313 / 329
シェイクのリズムに恋の音色を奏でて❤
20
しおりを挟む
「え? 智之さんがゲイだって言いたいの?」
彼女からの問いかけに、聖哉は黙ったまま俺に視線を向ける。この質問については俺が答えろと、暗に示していることがわかった。
「サオリさんは店のお客様ですので、俺の趣味を知って幻滅することを隠していました。実はそうなんです」
「だったら、ゲイだっていう証拠を見せてよ」
「しょ、証拠!?」
そんなもん、なにをどうしたら証拠になるんだよと、必死に考えながら混乱していると。
「石崎さん、昨日僕にしたことを、ここでやれば証拠になると思います」
聖哉が静かな声で告げた。
「昨日したことって、ここでやるのかよ!?」
反射的に答えた俺に、聖哉はいたって淡々と答える。
「恥ずかしいですけど、それを見せなきゃ納得しないんじゃないでしょうか。僕は大丈夫ですから、やっちゃってください」
聖哉は恥ずかしいと口にしたくせに、そんな感じをまったく見せず、俺の腕に縋りつきながら、ゆっくり瞳を閉じる。意を決して俺は顔を近づけ、唇を合わせた。
(俺としては棚からぼたもちだが、聖哉は今どんな気持ちで、キスを受けてるんだよ……)
昨日よりも5秒ほど長くキスして、顔を外した。
「サオリさん、納得してくれましたか?」
聖哉の心情が気になりつつも、目の前の厄介な客から対応する。すごく嫌そうに顔を歪ませた彼女は、舌打ちしながら街中に向けて駆け出して行った。
「聖哉ごめん。俺の事情に巻き込んでしまって」
「念のため、このまま一緒に帰りましょう。人の嫌がることを、平気でする人です。僕らのあとをつけるかもしれません」
俺と腕を組んだまま歩き出した聖哉に合わせて、俺も歩を進める。
「石崎さん、気にしないでください。実は僕、男性とキスしたことがあるんですよ」
聖哉の爆弾発言に、驚きながら訊ねてみる。
「そうなのか?」
「大学のコンパで王様ゲームをしたときに、先輩にされちゃいました」
「俺のキスは、罰ゲームなんかじゃない。本気なんだけど……」
こんな言葉をわざわざ言うべきじゃないことくらいわかっていたが、自分の気持ちが軽いものにとられたくなかったので、あえて告げてしまった。
「……すみません」
言いながら聖哉が俺の腕に絡めた腕を外しかけたので、慌ててその手を掴み、恋人つなぎした。
「外してほしくない。もし彼女があとをつけていたら、この状況をなんて答えればいいんだ?」
「それは――。あの、考えてませんでした。すみ」
「謝らないでくれ。お願いだ、このまま歩いて行こう」
俯いて謝りかけた聖哉の手を、ぎゅっと握りしめる。触れる部分が増えるだけで、愛おしさが増していく気がした。
彼女からの問いかけに、聖哉は黙ったまま俺に視線を向ける。この質問については俺が答えろと、暗に示していることがわかった。
「サオリさんは店のお客様ですので、俺の趣味を知って幻滅することを隠していました。実はそうなんです」
「だったら、ゲイだっていう証拠を見せてよ」
「しょ、証拠!?」
そんなもん、なにをどうしたら証拠になるんだよと、必死に考えながら混乱していると。
「石崎さん、昨日僕にしたことを、ここでやれば証拠になると思います」
聖哉が静かな声で告げた。
「昨日したことって、ここでやるのかよ!?」
反射的に答えた俺に、聖哉はいたって淡々と答える。
「恥ずかしいですけど、それを見せなきゃ納得しないんじゃないでしょうか。僕は大丈夫ですから、やっちゃってください」
聖哉は恥ずかしいと口にしたくせに、そんな感じをまったく見せず、俺の腕に縋りつきながら、ゆっくり瞳を閉じる。意を決して俺は顔を近づけ、唇を合わせた。
(俺としては棚からぼたもちだが、聖哉は今どんな気持ちで、キスを受けてるんだよ……)
昨日よりも5秒ほど長くキスして、顔を外した。
「サオリさん、納得してくれましたか?」
聖哉の心情が気になりつつも、目の前の厄介な客から対応する。すごく嫌そうに顔を歪ませた彼女は、舌打ちしながら街中に向けて駆け出して行った。
「聖哉ごめん。俺の事情に巻き込んでしまって」
「念のため、このまま一緒に帰りましょう。人の嫌がることを、平気でする人です。僕らのあとをつけるかもしれません」
俺と腕を組んだまま歩き出した聖哉に合わせて、俺も歩を進める。
「石崎さん、気にしないでください。実は僕、男性とキスしたことがあるんですよ」
聖哉の爆弾発言に、驚きながら訊ねてみる。
「そうなのか?」
「大学のコンパで王様ゲームをしたときに、先輩にされちゃいました」
「俺のキスは、罰ゲームなんかじゃない。本気なんだけど……」
こんな言葉をわざわざ言うべきじゃないことくらいわかっていたが、自分の気持ちが軽いものにとられたくなかったので、あえて告げてしまった。
「……すみません」
言いながら聖哉が俺の腕に絡めた腕を外しかけたので、慌ててその手を掴み、恋人つなぎした。
「外してほしくない。もし彼女があとをつけていたら、この状況をなんて答えればいいんだ?」
「それは――。あの、考えてませんでした。すみ」
「謝らないでくれ。お願いだ、このまま歩いて行こう」
俯いて謝りかけた聖哉の手を、ぎゅっと握りしめる。触れる部分が増えるだけで、愛おしさが増していく気がした。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる