31 / 89
毒占欲番外編
毒入りチョコをアナタに捧げる♪
しおりを挟む
痺れるような甘い恋を 君としてみたいから
このハートのチョコに 熱い想いを込めて――
「不三家のハートチョコ、バレンタインに彼にあげてみてね♪」
絶賛放映中の俺のCM。バレンタインに向けて一月下旬から、ばんばん流れているけれど。
「肝心の克巳さんからは、なぁんも反応ないとか、すっげぇ寂しいんですけど……」
基本マメな人で俺が出てる番組を、くまなくチェックしてくれている。感想を聞いても――
「そうだね。この間のバラエティは、稜が一段と目立っていたよ」
それ、いつも通りのことなんですけど。もっと、こう具体的かつ克巳さんならではの、感想が聞きたいというのに。
「どうしたんだい、そんな顔して。稜が一番ステキだと言ってるのに」
「……毎度毎度、同じ言葉は聞き飽きた」
「そうか。それは困ったな。他に思いつく言葉……テレビの中の君に、視線は釘付けだったよ」
それ、前にも言ってた。なぁんて、ワガママは言えないか。とにかく褒めてくれてるんだから。
――そう、彼の視線を俺だけに集めたい――
その一身で仕事をしているけれど、クリスマスやバレンタインなど、大事なイベントは見事、仕事が入ってお流れになってしまう。
今回は関西方面に地方ロケなので、離れ離れな状態。
ばんばんCMが流れてるお陰で、克巳さんはテレビの中の俺に逢えるけど、俺は逢えずに、指をくわえてるだけとか、超絶悲しすぎる!
気がつけば二月十四日、深夜の午前一時過ぎ。寝てるかもしれないけど、サプライズ好きな俺としては、何としてでも外せない! 迷わず克巳さんの携帯に、コールしちゃうもんね♪
かけた途端、直ぐに繋がるラインに、ちょっとビビった。起きていたんだ――
「あっ、もしも~し! 克巳さんハッピーバレンタイン♪」
「まったく……こんな深夜にかけてきてそのテンション、さては呑んでいるのか?」
「呑んでないない。浮気もしてないから」
こんな説明しなくてもいいの、分ってるけどね。とりあえず疑いは、自ら晴らしておく。
「分ってる。あのさ稜……」
「なぁに、克巳さん?」
「俺と電話してないで、早く寝なさい」
ゲッ、それって酷くない? 俺としては、恋人の声が聞きたかったのに。
「んもぅ、つれないなぁ。離れ離れのバレンタインが、寂しかったんだよ。もっとこう――」
「いつもよりテンションが高い。それに、声もどこか疲れているよ。スケジュール、詰め込みすぎてるんじゃないのか?」
「克巳さん……」
こうやって体を労わってくれるの、何気に嬉しいんだ。顔が見えなくても伝わってしまうことに、胸の奥がじんと熱くなる。
「分った、もう寝るからさ。克巳さんはバレンタインのチョコ、どこのが食べたいかなって、聞きたかったんだ」
「ああ……なら稜がCMで宣伝してるヤツ」
「あんな、チープなチョコでいいの?」
「勿論。CMで流れてるあの言葉を俺に向かって、直接言ってほしいんだ」
克巳さんの言葉に、口元が緩んでしまった。
『痺れるような甘い恋を、君としてみたいから、このハートのチョコに、熱い想いを込めて――』
「分ったよ、何回でも言ってあげる♪ チョコに愛という名の毒をこめてね」
電話の向こうで、無邪気に笑う声を聞きながら、おやすみなさいを言って、静かに電話を切る。
「これで今日の仕事も、張り切って頑張れちゃうんだよなぁ。恋人の存在って、やっぱりすげぇ!!」
ばふんとベッドに横になり、ゆっくりと目を閉じた。早く克巳さんの傍に行って、あの言葉を言ってあげたいなと思いながら。
このハートのチョコに 熱い想いを込めて――
「不三家のハートチョコ、バレンタインに彼にあげてみてね♪」
絶賛放映中の俺のCM。バレンタインに向けて一月下旬から、ばんばん流れているけれど。
「肝心の克巳さんからは、なぁんも反応ないとか、すっげぇ寂しいんですけど……」
基本マメな人で俺が出てる番組を、くまなくチェックしてくれている。感想を聞いても――
「そうだね。この間のバラエティは、稜が一段と目立っていたよ」
それ、いつも通りのことなんですけど。もっと、こう具体的かつ克巳さんならではの、感想が聞きたいというのに。
「どうしたんだい、そんな顔して。稜が一番ステキだと言ってるのに」
「……毎度毎度、同じ言葉は聞き飽きた」
「そうか。それは困ったな。他に思いつく言葉……テレビの中の君に、視線は釘付けだったよ」
それ、前にも言ってた。なぁんて、ワガママは言えないか。とにかく褒めてくれてるんだから。
――そう、彼の視線を俺だけに集めたい――
その一身で仕事をしているけれど、クリスマスやバレンタインなど、大事なイベントは見事、仕事が入ってお流れになってしまう。
今回は関西方面に地方ロケなので、離れ離れな状態。
ばんばんCMが流れてるお陰で、克巳さんはテレビの中の俺に逢えるけど、俺は逢えずに、指をくわえてるだけとか、超絶悲しすぎる!
