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特別番外編【兄貴の愛情の表し方】
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「兄貴?」
声をかけたのに無視したまま、顎に手を当てて考える始末。しっかり下半身がつながった状態でいるのは、正直なところ間が抜けていると思われる。
(兄貴はイったばかりだから、復活するまでに時間がかかるのかもしれないけれど、僕だけ散々感じさせられて放置されるのは、ちょっとね……)
「そっか。今まで辰之と一緒にイったことなかったな」
これまでの行為から導き出した兄貴の答えに、思わず吹き出してしまった。道理で間が抜けるはずだ。
「辰之、そんなに笑うことないだろ」
「笑いたくもなるよ。しかもこんな格好で、わざわざ考えることでもないだろうに」
言いながら腰を上下させると、兄貴は慌てて僕の動きを止めるべく両手で肩根を掴み、ベッドに押さえつける。
「コラっ! 俺が差し入れしてるのに、おまえが動いたら意味がなくなるだろ」
「だったらわかるでしょ? 僕が望んでることくらい」
兄貴の首に両手をかけて、力任せにぐいっと引き寄せた。抵抗せずに顔が近づき、僕の唇が塞がれる。
「辰之が望んでること、もっと俺に教えてほしい。全部叶えてやりたいから」
触れるだけのキスのあとに告げられた言葉は、とても嬉しいものだった。
「それじゃあ僕もそのお礼に、兄貴に差し入れしてあげるよ」
「マジで?」
「うん。だって兄貴は僕の願いを絶対に叶えてくれるでしょ? そのお礼をするとなったら、かなり大変そうだけどね」
クスクス笑いながら指摘した瞬間に、僕のナカにある兄貴自身が何のためらいもなく奥を突き刺した。
「ひゃっ!」
「俺を感じさせてくれる辰之の躰の全部を使って、差し入れしてくれよな」
ちょっぴり掠れた兄貴の声が室内に響いたと同時に、容赦なく腰を前後させる。さきほどよりも濃厚な行為に、あられもない声をあげながら兄貴にしがみつきながら絶頂した。一緒にイクことができた特別な夜は明け方まで続き、当然寝不足になったのだった。
***
眠気をかみ殺しながら食卓テーブルにつくと、先に起きていた兄貴は眠気を感じさせない顔で、美味しそうに食パンにかじりついていた。こういうところで、体力の違いをひしひしと感じさせられる。
(ベッドの中でくたくたになって動けなくなった僕の代わりに、兄貴が動いてばかりいたのに、どうして疲れを見せないんだろ?)
しょんぼりしながら隣にいる兄貴を横目で見ていると、笑顔の義母が僕に声をかける。
「おはよう辰之。遅くまで勉強していたの? とても眠たそうね」
「おはようございます。前回のテストの結果がイマイチだったので、次回に向けて頑張ろうと思って」
「俺の差し入れの効果は、当然バッチリだったろ?」
いきなりなされた兄貴からの質問に、一瞬返答に困った。息を飲む僕を尻目に、義母がテーブルに朝ごはんを手際よく置いてくれる。
「宏斗ってば、辰之に差し入れしてあげたの?」
その言葉にギクッとしながら目を見開き、固まる僕を見ながら、兄貴は余裕そうな表情をキープした。
声をかけたのに無視したまま、顎に手を当てて考える始末。しっかり下半身がつながった状態でいるのは、正直なところ間が抜けていると思われる。
(兄貴はイったばかりだから、復活するまでに時間がかかるのかもしれないけれど、僕だけ散々感じさせられて放置されるのは、ちょっとね……)
「そっか。今まで辰之と一緒にイったことなかったな」
これまでの行為から導き出した兄貴の答えに、思わず吹き出してしまった。道理で間が抜けるはずだ。
「辰之、そんなに笑うことないだろ」
「笑いたくもなるよ。しかもこんな格好で、わざわざ考えることでもないだろうに」
言いながら腰を上下させると、兄貴は慌てて僕の動きを止めるべく両手で肩根を掴み、ベッドに押さえつける。
「コラっ! 俺が差し入れしてるのに、おまえが動いたら意味がなくなるだろ」
「だったらわかるでしょ? 僕が望んでることくらい」
兄貴の首に両手をかけて、力任せにぐいっと引き寄せた。抵抗せずに顔が近づき、僕の唇が塞がれる。
「辰之が望んでること、もっと俺に教えてほしい。全部叶えてやりたいから」
触れるだけのキスのあとに告げられた言葉は、とても嬉しいものだった。
「それじゃあ僕もそのお礼に、兄貴に差し入れしてあげるよ」
「マジで?」
「うん。だって兄貴は僕の願いを絶対に叶えてくれるでしょ? そのお礼をするとなったら、かなり大変そうだけどね」
クスクス笑いながら指摘した瞬間に、僕のナカにある兄貴自身が何のためらいもなく奥を突き刺した。
「ひゃっ!」
「俺を感じさせてくれる辰之の躰の全部を使って、差し入れしてくれよな」
ちょっぴり掠れた兄貴の声が室内に響いたと同時に、容赦なく腰を前後させる。さきほどよりも濃厚な行為に、あられもない声をあげながら兄貴にしがみつきながら絶頂した。一緒にイクことができた特別な夜は明け方まで続き、当然寝不足になったのだった。
***
眠気をかみ殺しながら食卓テーブルにつくと、先に起きていた兄貴は眠気を感じさせない顔で、美味しそうに食パンにかじりついていた。こういうところで、体力の違いをひしひしと感じさせられる。
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しょんぼりしながら隣にいる兄貴を横目で見ていると、笑顔の義母が僕に声をかける。
「おはよう辰之。遅くまで勉強していたの? とても眠たそうね」
「おはようございます。前回のテストの結果がイマイチだったので、次回に向けて頑張ろうと思って」
「俺の差し入れの効果は、当然バッチリだったろ?」
いきなりなされた兄貴からの質問に、一瞬返答に困った。息を飲む僕を尻目に、義母がテーブルに朝ごはんを手際よく置いてくれる。
「宏斗ってば、辰之に差し入れしてあげたの?」
その言葉にギクッとしながら目を見開き、固まる僕を見ながら、兄貴は余裕そうな表情をキープした。
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