてくれるケンジさんの腕に絡みつき、上目遣いで念入りにお願いしてみる。そんな私の期待に応えようと、顔を寄せながら愛のあるセリフを囁いてくれたのだった。
♡HappyEND♡
閲覧ならびに☆をありがとうございました! 次回作もよろしくお願いします😚
近づくなと言われたせいで、その場で声を大にして訊ねた。あんな盛大な告白をされたことがないゆえに、ドキドキがとまらない。
「はじめは、彩香ちゃんの見た目が好みだった。俺が好きだったゲームに出てきたキャラと同じ名前をしていたのも、運命を感じてしまったんだ」
「ゲーム?」
考えもしなかった言葉に、目を瞬かせながらキョトンとする。
「うん。萌え系のゲーム。だけどそのゲームが終了することになってね。だからこれをキッカケに、2次元から足を洗おうと思って、出会い系サイトで手当り次第に、女のコに声をかけていたんだ」
(近づきたくてもそれを阻む、高くて分厚い壁ってもしかして、モニターのことだったっていうの!? ゲームに夢中になるヲタクって、もっとパッとしない人だと思ってた)
どこから見てもケンジさんは、そこら辺にいるごく普通の会社員の男性にしか見えない。率先して私をリードしながら、今までデートしていたくらい、とても頼りになるしっかりした人で、コミュ障でもなかった。
「ケンジさんは、ゲームが好きなんだよね?」
「ええ、まぁ……」
「わざわざ好きな趣味を、無理してやめなくてもいいんじゃないかって、私は思うんだけど」
頭の中に浮かんだことを口にしたら、ケンジさんは持っていた花束を胸の前にズラし、顔を見せた。夜目でもわかるくらいに、顔全部が真っ赤になっているのだけれど、花束の薔薇も赤いので、余計に顔の赤さが増して見える。
「綾香ちゃん、それってどういう――」
「好きなゲームが終わっちゃうのなら、新しいゲームから好きなコを見つけたらいいんじゃないかって」
「…………」
「でもその2次元の彼女を優先して、私を蔑ろにしたら、妬いちゃうかもしれないけどね」
自分にまっすぐ注がれる視線がなんだか照れくさくて、俯きながら告げてしまった。頬をぽりぽりしながら、視線を明後日に向ける私に、ケンジさんは無言で近づき、花束ごとぎゅっと抱きしめる。
「わっ!」
「綾香ちゃん、イジワル言わないで、俺の告白に対しての返事をしてほしい」
抱きしめられる頭上から、ケンジさんの真剣な声が聞こえた。
「えっと、元カレに借金を背負わされるような女ですが、私でよければお付き合いよろしくお願いいたします」
「俺こそ……。俺こそ2次元の彼女に夢中になる男ですが、俺でよければ付き合ってください!」
「もう、ケンジさんったら、何度私に交際を申し込むんですか」
くすくす笑う私にケンジさんは顔を寄せて、なにも言わせない勢いでキスをした。熱のこもったそれを、私はしっかりと受け止める。
こうして元カレの借金を無事に返済し終え、ケンジさんとのお付き合いが改めてスタートしたのだけれど。
「綾香ちゃん、今は俺とのデート中なのに、スマホのゲームの男を落とすことに夢中にならないでくれよ!」
「ケンジさんだって昨日の夜、遊びに来てた私を放置して、2次元の彼女探ししていたじゃない!」
ケンジさんがプレイしているゲームを見ているうちに、女性向けのゲームがあることを知り、試しにやってみたら、見事にハマってしまった。
「彩香ちゃんがこんなことになるなら、やっぱりゲームをやめればよかった!」
「ケンジさん、違うちがう。ゲームの中のカレシよりも、私をときめかせればいいだけなんじゃない?」
しかしながらゲームの中のカレシは、甘い声で私に囁いてくれるけど、触れることはできない。しかもプレイしている、女のコ全員を相手にしてる。
「綾香ちゃんをときめかせることを、俺がすればいいってこと?」
「そういうこと! 私をたくさんときめかせてよね!!」
私だけに愛情を与えてくれるケンジさんの腕に絡みつき、上目遣いで念入りにお願いしてみる。そんな私の期待に応えようと、顔を寄せながら愛のあるセリフを囁いてくれたのだった。
♡HappyEND♡
閲覧ならびに☆をありがとうございました! 次回作もよろしくお願いします😚
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