こんなに好きなのに伝わらないのなら――

相沢蒼依

文字の大きさ
上 下
16 / 114
兄貴の絶望

しおりを挟む
 組み敷いている躰がビクつくだけで、僕の手が兄貴を快感に導いていることがわかり、楽しくてならない。もっと感じさせてやろうと、兄貴の下唇を食みながら口内に舌を入れ、上顎をなぞってみる。

「んぅっ、やめっ!」

「嫌がってるのに、兄貴の下半身が反応してるよ。僕のに当たってる」

 完全じゃなかったが、下を脱がせたときよりも大きく育っていた。それを認めたくなかったのか、兄貴は焦った表情で首を横に振る。羞恥で目の下が赤く染まり、悔しげに唇を噛みしめる姿に、どんどん乱したくなった。

「僕に感じさせられて恥ずかしいと思ってるみたいだけど、そんなことがどうでもよくなるくらいに、兄貴をいやらしくしてあげるね」

「わかった、辰之わかったから! おまえを好きになるから、もうやめてくれ!」

「僕を好きになる?」

 信じられない言葉の交渉に、兄貴の下半身に伸ばしかけた僕の手が止まった。

「彼女は作らない。おまえを好きになってやる」

 ところどころ震える声で告げられたセリフは待ち望んでいたものなれど、完全じゃない。

 目力を込めた意味深な視線を兄貴に縫いつけた僕はベッドをおり、見せびらかせるように服を脱ぎ捨て全裸になった。完勃ちしている僕のを見た兄貴の目は、今にも泣き出してしまいそうに見える。

「兄貴、僕を好きになるって、どういうことかわかって言ってる? 今まで見たいな、仲良しこよしの兄弟愛じゃないよ」

「俺はおまえとこんなことしたくない。前のように、仲良くしていけばいいじゃないか」

「それだけじゃ満足できないんだよ。兄貴の心と躰の全部が欲しくてたまらない」

 無様に横たわる兄貴を見下ろすと、綺麗なラインを描いた頬に涙が零れ落ちた。

「なんで……。どうしてこんなことを俺にするんだ。意味がわからない……」

「兄貴が悪いんだよ。彼女なんて作るから」

 小さく笑って兄貴に跨り、完勃ちした僕のを兄貴のモノに擦りつけた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...