こんなに好きなのに伝わらないのなら――

相沢蒼依

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特別番外編【Voice】

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「アキラ先輩、教室に戻りますよ」

 出しっぱなしになってるモノをしまいかけた手に、大きな手が被さった。若林先輩が俺の手ごと、ぎゅっと握りしめる。

「毎度毎度つらいだろ。そのまんまじゃ」

「別に。いつものことですから」

「わかってるんだぜ。最近はキスしただけで感じて、しっかり勃起してること」

「つっ!」

 嫌になるくらいに、頬が熱を持つのがわかった。それを見られないようにするのに、慌てて首を垂れたら、視界に入る自身と大きな手。これ以上刺激されたら、間違いなく暴発してしまう。

「箱崎が感じてる姿を見て、俺も興奮してるんだしさ。一緒にイこう」

「じ、受験生が、なに不真面目なことを言ってるんですか。ダメですよ……」

 そう言葉では拒否したのに、被さった若林先輩の手を退けることができない。俺の手を介して握りしめられるアレが気持ちよくて、小さく呼吸が乱れる。

「おまえのコレ、そろそろ俺の中に挿れてくれないか?」

「深い仲にならなくてもいいって、言ったクセに!」

「なにをいまさら。俺のテクで随分といい思いをしていながら、そんなセリフが出るとは」

 カラカラ大笑いした若林先輩に、腕力だけじゃなく口でも勝てない。だけどこの人がなにを望んでいるのかを、俺はよく知ってる。

「若林先輩、俺のでまた失神したいんですか」

「今度はナカに挿いってくる、おまえを感じられるように、なんとか頑張るつもり」

 反論しようとした唇を、あっと言う間にキスで塞がれた。押しつけられる唇が、ほんのり湿っている。さっきまで俺のを咥えていた名残を直接感じた途端に、ほしくて堪らなくなった。若林先輩の腰に空いた腕を絡めて密着し、舌をもっと深く挿入しようとしたら、触れていた唇が逃げる。

「箱崎、好きだよ」

 真剣なまなざしで、俺の顔を捉えながら告白された。毎度毎度飽きもせず、まともな返事すらもらえないというのに、なんで好きだと言えるのだろう。

(俺が好きと言うよりも大嫌いと告げて、それを態度で示したほうが、この人は悦ぶのがわかってるのに――)

 若林先輩の腰を抱える俺の腕に、ぐぐっと力が入った。その衝撃に互いの下半身がぶつかる。生で出てる俺のほうが感度が高いはずなのに、若林先輩がビクリと躰を震わせた。

「箱崎焦らすなよ。口でしてる時点で、かなりヤバかったんだぞ」

「俺は一度も、若林先輩に触れてないのに?」

「俺がおまえに触れてるからだよ。布越しでもわかる。箱崎の熱くて硬いモノが、俺をほしがってるだろ。ヤバいくらいに大きくなってる」

 さきほどのキスは俺を挑発するためにやったはずなのに、若林先輩の呼吸はかなり荒れて、声が掠れていた。

「誰がそう仕向けたんですか」
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