107 / 114
特別番外編【兄貴の愛情の表し方】
5
しおりを挟む
大好きな兄貴の声で告げられた言葉が、染み入るように鼓膜に貼りつく。僕だけを求めるそれに、素直に応えようと思った。
「ぁっ…宏斗兄さん」
躰に感じる圧し掛かかる重みと触れ合う素肌の熱で、呼吸が簡単に乱れていく。
「ん? どうした、苦しいのか?」
なにもしていないのに息が乱れている僕を見て、兄貴は少しだけ躰を持ちあげた。触れていた面積がちょっと少なくなっただけなのに、それがすごく切なくて、両手で兄貴の上半身に慌てて縋りつき、ぎゅっと抱きしめる。
「苦しくなんてない! 兄貴の傍にいるだけで、嬉しくて堪らないんだ。ずっと離れたくない」
「辰之……」
「早く兄貴で満たされたい。僕で感じる姿が見たいよ」
薄暗がりでもわかる兄貴の笑顔。瞳を細めて笑いながら、僕の唇にキスをした。触れるだけのキスを数回してから、強く唇を押しつけたあとに舌を挿入する。肉厚の舌が口内の感じる部分を探るように、容赦なく蠢いた。
「ふぅっ…あぁっ、んっ」
「辰之かわいい。もっと声を出して」
耳元で囁かれたセリフに応えたいのに、兄貴との関係が家族にバレたときのことが頭を過るせいで、声を押し殺してしまう。
「もしかして感じてない?」
「違っ、だってここは家だから……」
「それとも辰之は、俺を抱きたくなったとか?」
「へっ?」
きちんと理由を告げたというのに、兄貴は突飛なことを口にした。
「ぼ、僕が兄貴を抱く!?」
「辰之だって男だろ。ヤられるよりヤリたくなったのかと思って」
それまで与えられていた快感が吹き飛ぶ内容に、開いた口が塞がらない。兄貴を抱くなんてこれまで想像したことがなかったせいで、目を瞬かせるのが精いっぱいだった。
「兄貴……」
顔の傍にある兄貴の表情は至極マジメで、からかっている様子がまったくなく、まじまじと僕を見つめる。
「……兄貴は僕に抱かれたいの?」
震える声で僕が問いかけた瞬間、兄貴の瞳が嬉しげに細められた。それだけで答えがわかってしまう。きっと僕が強請ったら、あっけなく躰を差し出すだろう。兄貴は僕のお願いを、なんとてでも叶えようとしてくれる人。兄弟になってから――そしてこうして恋人になってからも、大切に接しているからよくわかる。
「おまえが望めばだけど。でもやっぱり恥ずかしいかな。だって――」
言いながら顔を離した兄貴は起き上がり、両手で僕の両膝を軽々と持ってМ字開脚させた。
「俺がこんな格好してる姿を考えるだけで、気が狂いそうになる。辰之は恥ずかしくないのか?」
「ぁっ…宏斗兄さん」
躰に感じる圧し掛かかる重みと触れ合う素肌の熱で、呼吸が簡単に乱れていく。
「ん? どうした、苦しいのか?」
なにもしていないのに息が乱れている僕を見て、兄貴は少しだけ躰を持ちあげた。触れていた面積がちょっと少なくなっただけなのに、それがすごく切なくて、両手で兄貴の上半身に慌てて縋りつき、ぎゅっと抱きしめる。
「苦しくなんてない! 兄貴の傍にいるだけで、嬉しくて堪らないんだ。ずっと離れたくない」
「辰之……」
「早く兄貴で満たされたい。僕で感じる姿が見たいよ」
薄暗がりでもわかる兄貴の笑顔。瞳を細めて笑いながら、僕の唇にキスをした。触れるだけのキスを数回してから、強く唇を押しつけたあとに舌を挿入する。肉厚の舌が口内の感じる部分を探るように、容赦なく蠢いた。
「ふぅっ…あぁっ、んっ」
「辰之かわいい。もっと声を出して」
耳元で囁かれたセリフに応えたいのに、兄貴との関係が家族にバレたときのことが頭を過るせいで、声を押し殺してしまう。
「もしかして感じてない?」
「違っ、だってここは家だから……」
「それとも辰之は、俺を抱きたくなったとか?」
「へっ?」
きちんと理由を告げたというのに、兄貴は突飛なことを口にした。
「ぼ、僕が兄貴を抱く!?」
「辰之だって男だろ。ヤられるよりヤリたくなったのかと思って」
それまで与えられていた快感が吹き飛ぶ内容に、開いた口が塞がらない。兄貴を抱くなんてこれまで想像したことがなかったせいで、目を瞬かせるのが精いっぱいだった。
「兄貴……」
顔の傍にある兄貴の表情は至極マジメで、からかっている様子がまったくなく、まじまじと僕を見つめる。
「……兄貴は僕に抱かれたいの?」
震える声で僕が問いかけた瞬間、兄貴の瞳が嬉しげに細められた。それだけで答えがわかってしまう。きっと僕が強請ったら、あっけなく躰を差し出すだろう。兄貴は僕のお願いを、なんとてでも叶えようとしてくれる人。兄弟になってから――そしてこうして恋人になってからも、大切に接しているからよくわかる。
「おまえが望めばだけど。でもやっぱり恥ずかしいかな。だって――」
言いながら顔を離した兄貴は起き上がり、両手で僕の両膝を軽々と持ってМ字開脚させた。
「俺がこんな格好してる姿を考えるだけで、気が狂いそうになる。辰之は恥ずかしくないのか?」
0
お気に入りに追加
64
あなたにおすすめの小説
ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる