46 / 83
意外な一面 Wedding狂想曲(ラプソディ)
3
しおりを挟む
***
私は定時に出社し、自宅に帰宅した。正仁さんは残業の予定。ハネムーンで数日のお休みを確保するために、前倒しで仕事をしているから。
「昨日より遅いな……」
課長さんになってまだ日が浅いし、慣れない仕事だって大変なんだろう。それなのに私ったら――
『変なモノ、飛ばさないで下さい』
思いにまかせて文句を言ったときに、正仁さんの悲しそうな眼差しがグサッと私の心に突き刺さって――だけど言ってしまった以上は後戻りができなくて、自分の傷を隠そうと言いたいことだけを告げてしまった。
正仁さんが私を、心配してるのが分かっているのにね。心配だけじゃなく私のことを……。
「まったくもぅ、困った人なんだから」
私みたいなどこにでもいる普通な女の、どこに惹かれたのやら。
山田さんの奥さんみたいにスレンダーな美人でないし、山田さんの上司(:今川真人(いまがわまさと)愛称マット)の奥さんみたく、ナイスバディで愛らしい顔立ちをしてるワケでもない。
小首を傾げながら、両腕を組んで考えてみた。
名前で呼んでくれないことと、もしかしたら何か関連性があるのかな?
「そういえば……」
ここ一週間、夜の営みがご無沙汰していた。正仁さんから押し倒されることもないし、会社でもイタズラされていない。むしろ避けられている感がある――
私から正仁さんに何かスルなんて考えただけで大胆不敵な行為だけど、本人はすっごく喜びそう。
組んでた両腕をほどいて、赤くなったであろうほっぺたをペシペシする。
「――正仁さん、遅いな」
一瞬浮気の二文字が脳裏を横切った。それを振り払うべく、頭を横に激しく振る。
浮気なんてあり得ない。だって正仁さんは私に、ぞっこんラブなんだからっ!
「だけど……」
んもぅ妻の座を手に入れたから、逃げることはないだろうとか考えて、
『次の恋愛、行ってみよう』
なぁんてことをしていたら、本当にどうしよう。絶対、浮気しない旦那様だと分かっているのに、頭がぐるぐるしちゃう。
正仁さんは会社ではカマキリって恐れられてるから、むやみに手を出す女なんていない……と思いたい。
『まったく、君の考えは浅慮なんですよ』
――って片側の口角上げながら、見事に一蹴されるんだろうな。でも一蹴りされた方が、逆にスッキリするかも。
正仁さん、早く帰ってきて。モヤモヤが止まらないよ~。
ため息一つついて玄関を見つめると、ガチャガチャと鍵を回す音が聞こえてきた。
私は定時に出社し、自宅に帰宅した。正仁さんは残業の予定。ハネムーンで数日のお休みを確保するために、前倒しで仕事をしているから。
「昨日より遅いな……」
課長さんになってまだ日が浅いし、慣れない仕事だって大変なんだろう。それなのに私ったら――
『変なモノ、飛ばさないで下さい』
思いにまかせて文句を言ったときに、正仁さんの悲しそうな眼差しがグサッと私の心に突き刺さって――だけど言ってしまった以上は後戻りができなくて、自分の傷を隠そうと言いたいことだけを告げてしまった。
正仁さんが私を、心配してるのが分かっているのにね。心配だけじゃなく私のことを……。
「まったくもぅ、困った人なんだから」
私みたいなどこにでもいる普通な女の、どこに惹かれたのやら。
山田さんの奥さんみたいにスレンダーな美人でないし、山田さんの上司(:今川真人(いまがわまさと)愛称マット)の奥さんみたく、ナイスバディで愛らしい顔立ちをしてるワケでもない。
小首を傾げながら、両腕を組んで考えてみた。
名前で呼んでくれないことと、もしかしたら何か関連性があるのかな?
「そういえば……」
ここ一週間、夜の営みがご無沙汰していた。正仁さんから押し倒されることもないし、会社でもイタズラされていない。むしろ避けられている感がある――
私から正仁さんに何かスルなんて考えただけで大胆不敵な行為だけど、本人はすっごく喜びそう。
組んでた両腕をほどいて、赤くなったであろうほっぺたをペシペシする。
「――正仁さん、遅いな」
一瞬浮気の二文字が脳裏を横切った。それを振り払うべく、頭を横に激しく振る。
浮気なんてあり得ない。だって正仁さんは私に、ぞっこんラブなんだからっ!
「だけど……」
んもぅ妻の座を手に入れたから、逃げることはないだろうとか考えて、
『次の恋愛、行ってみよう』
なぁんてことをしていたら、本当にどうしよう。絶対、浮気しない旦那様だと分かっているのに、頭がぐるぐるしちゃう。
正仁さんは会社ではカマキリって恐れられてるから、むやみに手を出す女なんていない……と思いたい。
『まったく、君の考えは浅慮なんですよ』
――って片側の口角上げながら、見事に一蹴されるんだろうな。でも一蹴りされた方が、逆にスッキリするかも。
正仁さん、早く帰ってきて。モヤモヤが止まらないよ~。
ため息一つついて玄関を見つめると、ガチャガチャと鍵を回す音が聞こえてきた。
0
お気に入りに追加
223
あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる