22 / 83
act:意外な展開
4
しおりを挟む
***
ここ最近の忙しさの理由は、明後日に控えている重役会議のせいだった。部署が一丸となって頑張ってきたプロジェクトが、認められるか否か緊張感いっぱいでみんな仕事をしている。
私のくだらない妄想でプロジェクトの足を引っ張ってしまったら、鎌田先輩に迷惑がかかってしまう。それだけは避けたかったから尚更、気を引き締めて仕事をしていた。
鎌田先輩も昨日同様に、さくさくと仕事をこなしているようにみえる。
「それが一段落してからでいいので、他の部署の女子社員を何名か集めて、小会議室にお茶の用意をしておいて下さい」
パソコン画面を見つめたまま、鎌田先輩が指示を出す。明後日の会議の前に問題点がないか、最終的な打ち合わせをするためだろうな。
「わかりました!」
少しでもいいから鎌田先輩の力になりたい。今は自分のできる事を、どんなことでも精一杯しよう。
「一段落つきそうになかったら何か手伝うよ? 大丈夫?」
隣で小野寺先輩が貴公子のような爽やかな笑みを浮かべ、声をかけてきた。
「だってあれもこれもって、ひとりで大変じゃないか」
「大変なのはみんな同じですから、だいじょ――」
「できることが分かっているので、俺は頼んでいるんです。彼女を甘やかさないでいただきたい!」
キッと小野寺先輩を睨み、少し大きな声で会話に割り込んできた鎌田先輩。そんなコワイ鎌田先輩の視線を直に受けてもまったく動じずに、まぁまぁというジェスチャーをした小野寺先輩もある意味すごいかもしれない。
「山本さんが大変そうだったから、声をかけただけです。すみませんでした」
小野寺先輩が漂々とした感じで言う。完全に謝っている態度じゃない――しかもなぜかふたり、じーっと睨み合っているとか……。
もともとソリの合わないふたりだと思っていたけれど、昨日から態度でそれを表しているのが見てとれた。何があったか分からないけどとにかく、私を巻き込まないで欲しい。
見えない火花を散らし合うふたりの様子を横目で見ながら、体を小さくして仕事をしたのだった。
ここ最近の忙しさの理由は、明後日に控えている重役会議のせいだった。部署が一丸となって頑張ってきたプロジェクトが、認められるか否か緊張感いっぱいでみんな仕事をしている。
私のくだらない妄想でプロジェクトの足を引っ張ってしまったら、鎌田先輩に迷惑がかかってしまう。それだけは避けたかったから尚更、気を引き締めて仕事をしていた。
鎌田先輩も昨日同様に、さくさくと仕事をこなしているようにみえる。
「それが一段落してからでいいので、他の部署の女子社員を何名か集めて、小会議室にお茶の用意をしておいて下さい」
パソコン画面を見つめたまま、鎌田先輩が指示を出す。明後日の会議の前に問題点がないか、最終的な打ち合わせをするためだろうな。
「わかりました!」
少しでもいいから鎌田先輩の力になりたい。今は自分のできる事を、どんなことでも精一杯しよう。
「一段落つきそうになかったら何か手伝うよ? 大丈夫?」
隣で小野寺先輩が貴公子のような爽やかな笑みを浮かべ、声をかけてきた。
「だってあれもこれもって、ひとりで大変じゃないか」
「大変なのはみんな同じですから、だいじょ――」
「できることが分かっているので、俺は頼んでいるんです。彼女を甘やかさないでいただきたい!」
キッと小野寺先輩を睨み、少し大きな声で会話に割り込んできた鎌田先輩。そんなコワイ鎌田先輩の視線を直に受けてもまったく動じずに、まぁまぁというジェスチャーをした小野寺先輩もある意味すごいかもしれない。
「山本さんが大変そうだったから、声をかけただけです。すみませんでした」
小野寺先輩が漂々とした感じで言う。完全に謝っている態度じゃない――しかもなぜかふたり、じーっと睨み合っているとか……。
もともとソリの合わないふたりだと思っていたけれど、昨日から態度でそれを表しているのが見てとれた。何があったか分からないけどとにかく、私を巻き込まないで欲しい。
見えない火花を散らし合うふたりの様子を横目で見ながら、体を小さくして仕事をしたのだった。
0
お気に入りに追加
223
あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる