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両片想い
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社長の息子はキスをしながら大きな片手で、白鷺課長の躰をまさぐった。ジャケットの下に器用に潜り込んだ手は、確実に敏感な部分に触れているんだろう。
感じるたびに吐息を漏らして躰をしならせているのに、白鷺課長はキスを止めようとしなかった。むしろ感じながら、楽しんでいるようにも見える。
「んぅうっ、ふっ…あっ」
(これ以上見ているのはヤバい。刺激が強すぎる――)
長机から出していた頭を低くして、最初のように膝を抱えた。
白鷺課長のエロい声、社長の息子の手から出る衣擦れの音、互いの舌を執拗に絡ませる水音など、目には見えなくても、濃厚な行為がおこなわれる音のオンパレードで、次は何が起こるんだろうかと、ついつい聞き入ってしまう。
「くっ…鉄平のエロ。昨日あれだけしたのに、まだ俺が欲しいのかよ」
根を上げたのは意外にも、社長の息子だった。ハアハアという呼吸音が、激しさを物語っていた。
「まったく。坊ちゃん、いい加減にお触り禁止だ。部署に戻るのに、余分な時間がかかってしまう」
あれだけハードなことをしていたのに、それを感じさせない白鷺課長の声。部署で社長の息子相手に文句を言うときと、同じフレーズだった。
「ズリぃよな、課長は。さっきまでのことが、なかったみたいな顔をしてさ。おっ勃ってるように、全然見えないんだから」
「白々しい顔をしていても、壮馬が欲しいことには変わりなからな。今度からは、TPOをわきまえてしてくれ」
ゴンッ!
「痛っ……」
多分、社長の息子の頭を殴ったらしい音がした。
「壮馬の馬鹿。さりげなく名前呼びしやがって。俺まで名前で呼んじゃったじゃないか」
「スルーされたからラッキーと思ってたのに。でも嬉しかった」
「なにが?」
「ここは会社なのに名前で呼んでくれたことも、俺を欲しがってくれたことも全部がっ!」
言い終える前に、ふたたび殴打する音がした。しかもさっきのものよりも威力があって、痛そうな音に聞こえた。
「坊ちゃん、調子に乗りすぎだ。あと5分で戻ってこいよ!」
扉を開く音と同時にかけられた白鷺課長の上擦った声は、照れを含んだ感じだった。
感じるたびに吐息を漏らして躰をしならせているのに、白鷺課長はキスを止めようとしなかった。むしろ感じながら、楽しんでいるようにも見える。
「んぅうっ、ふっ…あっ」
(これ以上見ているのはヤバい。刺激が強すぎる――)
長机から出していた頭を低くして、最初のように膝を抱えた。
白鷺課長のエロい声、社長の息子の手から出る衣擦れの音、互いの舌を執拗に絡ませる水音など、目には見えなくても、濃厚な行為がおこなわれる音のオンパレードで、次は何が起こるんだろうかと、ついつい聞き入ってしまう。
「くっ…鉄平のエロ。昨日あれだけしたのに、まだ俺が欲しいのかよ」
根を上げたのは意外にも、社長の息子だった。ハアハアという呼吸音が、激しさを物語っていた。
「まったく。坊ちゃん、いい加減にお触り禁止だ。部署に戻るのに、余分な時間がかかってしまう」
あれだけハードなことをしていたのに、それを感じさせない白鷺課長の声。部署で社長の息子相手に文句を言うときと、同じフレーズだった。
「ズリぃよな、課長は。さっきまでのことが、なかったみたいな顔をしてさ。おっ勃ってるように、全然見えないんだから」
「白々しい顔をしていても、壮馬が欲しいことには変わりなからな。今度からは、TPOをわきまえてしてくれ」
ゴンッ!
「痛っ……」
多分、社長の息子の頭を殴ったらしい音がした。
「壮馬の馬鹿。さりげなく名前呼びしやがって。俺まで名前で呼んじゃったじゃないか」
「スルーされたからラッキーと思ってたのに。でも嬉しかった」
「なにが?」
「ここは会社なのに名前で呼んでくれたことも、俺を欲しがってくれたことも全部がっ!」
言い終える前に、ふたたび殴打する音がした。しかもさっきのものよりも威力があって、痛そうな音に聞こえた。
「坊ちゃん、調子に乗りすぎだ。あと5分で戻ってこいよ!」
扉を開く音と同時にかけられた白鷺課長の上擦った声は、照れを含んだ感じだった。
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