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抗うことのできない恋だから、どうか一緒に堕ちてほしい
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自分の心をあたたかく包み込む笑顔を目の当たりにして、なにか言葉を発しようとしても、うまく声にならず、ベニーの目尻に涙が滲んでいった。
「ベニーは意外と泣き虫なんですね。これじゃあつらいことがあっても、僕は泣くことができないじゃないですか」
「もっ申し訳ございません。告げたいことがあるのに、うまく言葉にできず……」
「そんなベニーを僕は支えたいです。とはいえ高校生でまだまだだから、たくさん迷惑かけちゃうかもしれないですけど」
クスクス笑いながら、目の前にある顔を両手で包み込み、そっとくちびるを重ねた。その衝撃で弘泰の頬に、ベニーのあたたかい涙が零れ落ちる。
「ベニー、もう泣く必要はないんですよ」
「弘泰……」
「貴方がここまで、僕を追いかけてくれた。だから恋が実ったんです」
「そうです。抗うことのできない恋に堕とすために、私は弘泰を追いかけました」
やっと涙を拭い、笑みを浮かべたベニーを見上げた弘泰は、せがむように白衣の襟を掴んだ。
「だったら徹底的に堕とすために、僕を抱いてください」
ベニーは顔を寄せた弘泰の腕を掴み、手荒に外した。いつもは丁寧に扱ってくれるのに、らしくない行為のせいで、弘泰はショックを隠せない。外された両手を見つめるので、精いっぱいだった。
「大切な弘泰を抱くのに、こんな場所ではダメです。落ち着かないですし……」
「僕らの出逢いの場所なのに?」
「そうなんですが……。不測の事態に陥ったときの対処方法が、まったく思いつきません」
「不測の事態?」
唇を尖らせて語尾をあげながら問いかける弘泰を、弱り切った表情でベニーは眺めた。
「弘泰に跨ってる姿を誰かに見られたりしたら、私は警察行きですからね」
言いながらわざわざ両手首をくっつけて、捕まったときの格好をしてみせるベニーに、弘泰は声をあげて笑った。落ち込んだのを悟って、わざわざ笑いをとってくれたことが嬉しくてならない。
「それじゃあ、そんなことにならないアイディアを僕が考えますので、ノってくれますか?」
弘泰はしたり顔をしながら、上目遣いでベニーを見つめる。
「弘泰、君はマモルの性格を、いい意味で受け継いでしまったようですね。このままでは、徹底的に翻弄されそうです……」
未来を予言したベニーのセリフが当たるかどうかは、後ほどわかるのだった。
「ベニーは意外と泣き虫なんですね。これじゃあつらいことがあっても、僕は泣くことができないじゃないですか」
「もっ申し訳ございません。告げたいことがあるのに、うまく言葉にできず……」
「そんなベニーを僕は支えたいです。とはいえ高校生でまだまだだから、たくさん迷惑かけちゃうかもしれないですけど」
クスクス笑いながら、目の前にある顔を両手で包み込み、そっとくちびるを重ねた。その衝撃で弘泰の頬に、ベニーのあたたかい涙が零れ落ちる。
「ベニー、もう泣く必要はないんですよ」
「弘泰……」
「貴方がここまで、僕を追いかけてくれた。だから恋が実ったんです」
「そうです。抗うことのできない恋に堕とすために、私は弘泰を追いかけました」
やっと涙を拭い、笑みを浮かべたベニーを見上げた弘泰は、せがむように白衣の襟を掴んだ。
「だったら徹底的に堕とすために、僕を抱いてください」
ベニーは顔を寄せた弘泰の腕を掴み、手荒に外した。いつもは丁寧に扱ってくれるのに、らしくない行為のせいで、弘泰はショックを隠せない。外された両手を見つめるので、精いっぱいだった。
「大切な弘泰を抱くのに、こんな場所ではダメです。落ち着かないですし……」
「僕らの出逢いの場所なのに?」
「そうなんですが……。不測の事態に陥ったときの対処方法が、まったく思いつきません」
「不測の事態?」
唇を尖らせて語尾をあげながら問いかける弘泰を、弱り切った表情でベニーは眺めた。
「弘泰に跨ってる姿を誰かに見られたりしたら、私は警察行きですからね」
言いながらわざわざ両手首をくっつけて、捕まったときの格好をしてみせるベニーに、弘泰は声をあげて笑った。落ち込んだのを悟って、わざわざ笑いをとってくれたことが嬉しくてならない。
「それじゃあ、そんなことにならないアイディアを僕が考えますので、ノってくれますか?」
弘泰はしたり顔をしながら、上目遣いでベニーを見つめる。
「弘泰、君はマモルの性格を、いい意味で受け継いでしまったようですね。このままでは、徹底的に翻弄されそうです……」
未来を予言したベニーのセリフが当たるかどうかは、後ほどわかるのだった。
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