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抗うことのできない恋だから、どうか一緒に堕ちてほしい
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「あんな最期を迎えた先輩ですが、生まれ変われることができるのでしょうか?」
「それなら俺からの質問だ。この世は善があるように悪も存在する。悪は悪いものとして、この世から滅亡すればいいと思うか?」
意を決したベニーからの質問に答えず、学年主任はまったく別の問いかけをしながら、意地が悪そうに口元を歪めた。その様子からベニーの返答次第で、自分が問いかけたことがなされるか否かがわかった。
一瞬だけ目を閉じ、自分の考えをまとめてから、思いきって口を開く。
「私は前世、懲悪を信念に刑事をしていました。悪から善を守ろうと思ったんです。ですが悪があるからこそ、同じような悪をとどめていることを、転生してから知りました」
自分が仕えた、主のローランドに手を出した伯爵然り――悪の権化である伯爵がローランドに執着してくれたお蔭で、他の貴族から手を出されずに済んでいたことを思い出す。
「転生してから知ったとは、随分と時間がかかってから、知ったことになるんだな。自殺する前に知り得たのなら、また違う未来を送っていただろうに」
「毒も使い方次第で、良薬に転用できるということです」
「悪くない返答だ。おまえが知りたがっていることを教えてやる」
そう言ったのに、向けていた顔を逸らし、重い扉に手をかける。
「学年主任っ!」
教えてやると言ったのに、このまま逃げられると思い、ベニーは慌てて声をかけた。
「その身と彼奴の記憶を地獄の業火で燃やしたが、魂までは燃えていない。だが咎人として上に認定されている以上、人間に転生できない決まりになっている」
「人として転生できない……。それじゃあ先輩はいったい、何になるというのです?」
ベニーの頭の中に、人以外の生を持っているものが浮かんでは消えていく。そのどれもが、言葉を話せないものだった。
「この世には人間以外にも、魂を持つものは多くある。彼奴が何に転生するかは、俺の預かり知らぬこと。言えるのはそれだけだ」
「そんな……」
どこかの異世界で、人間以外のものに転生する――弱肉強食の世を知っているからこそ、生きることの難しさを考えずにはいられなかった。
「案外、この近くで産声をあげているかもな。なんてったって自分の命を投げ出して、おまえを守ろうとしたのだから」
「ありがとうございます!」
知らないと言ったくせに、顔を背けたままヒントを語った学年主任に、ベニーは破顔しながら誠意を込めてお礼を言ったのだった。
「それなら俺からの質問だ。この世は善があるように悪も存在する。悪は悪いものとして、この世から滅亡すればいいと思うか?」
意を決したベニーからの質問に答えず、学年主任はまったく別の問いかけをしながら、意地が悪そうに口元を歪めた。その様子からベニーの返答次第で、自分が問いかけたことがなされるか否かがわかった。
一瞬だけ目を閉じ、自分の考えをまとめてから、思いきって口を開く。
「私は前世、懲悪を信念に刑事をしていました。悪から善を守ろうと思ったんです。ですが悪があるからこそ、同じような悪をとどめていることを、転生してから知りました」
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「毒も使い方次第で、良薬に転用できるということです」
「悪くない返答だ。おまえが知りたがっていることを教えてやる」
そう言ったのに、向けていた顔を逸らし、重い扉に手をかける。
「学年主任っ!」
教えてやると言ったのに、このまま逃げられると思い、ベニーは慌てて声をかけた。
「その身と彼奴の記憶を地獄の業火で燃やしたが、魂までは燃えていない。だが咎人として上に認定されている以上、人間に転生できない決まりになっている」
「人として転生できない……。それじゃあ先輩はいったい、何になるというのです?」
ベニーの頭の中に、人以外の生を持っているものが浮かんでは消えていく。そのどれもが、言葉を話せないものだった。
「この世には人間以外にも、魂を持つものは多くある。彼奴が何に転生するかは、俺の預かり知らぬこと。言えるのはそれだけだ」
「そんな……」
どこかの異世界で、人間以外のものに転生する――弱肉強食の世を知っているからこそ、生きることの難しさを考えずにはいられなかった。
「案外、この近くで産声をあげているかもな。なんてったって自分の命を投げ出して、おまえを守ろうとしたのだから」
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