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三度目の正直💞
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アイツに「美味い!」と言わしめるために、自分の中では得意の部類に入る、抹茶のシフォンケーキを作ってみることにした。
いつもより気合いを入れて、生地作りにいそしむ。丁寧に作業したせいか、オーブンに入れるときは上手にできますようにと、この世にいるはずのないお菓子作りの神様にお願いする始末。普段なら絶対に、こんなことをしないはずなのに。
シフォンケーキの生地が焼き上がってから、逆さまにして完全に冷めるのを待つ。ドキドキしながら待つこと1時間後、型から外してみると、シフォンケーキの底にはペッコリした凹みができていた。
「気合いを入れすぎたせいで、失敗しちゃったの? そんなぁ!」
キッチンで絶叫しても、変な形のシフォンケーキが目の前にあるだけ。もちろん、こんな失敗作を渡すことはできない。
肩を落としつつも気を取り直し、失敗した原因をネットで調べて問題を解決すべく、ふたたびチャレンジする。甘さが控えめのお菓子が好みだと聞いていたのもあり、既定の分量より砂糖を控えていた。それが凹みの原因のひとつだと分かったので、今度は表示通りに作った。
今度こそ完璧に仕上げてみせたと胸を撫で下ろして、生地の入った型をオーブンに入れる。焼き上がるまでの間に、見た目の悪いシフォンケーキを食べてみた。
(お茶屋さんで買った、抹茶を使ったお蔭かな。ちょうどいい渋みが甘さを引き立てているけど、やっぱりもう少し甘いほうがいいみたい)
見た目だけじゃなく味もイマイチなことを、身をもって思い知った。
その後、焼き上がった熱々の型をオーブンから取り出し、ひっくり返して冷ます。焼き上げてる最中の膨らみ方は、バッチリだった。きつね色のちょうどいい焦げ目もついている。きっと大丈夫なはず!
そんな自信も、型から外したスポンジ生地がすべて打ち砕いた。側面にできた大きな空気穴のせいで片側だけ窪んだ状態になり、まるでお辞儀をしているみたいなシフォンケーキになってしまった。
「生地作りに必死になりすぎて、焼く前に型ごと軽く落として空気を抜いておくのを、すっかり忘れてた!」
仕事でやってしまうミスを、得意なお菓子作りでも発揮するなんて。不器用すぎるにもほどがある……。
三度目の正直――これまでの工程を暗唱しながら生地を作り、気泡を抜くためにしっかり型を落としてから、美味しくできますようにと願いを込めてオーブンに入れたものは、今までの中で一番のできあがりになって大満足だった。
カッティングした断面からのぞく抹茶の綺麗な緑色が、美味しさを引き立てているように見えた。
食べやすい大きさに切り分けて、ひとつひとつをラッピングする。その一部分を試食してみるべく、フォークを突き刺した。しっとりとした生地から抹茶の香りが漂ってくるそれを、思いきってぱくっと一口頬張った。
(この味なら日頃つきつけられる、憎たらしいセリフが出こないはず。ついでに私のことを、少しでも見直してもらえたらいいな――)
いつもより気合いを入れて、生地作りにいそしむ。丁寧に作業したせいか、オーブンに入れるときは上手にできますようにと、この世にいるはずのないお菓子作りの神様にお願いする始末。普段なら絶対に、こんなことをしないはずなのに。
シフォンケーキの生地が焼き上がってから、逆さまにして完全に冷めるのを待つ。ドキドキしながら待つこと1時間後、型から外してみると、シフォンケーキの底にはペッコリした凹みができていた。
「気合いを入れすぎたせいで、失敗しちゃったの? そんなぁ!」
キッチンで絶叫しても、変な形のシフォンケーキが目の前にあるだけ。もちろん、こんな失敗作を渡すことはできない。
肩を落としつつも気を取り直し、失敗した原因をネットで調べて問題を解決すべく、ふたたびチャレンジする。甘さが控えめのお菓子が好みだと聞いていたのもあり、既定の分量より砂糖を控えていた。それが凹みの原因のひとつだと分かったので、今度は表示通りに作った。
今度こそ完璧に仕上げてみせたと胸を撫で下ろして、生地の入った型をオーブンに入れる。焼き上がるまでの間に、見た目の悪いシフォンケーキを食べてみた。
(お茶屋さんで買った、抹茶を使ったお蔭かな。ちょうどいい渋みが甘さを引き立てているけど、やっぱりもう少し甘いほうがいいみたい)
見た目だけじゃなく味もイマイチなことを、身をもって思い知った。
その後、焼き上がった熱々の型をオーブンから取り出し、ひっくり返して冷ます。焼き上げてる最中の膨らみ方は、バッチリだった。きつね色のちょうどいい焦げ目もついている。きっと大丈夫なはず!
そんな自信も、型から外したスポンジ生地がすべて打ち砕いた。側面にできた大きな空気穴のせいで片側だけ窪んだ状態になり、まるでお辞儀をしているみたいなシフォンケーキになってしまった。
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食べやすい大きさに切り分けて、ひとつひとつをラッピングする。その一部分を試食してみるべく、フォークを突き刺した。しっとりとした生地から抹茶の香りが漂ってくるそれを、思いきってぱくっと一口頬張った。
(この味なら日頃つきつけられる、憎たらしいセリフが出こないはず。ついでに私のことを、少しでも見直してもらえたらいいな――)
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