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ライバル登場⁉
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3人で近くの公園に移動し、ベンチに並んで座る。星野さんの隣に素早く陣取って、先輩との距離をあけさせてもらった。移動しながら僕の自己紹介ができたおかげで、星野さんとの仲を構築することに成功した結果だった。
「花園さん、島田さんにサンドイッチを手渡してください。その間にコーヒー用意します」
「わかりました。はい先輩、サンドイッチです!」
「お、おう。サンキュー……」
先輩は手渡したサンドイッチを膝に置き、微妙な表情で僕の顔を見つめる。どうしてこの並びになったのか、理由が多分わかっているのだろう。
意味深に僕を見つめ続ける先輩に、口パクで『スキ』と呟いた。
「つっ!」
途端にぎょっとした面持ちになる先輩の表情が、本当にかわいい。
「島田さん、コーヒーどうぞ」
星野さんは僕を介さずに、先輩に紙コップを手渡した。
「島田さんはお砂糖とミルク、お使いですか?」
「いえ、ブラックで大丈夫です」
「わかりました。花園さんもコーヒーどうぞ」
「ありがとうございます」
星野さんはなぜか僕になにも訊ねず、コーヒーと一緒にサンドイッチを手渡した。
(ここであえてミルクをねだって、星野さんの反応をみる手があるけれど、ムダなことをして、ヒート先輩の機嫌を損ねるのはヤバいしな)
ラップに包まれたサンドイッチを毒味すべく、先輩よりも先に口にする。
「うんうん、とっても美味しいです。早く先輩も食べてあげなきゃ!」
「あ、ああ……」
会議の関係で早々に失礼することを宣言している手前、後輩だからこそ率先して食したのだが、口パクの件があるせいで、先輩の挙動が変だった。
さっきのはタイミングが悪かったなと、内心反省しつつ、両隣りを確認。やっとサンドイッチに食いつく先輩を、星野さんは瞳をキラキラさせながら、じーっと眺めていた。
「先輩、サンドイッチの感想を言ってあげないと、星野さんに失礼ですよ!」
「あ、すみません。とっても美味くて、食べることに夢中になってしまって」
「ありがとうございます。そう言っていただけて、めちゃくちゃ嬉しいです」
僕と星野さんから注がれる視線に耐えられないのか、先輩はどこか恥ずかしそうに、サンドイッチにかぶりつく。
(ああ、ヒート先輩ってば大柄な体を小さくしながら、ちまちまサンドイッチにパクつく姿が、マジでかわいすぎる!)
「島田さん、コッチ見てください」
「はい?」
星野さんの指示に先輩が素直に従うと、僕の目の前を星野さんの細長い腕が通過し、先輩の口元についた卵サンドの中身を拭う。唐突に割り込まれたことに、イラッとした。
「島田さん、美味しそうに食べてくれてありがとうございます」
「すみません、なんか子どもみたいで……」
照れて頬を赤らめる先輩の横顔をちゃっかり盗み見しながら、複雑な心境をひた隠して、無言でサンドイッチを食べる。
「私、島田さんのそういうところ、好きですよ」
「ぶっ!」
星野さんが投下した爆弾発言に、先輩の顔がさらに赤くなった。
「島田さんは彼女、いらっしゃるんですか?」
「やっ、俺みたいに見てくれの悪いヤツを好きになってくれる人は、誰もいませんから……」
自分の告白がノーカンになっていることに、ものすごく腹が立ったが、ここで真実をぶちまけて、先輩に嫌われても困るので、ひたすら我慢をする。
「島田さん、ご自分を卑下しないでください。私は島田さんの良いところを知っているので、見た目なんて関係ありません。付き合ってください!」
「はははっ! 肉食系なんですね、星野さんって」
気づいたら、からかう口調で会話に割り込んでしまった。
「おい、おまえ、失礼だろ!」
先輩を見下ろしながらへらっと笑って、肩を竦めてみせた。
「逢ってまだ2回目なのに、こんなふうに交際を迫るとか、そっちのほうが失礼だと思います」
(僕なんて半年間も時間をかけて、先輩との距離を縮めたというのに、この女狐は!)
