BL小説短編集

相沢蒼依

文字の大きさ
上 下
287 / 329
新たなる挑戦

2

しおりを挟む
***

 せっかくの出逢いを無にしないため、宮本は橋本の黒塗りのハイヤーを探し出し、エナジードリンクをいただいたお礼を告げつつ、友達になってくれと頼み込んでみた。探し出す際に見た橋本のドライビングテクニックに惚れこんだのが理由のひとつだった。

 最初は難色を示していた橋本だったが、宮本の過去の恋愛話を偶然耳にしたのがきっかけで、あっさり友達になってもらえた。

 顔を突き合わせながら言葉を交わしていくうちに、乗ってみたいと憧れていた車を橋本が所有していることがわかり、恋心がさらに加速した。それと同時に、橋本に片想いしている相手がいることを知った。その人はハイヤーを日頃から使っている同性の既婚者だった。

 見た目が残念すぎる自分を好きになってもらえるチャンスがあるかもしれないと淡い期待を抱き、橋本の愛車を借りて、峠のコーナーを攻めてみた。橋本にいいところを見せるべく、ここぞとばかりに頑張ってしまった結果、助手席で失神させてしまったという悲しい出来事になったが、橋本の心を動かすことに成功し、付き合うことになった。

 レールのないジェットコースターのような走りをする宮本の隣に乗っているうちに慣れて、失神することがなくなった橋本は、道路状況を即座に分析し、的確なアドバイスをした。そのお蔭で、宮本の走りにより磨きがかかった。

 そんなある日、「あのさ、面白そうなコーナーを見つけたんだ。新規のお客様を乗せたときに、それを偶然見つけたんだけど」という橋本の言葉がきっかけとなり、休日にふたりでその場所にでかけた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

男色官能小説短編集

明治通りの民
BL
男色官能小説の短編集です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

食事届いたけど配達員のほうを食べました

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか? そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。

とろとろ【R18短編集】

ちまこ。
BL
ねっとり、じっくりと。 とろとろにされてます。 喘ぎ声は可愛いめ。 乳首責め多めの作品集です。

会員制ガレージ

カタナカナタ
BL
若い自動車修理工がトラック運転手と深い関係に。その先にあったのは「会員制ガレージ」だった。

甥の性奴隷に堕ちた叔父さま

月歌(ツキウタ)
BL
甥の性奴隷として叔父が色々される話

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

処理中です...