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抗うことのできない恋だから、どうか一緒に堕ちてほしい
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「特別な者同士、ここで仲良く生活して、おまえが現れるのを待てと命令されていた」
「私が追ってくることは、上に筒抜けだったということですね。先輩と一緒に隠密行動していたというのに、まったく意味がなかったのは残念でなりません」
「隠せるわけがないだろ。俺らが生活してるこの世に、上のヤツらが混じって見張っているんだぞ」
どこか人を小馬鹿にしたような口調で告げられたせいで、返答に困りながら事実を吐露する。
「初耳です……」
目を見開いて驚くベニーを、弘泰の見守り人はどこか呆れたまなざしで見てから、テーブルに置かれているお茶をすする。
さきほどから目の前でなされる余裕のある態度と知らない情報の連続に、ベニーの心がざわついて仕方なかった。そんな動揺を隠そうとすればするほどに、考えていることが宙に舞い、口を開けなかった。
「選ばれし人間はおまえだけじゃない。ある程度の人数をまとめて、同じ場所に転生させられている。そのほうが管理しやすいだろう?」
「…………」
「おまえの見守り人が、そのことをリークしなかった理由は知らん。もしかして無駄に長く生きていると、物忘れが激しくなるのかもな」
ベニーは震える手で置かれた湯飲みを掴み寄せ、両手で包み込む。多少冷めてはいたものの、伝わってくるほのかなぬくもりのお蔭で、安堵のため息をつくことができた。
「今の現状で、俺から与えることができるシステムについての説明は以上だ。質問はあるか?」
「その口ぶりだと、他にもなにかあるんですね」
湯飲みを握りしめる手に力を込めながら、思いきって問いかけてみた。
「その顔色に落ち着かない様子は、随分と動揺しているみたいだな。そんな心の弱さが、おまえの見守り人の口を塞いだ原因か」
「心の……弱さ」
「元殺人犯の俺が赤ん坊の面倒を見る。これってすごくリスキーなことだと思わないか?」
指摘されたことから一転、自身の話をされたことに疑問はあったが、素直に答えることにした。
「私が追ってくることは、上に筒抜けだったということですね。先輩と一緒に隠密行動していたというのに、まったく意味がなかったのは残念でなりません」
「隠せるわけがないだろ。俺らが生活してるこの世に、上のヤツらが混じって見張っているんだぞ」
どこか人を小馬鹿にしたような口調で告げられたせいで、返答に困りながら事実を吐露する。
「初耳です……」
目を見開いて驚くベニーを、弘泰の見守り人はどこか呆れたまなざしで見てから、テーブルに置かれているお茶をすする。
さきほどから目の前でなされる余裕のある態度と知らない情報の連続に、ベニーの心がざわついて仕方なかった。そんな動揺を隠そうとすればするほどに、考えていることが宙に舞い、口を開けなかった。
「選ばれし人間はおまえだけじゃない。ある程度の人数をまとめて、同じ場所に転生させられている。そのほうが管理しやすいだろう?」
「…………」
「おまえの見守り人が、そのことをリークしなかった理由は知らん。もしかして無駄に長く生きていると、物忘れが激しくなるのかもな」
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「今の現状で、俺から与えることができるシステムについての説明は以上だ。質問はあるか?」
「その口ぶりだと、他にもなにかあるんですね」
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