気がつけば二月十四日、深夜の午前一時過ぎ。寝てるかもしれないけど、サプライズ好きな俺としては、何としてでも外せない! 迷わず克巳さんの携帯に、コールしちゃうもんね♪
かけた途端、直ぐに繋がるラインに、ちょっとビビった。起きていたんだ――
「あっ、もしも~し! 克巳さんハッピーバレンタイン♪」
「まったく……こんな深夜にかけてきてそのテンション、さては呑んでいるのか?」
「呑んでないない。浮気もしてないから」
こんな説明しなくてもいいの、分ってるけどね。とりあえず疑いは、自ら晴らしておく。
「分ってる。あのさ稜……」
「なぁに、克巳さん?」
「俺と電話してないで、早く寝なさい」
ゲッ、それって酷くない? 俺としては、恋人の声が聞きたかったのに。
「んもぅ、つれないなぁ。離れ離れのバレンタインが、寂しかったんだよ。もっとこう――」
「いつもよりテンションが高い。それに、声もどこか疲れているよ。スケジュール、詰め込みすぎてるんじゃないのか?」
「克巳さん……」
こうやって体を労わってくれるの、何気に嬉しいんだ。顔が見えなくても伝わってしまうことに、胸の奥がじんと熱くなる。
「分った、もう寝るからさ。克巳さんはバレンタインのチョコ、どこのが食べたいかなって、聞きたかったんだ」
「ああ……なら稜がCMで宣伝してるヤツ」
「あんな、チープなチョコでいいの?」
「勿論。CMで流れてるあの言葉を俺に向かって、直接言ってほしいんだ」
克巳さんの言葉に、口元が緩んでしまった。
『痺れるような甘い恋を、君としてみたいから、このハートのチョコに、熱い想いを込めて――』
「分ったよ、何回でも言ってあげる♪ チョコに愛という名の毒をこめてね」
電話の向こうで、無邪気に笑う声を聞きながら、おやすみなさいを言って、静かに電話を切る。
「これで今日の仕事も、張り切って頑張れちゃうんだよなぁ。恋人の存在って、やっぱりすげぇ!!」
ばふんとベッドに横になり、ゆっくりと目を閉じた。早く克巳さんの傍に行って、あの言葉を言ってあげたいなと思いながら。
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
花香る人
佐治尚実
BL
平凡な高校生のユイトは、なぜか美形ハイスペックの同学年のカイと親友であった。
いつも自分のことを気に掛けてくれるカイは、とても美しく優しい。
自分のような取り柄もない人間はカイに不釣り合いだ、とユイトは内心悩んでいた。
ある高校二年の冬、二人は図書館で過ごしていた。毎日カイが聞いてくる問いに、ユイトはその日初めて嘘を吐いた。
もしも親友が主人公に思いを寄せてたら
ユイト 平凡、大人しい
カイ 美形、変態、裏表激しい
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
僕が玩具になった理由
Me-ya
BL
🈲R指定🈯
「俺のペットにしてやるよ」
眞司は僕を見下ろしながらそう言った。
🈲R指定🔞
※この作品はフィクションです。
実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨
ので、ここで新しく書き直します…。
(他の場所でも、1カ所書いていますが…)
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~
みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。
成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪
イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる