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新たなる挑戦
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橋本が面白そうなコーナーだと称した県境の裏道に向けて、お昼過ぎに出発した。ふたりの休日が久しぶりにそろった貴重な時間を満喫すべく、宮本のテンションが最高潮だったのはいうまでもない。
「雅輝、少し眠ったらどうだ。現地に着いたら起こしてやるぞ」
県境までは、橋本がインプのハンドルを握った。走り慣れない峠道を高速走行する宮本の集中力を考え、進んで運転手役を買って出たというのに、助手席にいる恋人はそんな気遣いを他所に、嬉しそうな顔でスマホをいじる。
「雅輝、いい加減に」
「陽さん、いつも通りに運転してくださいね♡」
「は?」
妙に弾んだ宮本の声に橋本が反応して、啞然としながら隣を見た次の瞬間、スマホのシャッター音が車内に響き渡る。連射モードだったらしく、機械的な音が橋本の耳に雑音として残った。
「うひひひっ♡ どんなタイミングでも、陽さんってば男前だよなぁ。コレクションが増えるたびに、うっとり見惚れてしまう」
「おまえ、なにやってんだ……」
「なにって寂しくなったときのために、陽さんの写真を集めてるんです。仕事着のスーツでハンドルを握ってる姿は、もちろん格好いいんですけど、私服姿もかなり眼福モノなんですよ♡」
「あのさ、写す許可くらい事前にすれよな。撮られたくないときだってあるわけだし」
げんなりした橋本はため息をつきつつ、眉根を寄せながら前を見据える。宮本の奇行に、思いっきり呆れかえっていたときだった。
「陽さん、撮りますよ!」
「今かよ!?」
ギョッとして振り向いたタイミングで、ふたたびシャッターが切られた。もちろん期待を裏切らない連射モードである。
「ちゃんと許可をとったんですから、文句は言わないでくださいね」
「信じらんねぇ。今のはナシだろ」
「ありよりのありです♡」
「……マジか」
親指を立てて喜ぶ宮本に、ハンドルを握る橋本は為す術がなかった。その後も、♡マークが飛び交う撮影会が続行された。狭い車内で繰り広げられるこのやり取り自体が、甘いバトルそのものかもしれない。
橋本が面白そうなコーナーだと称した県境の裏道に向けて、お昼過ぎに出発した。ふたりの休日が久しぶりにそろった貴重な時間を満喫すべく、宮本のテンションが最高潮だったのはいうまでもない。
「雅輝、少し眠ったらどうだ。現地に着いたら起こしてやるぞ」
県境までは、橋本がインプのハンドルを握った。走り慣れない峠道を高速走行する宮本の集中力を考え、進んで運転手役を買って出たというのに、助手席にいる恋人はそんな気遣いを他所に、嬉しそうな顔でスマホをいじる。
「雅輝、いい加減に」
「陽さん、いつも通りに運転してくださいね♡」
「は?」
妙に弾んだ宮本の声に橋本が反応して、啞然としながら隣を見た次の瞬間、スマホのシャッター音が車内に響き渡る。連射モードだったらしく、機械的な音が橋本の耳に雑音として残った。
「うひひひっ♡ どんなタイミングでも、陽さんってば男前だよなぁ。コレクションが増えるたびに、うっとり見惚れてしまう」
「おまえ、なにやってんだ……」
「なにって寂しくなったときのために、陽さんの写真を集めてるんです。仕事着のスーツでハンドルを握ってる姿は、もちろん格好いいんですけど、私服姿もかなり眼福モノなんですよ♡」
「あのさ、写す許可くらい事前にすれよな。撮られたくないときだってあるわけだし」
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「陽さん、撮りますよ!」
「今かよ!?」
ギョッとして振り向いたタイミングで、ふたたびシャッターが切られた。もちろん期待を裏切らない連射モードである。
「ちゃんと許可をとったんですから、文句は言わないでくださいね」
「信じらんねぇ。今のはナシだろ」
「ありよりのありです♡」
「……マジか」
親指を立てて喜ぶ宮本に、ハンドルを握る橋本は為す術がなかった。その後も、♡マークが飛び交う撮影会が続行された。狭い車内で繰り広げられるこのやり取り自体が、甘いバトルそのものかもしれない。
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