ハートの確率♡その恋は突然やってきた【R-18】

相沢蒼依

文字の大きさ
上 下
16 / 19
第3章:恋人キブン

しおりを挟む
。.:*・゚ .。.:*・゚ 。.:*・゚ .。.:*・゚

 ホテルの最上階のレストラン、綺麗な夜景を眺めつつ食べたお料理はどれも美味しくて、とてもしあわせな気分だった。

 そのしあわせな気分を抱えて、ケンジさんと一緒にホテルを出る。

(――昨日のように、私を抱かないのかな……)

 肩透かしを食らった私の手を引いたケンジさんは、待ち合わせにしていた公園に戻り、そのままベンチに腰かけた。目の前の噴水がライトアップされいて、色とりどりに変わるのを、ぼんやりと眺める。

 この時間帯はいつも知らない誰かの腕の中にいる自分が、こうして普通にしていられることに、言い知れぬ違和感を覚えた。

「綾香ちゃん、どうしたの?」

 私の手を引いて隣に座らせたケンジさんに訊ねられたので、迷ったけど素直に答えることにする。

「てっきりさっきのホテルで、食事のあとに客室に行くと思ってたから……」

「まぁ、うん。俺たち結構相性がよかったしね」

 ケンジさんは小さく笑って、掴んだ私の手を引き寄せるなり、甲にキスをした。皮膚に強く押しつけられたケンジさんの唇の感触で、昨夜たくさん感じさせられたことを思い出す。

「俺はそれよりも、綾香ちゃんとこうして話がしたいと思ったんだ」

「私とお話?」

「うん。綾香ちゃんは今まで、どんな人を相手にしてきたのかな、とか」

 キスした手をそのまま柔らかく握りしめて、ケンジさんの胸に触れさせる。

「私が相手にした人のことをケンジさんが知っても、つまらないと思うけどな」

 借金を返済するために、たくさんの人を相手にしてきた。気持ちいい悪いとかじゃなく、その人にたくさんのオプションをつけて、どれだけ稼いでやろうかなって言う商売魂みたいなのがあったため、まんまお仕事している気分だった。

「まずは、綾香ちゃんのことが知りたい。だから昨日も、根掘り葉掘り聞いちゃったんだ」

「うん……」

「たとえ二週間だけの付き合いでも、その間は君は俺の恋人でしょ。俺よりも先に綾香ちゃんといいコトした相手に、ヤキモチを妬いちゃダメなのかな?」

 てのひらに感じるケンジさんの鼓動が、少しだけ早くなっていた。それがじわじわ伝わってくるせいで、私までなんだか落ち着かなくなる。

「ヤキモチなんて、無駄なことなのに」

「俺よりも綾香ちゃんを感じさせた男は、どんなヤツだった?」

 私がムダと言ったのに、それでもしつこく問いかけるケンジさん。ふざけた感じは一切なく、本当に知りたがっているのがわかったけれど。

「ケンジさんが一番だったよ」

 50万円を気前よく、私にくれる約束をしてくれたからではなく。

「そんなこと言って、俺を持ちあげないで」

 困った様相で文句を言った彼に、首を振ってみせた。

「持ちあげてるんじゃないの。なんていうのかな、体だけの関係で、私はほかの人とやり取りしているでしょ?」

「そうだね」

「ケンジさんは私の心も一緒に揺さぶってくるから、一番感じさせてるって言ったんだよ」

 こんなふうにドキドキしたのは、元彼と付き合ってた頃以来じゃないかな。ちゃんと自分の心がそういう感情を持ってるって、実感できたのが久しぶりすぎて、なんだか嬉しくなってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました

加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

処理中です...