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どういうことだよ!? 第2幕
愛を取り戻せ②:お見合いをぶち壊したい5
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***
――自分にとっては気が重い見合い当日――
現在時刻は12時過ぎの昼休みで、みんながランチに出かけた部署に偶然、宮本とふたりきりになれた。
昼飯も食わずに何かと格闘するその姿を見ながら、いろんなことを考えてしまう。
(佑輝くんが望む彼女像って、どんなのだろう? 美人系? それともかわいい系? 態度も口も悪いコイツだが、思いやりがあって変なところに気がつく上に結構優しいから、彼女ができたらきっとうまくいってしまうんだろうな)
そんな考えを振り切るように何度か頭を振り、思いきって話しかけてみる。
「……おい宮本、メシ食わないのか?」
自分のデスクから声をかけると、めんどくさそうな顔で渋々こっちを見た。
「はあ。そういう江藤先輩こそ、食べに行かないんですか?」
「俺様今日は、食欲がないから食べに行かないんだ」
宮本らしからぬつっけんどんな物言いに、内心イライラしながら答えてやると、「あっ」とわざとらしく驚くように言って、こっちを凝視する。
「そういえば今日、お見合いでしたもんね。緊張して食欲がないんでしょ」
――前言撤回。コイツのは思いやりじゃなく重い槍で、俺様の心をえぐるように、ぐさぐさ刺してくるんだった。
「はっ、何を言いだすかと思ったら。この俺様が、見合いごときで緊張してたまるか。おまえこそ、か――っ!」
「か?」
しまった。もやもやがつい言葉になって出てしまった!
宮本は不思議顔をキープしたまま、困惑する江藤をじっと見つめた。その視線を振り切るように顔を背け、何度か咳払いをしながら勢いよく立ち上がると何食わぬ顔で宮本のデスクに赴き、いつものように引き出しを開け放つ。
「菓子をだな、甘いものを用意してくれているのか?」
かなり見苦しいごまかし方だが、いた仕方ない。緊急事態なんだ。
「ポッチーはありませんよ。代わりにこれどうぞ」
引き出しの奥に左手を伸ばして少し大きめの箱を取り出すと、目の前に突き出してきた。それをやんわりと受け取る。
「明冶のミルキーキス、イチゴ味?」
「そのチョコ溶けやすいとかで、冬限定商品ですからね。もうすぐ販売が終了だそうですよ。ありがたく戴いてください」
「佑輝くん……」
(俺様のいうことを聞いて、きちんと甘いお菓子を用意してくれた――)
「それを食べて、お見合い頑張ってください。江藤さん」
「……そんなこと言うなよ」
「はい?」
お菓子の箱を持つ江藤の手が、微妙に震えた。
「俺様が華麗に、見合いをする姿を拝ませてやる。18時55分、ここにやって来い。これは上司命令だ、残業は許さんからな!」
ポケットから店の場所を書いた紙をデスクにたたきつけてから、逃げるようにその場を立ち去った。
強引すぎる言葉に口を半開きのままで固まった宮本の顔が、江藤の頭の中からなぜだか離れなかったのだった――
――自分にとっては気が重い見合い当日――
現在時刻は12時過ぎの昼休みで、みんながランチに出かけた部署に偶然、宮本とふたりきりになれた。
昼飯も食わずに何かと格闘するその姿を見ながら、いろんなことを考えてしまう。
(佑輝くんが望む彼女像って、どんなのだろう? 美人系? それともかわいい系? 態度も口も悪いコイツだが、思いやりがあって変なところに気がつく上に結構優しいから、彼女ができたらきっとうまくいってしまうんだろうな)
そんな考えを振り切るように何度か頭を振り、思いきって話しかけてみる。
「……おい宮本、メシ食わないのか?」
自分のデスクから声をかけると、めんどくさそうな顔で渋々こっちを見た。
「はあ。そういう江藤先輩こそ、食べに行かないんですか?」
「俺様今日は、食欲がないから食べに行かないんだ」
宮本らしからぬつっけんどんな物言いに、内心イライラしながら答えてやると、「あっ」とわざとらしく驚くように言って、こっちを凝視する。
「そういえば今日、お見合いでしたもんね。緊張して食欲がないんでしょ」
――前言撤回。コイツのは思いやりじゃなく重い槍で、俺様の心をえぐるように、ぐさぐさ刺してくるんだった。
「はっ、何を言いだすかと思ったら。この俺様が、見合いごときで緊張してたまるか。おまえこそ、か――っ!」
「か?」
しまった。もやもやがつい言葉になって出てしまった!
宮本は不思議顔をキープしたまま、困惑する江藤をじっと見つめた。その視線を振り切るように顔を背け、何度か咳払いをしながら勢いよく立ち上がると何食わぬ顔で宮本のデスクに赴き、いつものように引き出しを開け放つ。
「菓子をだな、甘いものを用意してくれているのか?」
かなり見苦しいごまかし方だが、いた仕方ない。緊急事態なんだ。
「ポッチーはありませんよ。代わりにこれどうぞ」
引き出しの奥に左手を伸ばして少し大きめの箱を取り出すと、目の前に突き出してきた。それをやんわりと受け取る。
「明冶のミルキーキス、イチゴ味?」
「そのチョコ溶けやすいとかで、冬限定商品ですからね。もうすぐ販売が終了だそうですよ。ありがたく戴いてください」
「佑輝くん……」
(俺様のいうことを聞いて、きちんと甘いお菓子を用意してくれた――)
「それを食べて、お見合い頑張ってください。江藤さん」
「……そんなこと言うなよ」
「はい?」
お菓子の箱を持つ江藤の手が、微妙に震えた。
「俺様が華麗に、見合いをする姿を拝ませてやる。18時55分、ここにやって来い。これは上司命令だ、残業は許さんからな!」
ポケットから店の場所を書いた紙をデスクにたたきつけてから、逃げるようにその場を立ち去った。
強引すぎる言葉に口を半開きのままで固まった宮本の顔が、江藤の頭の中からなぜだか離れなかったのだった――
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