3人で近くの公園に移動し、ベンチに並んで座る。星野さんの隣に素早く陣取って、先輩との距離をあけさせてもらった。移動しながら僕の自己紹介ができたおかげで、星野さんとの仲を構築することに成功した結果だった。
「花園さん、島田さんにサンドイッチを手渡してください。その間にコーヒー用意します」
「わかりました。はい先輩、サンドイッチです!」
「お、おう。サンキュー……」
先輩は手渡したサンドイッチを膝に置き、微妙な表情で僕の顔を見つめる。どうしてこの並びになったのか、理由が多分わかっているのだろう。
意味深に僕を見つめ続ける先輩に、口パクで『スキ』と呟いた。
「つっ!」
途端にぎょっとした面持ちになる先輩の表情が、本当にかわいい。
「島田さん、コーヒーどうぞ」
星野さんは僕を介さずに、先輩に紙コップを手渡した。
「島田さんはお砂糖とミルク、お使いですか?」
「いえ、ブラックで大丈夫です」
「わかりました。花園さんもコーヒーどうぞ」
「ありがとうございます」
星野さんはなぜか僕になにも訊ねず、コーヒーと一緒にサンドイッチを手渡した。
(ここであえてミルクをねだって、星野さんの反応をみる手があるけれど、ムダなことをして、ヒート先輩の機嫌を損ねるのはヤバいしな)
ラップに包まれたサンドイッチを毒味すべく、先輩よりも先に口にする。
「うんうん、とっても美味しいです。早く先輩も食べてあげなきゃ!」
「あ、ああ……」
会議の関係で早々に失礼することを宣言している手前、後輩だからこそ率先して食したのだが、口パクの件があるせいで、先輩の挙動が変だった。
さっきのはタイミングが悪かったなと、内心反省しつつ、両隣りを確認。やっとサンドイッチに食いつく先輩を、星野さんは瞳をキラキラさせながら、じーっと眺めていた。
「先輩、サンドイッチの感想を言ってあげないと、星野さんに失礼ですよ!」
「あ、すみません。とっても美味くて、食べることに夢中になってしまって」
「ありがとうございます。そう言っていただけて、めちゃくちゃ嬉しいです」
僕と星野さんから注がれる視線に耐えられないのか、先輩はどこか恥ずかしそうに、サンドイッチにかぶりつく。
(ああ、ヒート先輩ってば大柄な体を小さくしながら、ちまちまサンドイッチにパクつく姿が、マジでかわいすぎる!)
「島田さん、コッチ見てください」
「はい?」
星野さんの指示に先輩が素直に従うと、僕の目の前を星野さんの細長い腕が通過し、先輩の口元についた卵サンドの中身を拭う。唐突に割り込まれたことに、イラッとした。
「島田さん、美味しそうに食べてくれてありがとうございます」
「すみません、なんか子どもみたいで……」
照れて頬を赤らめる先輩の横顔をちゃっかり盗み見しながら、複雑な心境をひた隠して、無言でサンドイッチを食べる。
「私、島田さんのそういうところ、好きですよ」
「ぶっ!」
星野さんが投下した爆弾発言に、先輩の顔がさらに赤くなった。
「島田さんは彼女、いらっしゃるんですか?」
「やっ、俺みたいに見てくれの悪いヤツを好きになってくれる人は、誰もいませんから……」
自分の告白がノーカンになっていることに、ものすごく腹が立ったが、ここで真実をぶちまけて、先輩に嫌われても困るので、ひたすら我慢をする。
「島田さん、ご自分を卑下しないでください。私は島田さんの良いところを知っているので、見た目なんて関係ありません。付き合ってください!」
「はははっ! 肉食系なんですね、星野さんって」
気づいたら、からかう口調で会話に割り込んでしまった。
「おい、おまえ、失礼だろ!」
先輩を見下ろしながらへらっと笑って、肩を竦めてみせた。
「逢ってまだ2回目なのに、こんなふうに交際を迫るとか、そっちのほうが失礼だと思います」
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