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第1章 気になる新人2
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ずーんと重たい気持ちを引きずりながら喫煙室の扉を開けると、中にいた男が兵藤の顔を見て、にやぁと嫌な笑みを浮かべた。そのせいで気分が更に悪くなること、この上ない。
「あー、最悪や……」
「何だよその顔、イケメンが台無しじゃないか。もしかして計算が合わなくて、イライラしてんのか?」
兵藤と同期で営業二課にいる飯島が、楽しげに話しかけてきたのをしっかりと無視し、離れたところでタバコを吸おうとした。それを分かっていながらわざわざ兵藤の傍に近づき、ライターの火を差し出してくる。
「ほらよ、遠慮せずに」
「……済まんな」
不機嫌な顔をそのままに素直に火を頂戴し、ふーっと一服する。
あぁ至福のひとときやなと、兵藤が考えた瞬間だった。
「なぁなぁ、ここに来る前に新人研修の奴らが、ウチに顔を出してきたんだけどよ」
「へぇ……」
営業課の中でも飯島の煩さのせいか、異様に活気のある営業二課のフロアを見せた人事のお偉いさんの手腕に、兵藤はこっそりと感心した。
「うひひ、今年の新人に、めっちゃ可愛いコが結構いたぞ。ウチに配属されないかなぁ」
「……外人みたいな濃ゆいツラに、液体窒素を吹きかけた顔のお前に迫られたら、誰だって逃げるわな」
「何をぅ!?」
見る間に般若顔になった飯島を目の当たりにして、兵藤は声を立てて笑いながら、ふーっとタバコの煙をお見舞いする。煙の効果で、少しは顔の濃さが薄くなれたらいいのにと思いながら。
「あー、最悪や……」
「何だよその顔、イケメンが台無しじゃないか。もしかして計算が合わなくて、イライラしてんのか?」
兵藤と同期で営業二課にいる飯島が、楽しげに話しかけてきたのをしっかりと無視し、離れたところでタバコを吸おうとした。それを分かっていながらわざわざ兵藤の傍に近づき、ライターの火を差し出してくる。
「ほらよ、遠慮せずに」
「……済まんな」
不機嫌な顔をそのままに素直に火を頂戴し、ふーっと一服する。
あぁ至福のひとときやなと、兵藤が考えた瞬間だった。
「なぁなぁ、ここに来る前に新人研修の奴らが、ウチに顔を出してきたんだけどよ」
「へぇ……」
営業課の中でも飯島の煩さのせいか、異様に活気のある営業二課のフロアを見せた人事のお偉いさんの手腕に、兵藤はこっそりと感心した。
「うひひ、今年の新人に、めっちゃ可愛いコが結構いたぞ。ウチに配属されないかなぁ」
「……外人みたいな濃ゆいツラに、液体窒素を吹きかけた顔のお前に迫られたら、誰だって逃げるわな」
「何をぅ!?」
見る間に般若顔になった飯島を目の当たりにして、兵藤は声を立てて笑いながら、ふーっとタバコの煙をお見舞いする。煙の効果で、少しは顔の濃さが薄くなれたらいいのにと思いながら。
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