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抗うことのできない恋だから、どうか一緒に堕ちてほしい
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「いえ、あの、そこまで酷い怪我でもなかったのに、ここまでしていただいて、申し訳なかったというか……」
見るからに落ち込んだ明堂に、改めて弁明する。
「ちなみに先輩とは深い関係ではないので、誤解しないでいただけると助かります」
ベニーは背後にいる黒ずくめの男に視線を飛ばすと、バツの悪そうな表情を浮かべたまま、何度も首を縦に振る姿がそこにあった。
「というか、俺がベニーちゃんをぶん殴ってるあたりで、そういう関係じゃないと思わないか?」
胸の前に腕を組んで訊ねたセリフに、明堂は弱りきった顔をした。
「すみません。殴ったところを見ていないし、ここから覗いたときには、おふたりが親しげに顔を寄せあっていたので、つまりその……」
「ちっ、ベニーちゃんが誤解されるようなことを、絶妙なタイミングでかますから、明堂くんがベッドを使うかなんて言葉を発したわけか。なるほど! 自分で自分の首を絞めるなんて、器用な男だな」
舌打ち混じりにベニーに文句をつけた黒ずくめの男は、含みのある笑みを口角に浮かべて、立ったままでいるふたりに近づいた。
「先輩?」
ベニーは嫌な予感がした。長い付き合いから、浮かべている微笑みの意味を瞬間的に悟り、余計なことを言わせないようにすべく話しかけたが、それを見後にスルーして、仲良さげに肩を組まれる。
「俺とコイツはただのお友達、もちろんセフレでもない。好きになったヤツを一途に愛する、クソがつくほど真面目な男でさ。そんなベニーちゃんに、骨の髄まで愛されてみたいと思わな痛っ!」
言い終える直前にベニーの鉄拳が、黒ずくめの男の脳天に見事に決まった。ついさっき殴られたことについてのお返しを込めているので、相当痛いものになったと推測される。
「生徒相手に、何を言いだすかと思ったら。すみません、常識のない大人の管理ができなくて」
「どっちが常識のない大人だよ。ベニーちゃんのほうがいろんな意味で、絶対にヤバいだろ」
ぎゃんぎゃん言い合うふたりを見て、明堂は口元を押さえながらクスクス笑う。
「なっ……」
笑われたことに恥ずかしさを覚えたベニーの頬が、ぽっと赤く染まった。
(明堂くん、なんて可愛らしい笑顔なんでしょう。今すぐにでも、食べてしまいたい衝動に駆られそうになる。余計なことを言う先輩が、傍にいてよかったというべきか)
「すみません、僕もう教室に戻ります! いろいろありがとうございましたっ!」
恥ずかしそうに俯いて、ハンガーにかけてあったブレザーを手に持ち、上靴の音を鳴らしながら慌ただしく出て行った明堂の背中を、ベニーは名残惜しげに眺めた。
「ベニーちゃんのギャップ萌えに、やられちゃった感じだな。あれは」
「ギャップ萌え?」
黒づくめの男が言ったセリフの意味がわからず、目の前に視線を戻すと、得意げな顔で右手人差し指をぴんと伸ばした。
見るからに落ち込んだ明堂に、改めて弁明する。
「ちなみに先輩とは深い関係ではないので、誤解しないでいただけると助かります」
ベニーは背後にいる黒ずくめの男に視線を飛ばすと、バツの悪そうな表情を浮かべたまま、何度も首を縦に振る姿がそこにあった。
「というか、俺がベニーちゃんをぶん殴ってるあたりで、そういう関係じゃないと思わないか?」
胸の前に腕を組んで訊ねたセリフに、明堂は弱りきった顔をした。
「すみません。殴ったところを見ていないし、ここから覗いたときには、おふたりが親しげに顔を寄せあっていたので、つまりその……」
「ちっ、ベニーちゃんが誤解されるようなことを、絶妙なタイミングでかますから、明堂くんがベッドを使うかなんて言葉を発したわけか。なるほど! 自分で自分の首を絞めるなんて、器用な男だな」
舌打ち混じりにベニーに文句をつけた黒ずくめの男は、含みのある笑みを口角に浮かべて、立ったままでいるふたりに近づいた。
「先輩?」
ベニーは嫌な予感がした。長い付き合いから、浮かべている微笑みの意味を瞬間的に悟り、余計なことを言わせないようにすべく話しかけたが、それを見後にスルーして、仲良さげに肩を組まれる。
「俺とコイツはただのお友達、もちろんセフレでもない。好きになったヤツを一途に愛する、クソがつくほど真面目な男でさ。そんなベニーちゃんに、骨の髄まで愛されてみたいと思わな痛っ!」
言い終える直前にベニーの鉄拳が、黒ずくめの男の脳天に見事に決まった。ついさっき殴られたことについてのお返しを込めているので、相当痛いものになったと推測される。
「生徒相手に、何を言いだすかと思ったら。すみません、常識のない大人の管理ができなくて」
「どっちが常識のない大人だよ。ベニーちゃんのほうがいろんな意味で、絶対にヤバいだろ」
ぎゃんぎゃん言い合うふたりを見て、明堂は口元を押さえながらクスクス笑う。
「なっ……」
笑われたことに恥ずかしさを覚えたベニーの頬が、ぽっと赤く染まった。
(明堂くん、なんて可愛らしい笑顔なんでしょう。今すぐにでも、食べてしまいたい衝動に駆られそうになる。余計なことを言う先輩が、傍にいてよかったというべきか)
「すみません、僕もう教室に戻ります! いろいろありがとうございましたっ!」
恥ずかしそうに俯いて、ハンガーにかけてあったブレザーを手に持ち、上靴の音を鳴らしながら慌ただしく出て行った明堂の背中を、ベニーは名残惜しげに眺めた。
「ベニーちゃんのギャップ萌えに、やられちゃった感じだな。あれは」
「ギャップ萌え?」
黒づくめの男が言ったセリフの意味がわからず、目の前に視線を戻すと、得意げな顔で右手人差し指をぴんと伸ばした。
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