こんなに好きなのに伝わらないのなら――

相沢蒼依

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特別番外編【Voice】

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 体育館倉庫という名の物置に到着し、電気をつけて誰もいないことをしっかり確認してから、扉を閉じた。あいにく中から鍵をかけられないので、悪事をおこなうには危険な場所なれど、人が来ないことを祈りながら口を開く。

「若林先輩、俺に背中を向けてください」

「背中? 後ろから殴るっていうのか。怖ぇ!」

 キョロキョロして、縛れるものを探してみる。ちょうど縄跳びのロープが目に入ったので、迷うことなくそれを手にし、若林先輩の両腕をグルグル巻きにしてやった。

「ゲッ! 拘束すんのかよ!?」

「抵抗されたら狙ったところに、ちゃんとパンチが入りませんので」

「徹底しすぎだろ、それ……」

 減らず口を叩いた若林先輩を、後ろから軽く蹴飛ばした。受け身のとれない躰は前のめりのまま、あっけなくなにかにぶつかり、力なくその場に横たわる。薄汚れた場所のせいで、濃紺のブレザーが可哀想なくらいに汚れた。

「辰之くんに手を出した俺が憎いのはわかるが、死なない程度にしてくれ」

 諦めた面持ちで俺を見上げる若林先輩のブレザーのボタンを外し、ワイシャツの小さいボタンも次々と外す。

「おいおい、直で殴りつけるつもりかよ。内臓破裂させんなよ……」

「内臓破裂? そんなことさせません。でも違うところが、大変なことになるかもですけど」

 笑いながら若林先輩の大事なところを、ぎゅっと鷲掴みしてやった。

「まっ待て! そこ潰されたら死ぬ!!」

「ですよねぇ。ヤリチンの若林先輩の大事なところですし」

 強弱をつけて上下に扱くと、簡単に完勃ちする。さすがはヤリチン先輩。

「箱崎ぃっ、なにを…くうっ!」

「大きくなったところをへし折ったら、どれくらいの痛みを感じるんでしょうね?」

 いつもより低い声色で告げた途端に、両足をバタつかせながら逃げようとした。こんなこと言われたら、誰だって逃げ出したくなるのは当然。だが俺に股間を掴まれてる時点で、残念ながら逃げられない。

「あぁ、いやだ…お願い折らないでくれ」

(恐怖を与えているのに、さらに硬くなるのがすごいと思える。もしかしてドMなのか!?)
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