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しあわせのかたちを手に入れるまで
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『夕飯は時間がかかるものを作る』と、海辺で盛大に言い放ったのに、宝飾店の帰り道に寄ったスーパーで、竜馬がチョイスした物は、チンして食べるでき合いのお惣菜ばかり。たいして重くない買い物袋を、小林が率先して手にし、仏頂面のままでいる竜馬の顔を覗き込む。
「……なんですか?」
「どうして、そんな顔をしているのかって。無理して笑えとは言わないが」
「誰が、こんな顔をさせたと思ってるんですか。ムカつく!」
小林の笑顔に勝てない竜馬。それをわかっているからこそ、ここぞというときに、それを使う小林が、どうにも憎くてたまらなかった。
「こっちに来い」
言うなり、小林は竜馬の腕を引っ張り、エアコンの室外機が置かれている、狭いビルの隙間に無理やり連れ去った。
足元に、買い物袋の置く音を竜馬が耳にしたときには、小林にぎゅっと抱き竦められていた。
「指輪……。色気のない渡し方をして悪かった」
「なんで今更、こんな場所に引きずり込んで、抱きしめながら謝るんですか。誠意が感じられないですって」
「今日に限って、なにをやっても、竜馬に叱られてばかりいるな」
反省の色がない、小林の態度に竜馬は心底呆れ返り、されるがままでいた。無精髭が頬に当たってチクチクしたけど、小林の存在を間近で感じることのできる感覚は、愛しさを伴うものだった。
「小林さん、どうしてあのタイミングで、指輪を渡そうと思ったんですか?」
微妙な雰囲気を打破すべく、まずは疑問に感じたことを口にしてみた。
「おまえが俺の物だっていう、印が欲しかったから」
「印?」
囁くように言葉を発すると、小林の顔が目の前に移動する。薄暗がりだったけどその表情は、大通りに設置された街灯の明かりで、しっかりと確認できた。いつも口元に浮かべている笑みがなく、どこかしょんぼりしているように、竜馬の目に映った。
「イケメンすぎる竜馬くん。身近でおまえを狙ってるヤツがいるんだぞ」
「それって1ヶ月前に、事務のバイトで入ってきたコですよね?」
「なんだ、気がついていたのか。『畑中くんって、すっごくカッコイイし、優しいですよねー。彼女いるんでしょうか?』なぁんていうのを、バイトの女のコが内勤のヤツらに、根掘り葉掘り聞いて回っていた」
必死に声色を高くして、可愛らしくセリフを言い切った小林を、竜馬は白い目で見つめ続けた。ところどころ掠れて、可愛らしさの欠片すらないそれに、軽くため息をついてみせる。
「こんなところで、全然似ていないモノマネを見せられるとは、思いもしなかったです」
「とりあえずおまえには、年上のしっかりした彼女がいることになっているからな」
「はあ!? 年上のしっかりした彼女ですか。しっかりした、ねえ……」
瞳を意味深に細めて見上げる竜馬の視線に、小林は一瞬たじろいだが、顔にあるすべての表情筋をきゅっと引き締めた。自分がこれから告げる言葉に、信ぴょう性を持たせるための作戦である。
「しっかりしてるだろ。誰よりも深くおまえを愛し、こうして感じさせることができるのは、俺だけなんだから」
竜馬の顎に触れて、少しだけ唇を開かせると、被さるように小林の唇が重ねられる。
「んぁっ……ぁあっ」
こんな場所でキスするなんてという、竜馬の苦情を防ぐように、舌を絡めて小林は責め立てた。それに負けじと両手を使い、小林の体を叩いて嫌だということを訴える。その動きを止めるためなのか、小林が竜馬のジーパンの上から、大事な部分に触れはじめた。
『夕飯は時間がかかるものを作る』と、海辺で盛大に言い放ったのに、宝飾店の帰り道に寄ったスーパーで、竜馬がチョイスした物は、チンして食べるでき合いのお惣菜ばかり。たいして重くない買い物袋を、小林が率先して手にし、仏頂面のままでいる竜馬の顔を覗き込む。
「……なんですか?」
「どうして、そんな顔をしているのかって。無理して笑えとは言わないが」
「誰が、こんな顔をさせたと思ってるんですか。ムカつく!」
小林の笑顔に勝てない竜馬。それをわかっているからこそ、ここぞというときに、それを使う小林が、どうにも憎くてたまらなかった。
「こっちに来い」
言うなり、小林は竜馬の腕を引っ張り、エアコンの室外機が置かれている、狭いビルの隙間に無理やり連れ去った。
足元に、買い物袋の置く音を竜馬が耳にしたときには、小林にぎゅっと抱き竦められていた。
「指輪……。色気のない渡し方をして悪かった」
「なんで今更、こんな場所に引きずり込んで、抱きしめながら謝るんですか。誠意が感じられないですって」
「今日に限って、なにをやっても、竜馬に叱られてばかりいるな」
反省の色がない、小林の態度に竜馬は心底呆れ返り、されるがままでいた。無精髭が頬に当たってチクチクしたけど、小林の存在を間近で感じることのできる感覚は、愛しさを伴うものだった。
「小林さん、どうしてあのタイミングで、指輪を渡そうと思ったんですか?」
微妙な雰囲気を打破すべく、まずは疑問に感じたことを口にしてみた。
「おまえが俺の物だっていう、印が欲しかったから」
「印?」
囁くように言葉を発すると、小林の顔が目の前に移動する。薄暗がりだったけどその表情は、大通りに設置された街灯の明かりで、しっかりと確認できた。いつも口元に浮かべている笑みがなく、どこかしょんぼりしているように、竜馬の目に映った。
「イケメンすぎる竜馬くん。身近でおまえを狙ってるヤツがいるんだぞ」
「それって1ヶ月前に、事務のバイトで入ってきたコですよね?」
「なんだ、気がついていたのか。『畑中くんって、すっごくカッコイイし、優しいですよねー。彼女いるんでしょうか?』なぁんていうのを、バイトの女のコが内勤のヤツらに、根掘り葉掘り聞いて回っていた」
必死に声色を高くして、可愛らしくセリフを言い切った小林を、竜馬は白い目で見つめ続けた。ところどころ掠れて、可愛らしさの欠片すらないそれに、軽くため息をついてみせる。
「こんなところで、全然似ていないモノマネを見せられるとは、思いもしなかったです」
「とりあえずおまえには、年上のしっかりした彼女がいることになっているからな」
「はあ!? 年上のしっかりした彼女ですか。しっかりした、ねえ……」
瞳を意味深に細めて見上げる竜馬の視線に、小林は一瞬たじろいだが、顔にあるすべての表情筋をきゅっと引き締めた。自分がこれから告げる言葉に、信ぴょう性を持たせるための作戦である。
「しっかりしてるだろ。誰よりも深くおまえを愛し、こうして感じさせることができるのは、俺だけなんだから」
竜馬の顎に触れて、少しだけ唇を開かせると、被さるように小林の唇が重ねられる。
「んぁっ……ぁあっ」
こんな場所でキスするなんてという、竜馬の苦情を防ぐように、舌を絡めて小林は責め立てた。それに負けじと両手を使い、小林の体を叩いて嫌だということを訴える。その動きを止めるためなのか、小林が竜馬のジーパンの上から、大事な部分に触れはじめた。
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