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煌めくルビーに魅せられて番外編 吸血鬼の執愛
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土曜日の今日は楽しみすぎて、朝早くから目覚めてしまった。そんな手持ち無沙汰を解消すべく、家の掃除に勤しむ。
その後、ショッピングモールに出かけて、これから泊まりが増えるであろう、瑞稀の日用品を買った。
歯ブラシは、俺が使ってるメーカーの色違いにしたり、瑞稀に似合いそうなパジャマを見つけたときは、着たところを妄想して、あまりのかわいさに体が意味なく震えて、鼻血が出そうになったのはナイショだったりする。
そして現在、居酒屋のバイトをしている、瑞稀の時間を把握している関係で、店の駐車場に車を停めて待っていた。
目の前にある居酒屋は既に閉店していて、瑞稀が出て来るまで、あと10分くらい時間があった。ちなみにお迎えに来ているのは、サプライズである。
ハンドルに両腕をかけて、今か今かと従業員入口を眺めていたら、唐突に扉が開き、薄暗がりでも瑞稀が出て来たのがわかった。予定の時間より早く出てきてくれたことに、自然と口角があがる。
慌ててドアハンドルを動かして、車から降りた。その物音に気づいたのか、瑞稀が驚いた表情で俺の傍に駆け寄る。
「マサさん、迎えに来てくれたんですか?」
弾んだ声が耳に届いた瞬間どうにも堪らず、瑞稀をぎゅっと胸の中に抱きしめた。
「マサさん?」
(――落ち着け俺! なにもしないと事前に宣言しているんだから、平常心で瑞稀に接しなければ‼)
「予定よりも早く終わったのかい?」
「はい。週末だからみんな用事があるみたいで、手際よく片付けすることができたんです」
抱きしめる腕の力を抜くと、瑞稀がほほ笑みながら顔をあげた。ただ笑いかけられただけなのに、胸が痛いくらいに絞られる。大人の俺が動揺しているのを悟られないようにしなければと、思いついたことを口にした。
「俺と付き合う前の瑞稀なら、週末はきっと用事はないが、どうやって休みを過ごしていたんだい?」
すりりと髪に頬擦りしながら問いかけることじゃないのに、どうにも興味が湧いてしまい、訊ねてしまった。
「マサさんのその言い方、ちょっと引っ掛かりがある感じがします。そういうことを聞くのなら、まずはマサさんが週末なにをしてるのかを暴露してからのほうが、俺としては喋りやすいですけど」
かわいい文句を言った唇が、不意に俺の唇を塞いだ。
「ツっ!」
俺よりも背の低い瑞稀が、踵をあげて触れるだけのキスをしてくれた。誰もいない夜の駐車場とはいえ、彼がそんな大胆なことをするとは思っていなかったせいで、思わず瑞稀の体を両手で押して後退りする。
「マサさん?」
無言で後退りした先にあった愛車のボンネットにぶつかり、その場にしゃがみ込む。
「マサさんごめんなさい。俺からのキスが嫌でしたか?」
口元を利き手で押さえて俯く俺を心配した瑞稀が、同じようにしゃがみ込んで、恐るおそる訊ねた。
「瑞稀からのキスの衝撃が半端なくて、嬉しさのあまりに腰が抜けてしまった」
「え゛?」
大きな瞳が困惑する俺を見つめる。目に映る呆けた顔もすごくかわいい。
「不意打ちのキスははじめてじゃないのに、なぜか瑞稀からのキスだけでおかしくなってしまってね。自分の気持ちがよくわからないんだ」
胸元を握りしめつつ、素直な気持ちを吐露したというのに、瑞稀はどこか不満げな顔をした。
土曜日の今日は楽しみすぎて、朝早くから目覚めてしまった。そんな手持ち無沙汰を解消すべく、家の掃除に勤しむ。
その後、ショッピングモールに出かけて、これから泊まりが増えるであろう、瑞稀の日用品を買った。
歯ブラシは、俺が使ってるメーカーの色違いにしたり、瑞稀に似合いそうなパジャマを見つけたときは、着たところを妄想して、あまりのかわいさに体が意味なく震えて、鼻血が出そうになったのはナイショだったりする。
そして現在、居酒屋のバイトをしている、瑞稀の時間を把握している関係で、店の駐車場に車を停めて待っていた。
目の前にある居酒屋は既に閉店していて、瑞稀が出て来るまで、あと10分くらい時間があった。ちなみにお迎えに来ているのは、サプライズである。
ハンドルに両腕をかけて、今か今かと従業員入口を眺めていたら、唐突に扉が開き、薄暗がりでも瑞稀が出て来たのがわかった。予定の時間より早く出てきてくれたことに、自然と口角があがる。
慌ててドアハンドルを動かして、車から降りた。その物音に気づいたのか、瑞稀が驚いた表情で俺の傍に駆け寄る。
「マサさん、迎えに来てくれたんですか?」
弾んだ声が耳に届いた瞬間どうにも堪らず、瑞稀をぎゅっと胸の中に抱きしめた。
「マサさん?」
(――落ち着け俺! なにもしないと事前に宣言しているんだから、平常心で瑞稀に接しなければ‼)
「予定よりも早く終わったのかい?」
「はい。週末だからみんな用事があるみたいで、手際よく片付けすることができたんです」
抱きしめる腕の力を抜くと、瑞稀がほほ笑みながら顔をあげた。ただ笑いかけられただけなのに、胸が痛いくらいに絞られる。大人の俺が動揺しているのを悟られないようにしなければと、思いついたことを口にした。
「俺と付き合う前の瑞稀なら、週末はきっと用事はないが、どうやって休みを過ごしていたんだい?」
すりりと髪に頬擦りしながら問いかけることじゃないのに、どうにも興味が湧いてしまい、訊ねてしまった。
「マサさんのその言い方、ちょっと引っ掛かりがある感じがします。そういうことを聞くのなら、まずはマサさんが週末なにをしてるのかを暴露してからのほうが、俺としては喋りやすいですけど」
かわいい文句を言った唇が、不意に俺の唇を塞いだ。
「ツっ!」
俺よりも背の低い瑞稀が、踵をあげて触れるだけのキスをしてくれた。誰もいない夜の駐車場とはいえ、彼がそんな大胆なことをするとは思っていなかったせいで、思わず瑞稀の体を両手で押して後退りする。
「マサさん?」
無言で後退りした先にあった愛車のボンネットにぶつかり、その場にしゃがみ込む。
「マサさんごめんなさい。俺からのキスが嫌でしたか?」
口元を利き手で押さえて俯く俺を心配した瑞稀が、同じようにしゃがみ込んで、恐るおそる訊ねた。
「瑞稀からのキスの衝撃が半端なくて、嬉しさのあまりに腰が抜けてしまった」
「え゛?」
大きな瞳が困惑する俺を見つめる。目に映る呆けた顔もすごくかわいい。
「不意打ちのキスははじめてじゃないのに、なぜか瑞稀からのキスだけでおかしくなってしまってね。自分の気持ちがよくわからないんだ」
胸元を握りしめつつ、素直な気持ちを吐露したというのに、瑞稀はどこか不満げな顔をした。
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