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Love too late:揺れる想い
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決意も新たにリビングに戻り、桃瀬が作ってくれたスタミナ餃子を焼いて、テーブルにセッティングし、夕飯がはじまった。
「タケシ先生、その変な卵焼き、食べないでください……」
「なんでだよ、勿体無いじゃないか」
(いかーん! いつものクセが出て、つい不機嫌モードで喋ってしまった)
「でも俺の作ったのは、すっげぇ美味しくないし」
「まぁな。美味しくないのは承知の上だけど、おまえが一生懸命作ってくれたんだし、あり難く戴くよ」
パクパクと口に運び、ご飯を突っ込んで味がわからないようにする。
(とにかく、もっと甘い雰囲気にせねば。むーっ、太郎が喜びそうなネタ、なにかないかな?)
「太郎あのさ……」
「どうしたの、タケシ先生?」
「おまえ、絵を描くのが上手いんだな」
今日あった出来事を走馬灯のように思い出し、やっと見つけることに成功! 褒められた太郎は、頬を少しだけ赤くした。
「妹の面倒を見るのに、よく絵を描いていたから。リクエストを受けて描いたおかげで、模写が得意なんだ」
「そうなのか。俺は絵心がないから、羨ましいと思う……」
――会話が続かない。いつもなら別の意味で、もっと盛り上がるのに。
「なぁ……さっきから、どうしたのさ?」
「な、なにが?」
太郎は猜疑心を含んだ目で、俺をじっと見つめる。
「俺のこと、ムダに持ち上げようとしてる。まるで、やましいことでも隠そうとしてるみたい」
(ギクッ!)
「おまえに隠し事するって、なにをだよ。がっ、頑張ってる姿を見て、褒めないほうがおかしいだ、ろ?」
口が回らなくて、言葉が変に上滑りする。焦ってるせいか不味い卵焼きに、さくさく箸が進んだ。味なんて全然わかりゃしない。
「だけど、さ」
「本当におまえは、すごいって思ったんだ……俺が無理だとはっきり言ってるのに、臆することなく押しの一手で、一生懸命に迫ってきて」
「タケシ先生……」
どうしよう、顔が熱くなっていく。そんなにじっと見ないでほしい。
「う……はじめは、すっごく迷惑だって思ったけど、途中からいろいろ持て余しちゃって、どうしていいか本当にわからなくて、冷たい態度ばかりとっていたよな」
甘い雰囲気にすべく、台詞を用意していたワケではない。今は零れるように、次々と言葉が出てくる。
「まぁ結構、グサッとしたけど」
「それは、悪かったと思ってる。おまえに好かれて、その……嬉しいと感じているのにな」
最後の卵焼きに箸を伸ばして口に放り込むと、噛まずににゴックンと飲み込んだ。
「ご馳走様でした!」
きっちり両手を合わせて、心を落ちつかせるべく数秒間、合掌をしてから立ち上がり、キッチンで食器を洗ってから、素早くタオルで手を拭う。
「じっ、じゃあ、もう寝るわ。おやすみ」
「も早っ!?」
「ああ。忙しくて、今日は疲れちゃったから」
自分がなにを言ってしまったのか、なにをやらかしてしまったのか。考えるだけ恥ずかしいので、逃げるようにリビングを後にした。
そんな俺のことを、太郎はどう思ったのだろうか。
頬の熱を隠すべく、さっさと寝室に入って背中で扉を閉め、はーっと大きなため息をつく。
「さっきからなにやってんだよ、まったく……」
呆れてモノが言えないとは、このことだ。極上の甘い飴をくれてやると決心したものの実際、太郎を持ち上げるのが精一杯だった。ゆえに甘さのカケラすらない。
「考えたら俺、普段から太郎がベラベラ言ってるような言葉を、使ったことがなかったんだよな」
今まで付き合った彼女には――。
『周防くんって、ちょっと冷たいよね。いい雰囲気になっても、現実に引き戻すようなことを、わざわざ言うし』
なぁんて指摘され、あっさりと振られていた。現実に引き戻してしまうのは自己回避術で、好きで言ってるワケではない。そういう雰囲気を、ひしひしと肌で感じ取り、ヤバイ! なにか言って場を盛り上げなければと変に慌てて、結果的に目の前に映った彼女のマイナス面をズバッと指摘してしまうという、負のスパイラルに陥ってしまうだけだったりする。
今回は事前に計画を立てていたので、太郎のマイナス面を指摘することは、なんとか回避したが、思っていたのとはちょっと違ってしまった。
「もっとちゃんと、自分の気持ちが伝わるようなことを、すんなりと言えれば良かったのにさ。あんな中途半端な言葉じゃ、小さな子どもしか喜ばないだろ……」
不器用な恋愛ばかりをしてきたツケが現在、回っているような気がする。
しょんぼりしながら、ごそごそと布団にもぐった。
決意も新たにリビングに戻り、桃瀬が作ってくれたスタミナ餃子を焼いて、テーブルにセッティングし、夕飯がはじまった。
「タケシ先生、その変な卵焼き、食べないでください……」
「なんでだよ、勿体無いじゃないか」
(いかーん! いつものクセが出て、つい不機嫌モードで喋ってしまった)
「でも俺の作ったのは、すっげぇ美味しくないし」
「まぁな。美味しくないのは承知の上だけど、おまえが一生懸命作ってくれたんだし、あり難く戴くよ」
パクパクと口に運び、ご飯を突っ込んで味がわからないようにする。
(とにかく、もっと甘い雰囲気にせねば。むーっ、太郎が喜びそうなネタ、なにかないかな?)
「太郎あのさ……」
「どうしたの、タケシ先生?」
「おまえ、絵を描くのが上手いんだな」
今日あった出来事を走馬灯のように思い出し、やっと見つけることに成功! 褒められた太郎は、頬を少しだけ赤くした。
「妹の面倒を見るのに、よく絵を描いていたから。リクエストを受けて描いたおかげで、模写が得意なんだ」
「そうなのか。俺は絵心がないから、羨ましいと思う……」
――会話が続かない。いつもなら別の意味で、もっと盛り上がるのに。
「なぁ……さっきから、どうしたのさ?」
「な、なにが?」
太郎は猜疑心を含んだ目で、俺をじっと見つめる。
「俺のこと、ムダに持ち上げようとしてる。まるで、やましいことでも隠そうとしてるみたい」
(ギクッ!)
「おまえに隠し事するって、なにをだよ。がっ、頑張ってる姿を見て、褒めないほうがおかしいだ、ろ?」
口が回らなくて、言葉が変に上滑りする。焦ってるせいか不味い卵焼きに、さくさく箸が進んだ。味なんて全然わかりゃしない。
「だけど、さ」
「本当におまえは、すごいって思ったんだ……俺が無理だとはっきり言ってるのに、臆することなく押しの一手で、一生懸命に迫ってきて」
「タケシ先生……」
どうしよう、顔が熱くなっていく。そんなにじっと見ないでほしい。
「う……はじめは、すっごく迷惑だって思ったけど、途中からいろいろ持て余しちゃって、どうしていいか本当にわからなくて、冷たい態度ばかりとっていたよな」
甘い雰囲気にすべく、台詞を用意していたワケではない。今は零れるように、次々と言葉が出てくる。
「まぁ結構、グサッとしたけど」
「それは、悪かったと思ってる。おまえに好かれて、その……嬉しいと感じているのにな」
最後の卵焼きに箸を伸ばして口に放り込むと、噛まずににゴックンと飲み込んだ。
「ご馳走様でした!」
きっちり両手を合わせて、心を落ちつかせるべく数秒間、合掌をしてから立ち上がり、キッチンで食器を洗ってから、素早くタオルで手を拭う。
「じっ、じゃあ、もう寝るわ。おやすみ」
「も早っ!?」
「ああ。忙しくて、今日は疲れちゃったから」
自分がなにを言ってしまったのか、なにをやらかしてしまったのか。考えるだけ恥ずかしいので、逃げるようにリビングを後にした。
そんな俺のことを、太郎はどう思ったのだろうか。
頬の熱を隠すべく、さっさと寝室に入って背中で扉を閉め、はーっと大きなため息をつく。
「さっきからなにやってんだよ、まったく……」
呆れてモノが言えないとは、このことだ。極上の甘い飴をくれてやると決心したものの実際、太郎を持ち上げるのが精一杯だった。ゆえに甘さのカケラすらない。
「考えたら俺、普段から太郎がベラベラ言ってるような言葉を、使ったことがなかったんだよな」
今まで付き合った彼女には――。
『周防くんって、ちょっと冷たいよね。いい雰囲気になっても、現実に引き戻すようなことを、わざわざ言うし』
なぁんて指摘され、あっさりと振られていた。現実に引き戻してしまうのは自己回避術で、好きで言ってるワケではない。そういう雰囲気を、ひしひしと肌で感じ取り、ヤバイ! なにか言って場を盛り上げなければと変に慌てて、結果的に目の前に映った彼女のマイナス面をズバッと指摘してしまうという、負のスパイラルに陥ってしまうだけだったりする。
今回は事前に計画を立てていたので、太郎のマイナス面を指摘することは、なんとか回避したが、思っていたのとはちょっと違ってしまった。
「もっとちゃんと、自分の気持ちが伝わるようなことを、すんなりと言えれば良かったのにさ。あんな中途半端な言葉じゃ、小さな子どもしか喜ばないだろ……」
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