21 / 90
レクチャーⅣ:そういうことだよ!?
6
しおりを挟む
「そんなバカすぎる、おまえを受け止められるのは、俺様くらいしかいないだろ。よくできた先輩だからな」
「そんな優しい江藤さんが大好きです」
「佑輝くんの中にある想いを、この躰に刻み込んでみろ。下手くそだって構わない、不器用だっていいさ。しょうがねぇから、今夜くらいは目を瞑ってやる」
高校時代に接してくれた昔の優しい江藤を目の当たりにしているみたいで、自分の中にある気持ちもあの頃に戻ったような感覚さえあった。しかもこんなことを言われたら手加減できなくて、滅茶苦茶に抱いてしまうかもしれない――
柔らかくほほ笑んでいる江藤の顔を隠すように、唇を押しつけた。他の誰かがいるわけじゃなかったけど、俺に向かって笑ってるこの人の笑顔を独り占めしたいと強く思った。
その想いが手伝ってしまい、勢い余って前歯がちょっとだけぶつかったので一瞬引いたら、頬を掴んでいる江藤の両手が逃がさないと言わんばかりに力が入り、噛みつくようにキスしてくる。歯茎を舌先を使ってゆるゆるとなぞった後、上顎に沿ってぐちゅぐちゅと音を立てるような動きを仕掛けてきた。
「うっ……はあぁっ」
(もしかして風呂場での一戦とさっきのキスで、俺が下手だと認定されてしまったから、こうして江藤さん自ら俺を感じさせながら、教えていたりするするんだろうか?)
上顎を撫でている薄い舌を捕まえるように絡ませながら、ちゅっと軽く吸ってみる。
「んあっ、ゆ、うきくんっ……いい」
躰をビクつかせてすげぇ甘い声で告げられた言葉が、胸にじんと染み渡った。だからこそもっともっと、大好きな先輩を感じさせたくなってしまった。
絡めていた舌をゆるっと放して、ゆっくりと上顎をなぞるように上下させてみる。はじめて江藤の中に自身を挿れたときと同じ動きで、舌を出し入れしてみた。
「んっ、んんっ……はあ、ああっ!」
とろっとろに蕩けた顔で自分を見上げながら舌の動きに合わせて、熱を持った下半身を押しつけてくる。
「江藤さん、腰の動きがエロすぎですって。挿れる前に、イっちゃうかもしれない」
「しょうがねぇだろ。俺様を感じさせるおまえが悪いんだ。早くひとつになりたいんだよ」
「その気持ちは分かるんですけどもう少しだけ、江藤さんを堪能させてください。五感全部を使って、大好きな貴方を感じたい」
ひどく掠れた声で強請られてしまった言葉を拒否したことは、後輩としても恋人としても最低だろう。
でも風呂場では我慢できずすぐに挿入したので、ベッドで抱き合っている今は真正面からこの人を愛してあげたいと思った。
お風呂上りに無造作に躰の水分をバスタオルで拭う自分の横で、江藤は洗面台の上に置いてあったボトルを手に取り、滑らかな肌に何かをつけていた。そのとき辺りに漂った匂いが大好きなシトラス系の香りで、だからこの人からいつもいい匂いがしていたんだと感心したんだ。
そして今、しっとりとかいた汗とそれが混ざり合い、興奮する材料になっている。シトラス系の爽やかな香りが花のような甘い香りに変化して、これでもかと鼻腔をくすぐった。
(この香り、江藤さんを抱いたら俺にもついちゃうのかな――)
線の細い躰をぎゅっと抱きしめながら、首筋に舌を這わせる。首の付け根に強く吸いついて、赤い花を咲かせてしまった。
「痛っ……。おいコラ、あんまり痕をつけんなよ」
「嫌だね。たくさん印をつけまくって、俺のものだっていうのを江藤さんに分からせたいから」
「分からせたいなんて、俺様はおまえと違ってバカじゃねぇし。忘れないから安心しろ」
ちょっとだけ軽蔑した目で見る江藤の意見をしっかり無視して、いたるところにキスマークをつけながら、むさぼるように激しく抱いた。
お蔭でそれなりに甘く一夜を過ごすことができた上に、お互いの貸し借りをしっかり清算して、ふたり仲良く抱き合いながら朝を迎えたのである。
「そんな優しい江藤さんが大好きです」
「佑輝くんの中にある想いを、この躰に刻み込んでみろ。下手くそだって構わない、不器用だっていいさ。しょうがねぇから、今夜くらいは目を瞑ってやる」
高校時代に接してくれた昔の優しい江藤を目の当たりにしているみたいで、自分の中にある気持ちもあの頃に戻ったような感覚さえあった。しかもこんなことを言われたら手加減できなくて、滅茶苦茶に抱いてしまうかもしれない――
柔らかくほほ笑んでいる江藤の顔を隠すように、唇を押しつけた。他の誰かがいるわけじゃなかったけど、俺に向かって笑ってるこの人の笑顔を独り占めしたいと強く思った。
その想いが手伝ってしまい、勢い余って前歯がちょっとだけぶつかったので一瞬引いたら、頬を掴んでいる江藤の両手が逃がさないと言わんばかりに力が入り、噛みつくようにキスしてくる。歯茎を舌先を使ってゆるゆるとなぞった後、上顎に沿ってぐちゅぐちゅと音を立てるような動きを仕掛けてきた。
「うっ……はあぁっ」
(もしかして風呂場での一戦とさっきのキスで、俺が下手だと認定されてしまったから、こうして江藤さん自ら俺を感じさせながら、教えていたりするするんだろうか?)
上顎を撫でている薄い舌を捕まえるように絡ませながら、ちゅっと軽く吸ってみる。
「んあっ、ゆ、うきくんっ……いい」
躰をビクつかせてすげぇ甘い声で告げられた言葉が、胸にじんと染み渡った。だからこそもっともっと、大好きな先輩を感じさせたくなってしまった。
絡めていた舌をゆるっと放して、ゆっくりと上顎をなぞるように上下させてみる。はじめて江藤の中に自身を挿れたときと同じ動きで、舌を出し入れしてみた。
「んっ、んんっ……はあ、ああっ!」
とろっとろに蕩けた顔で自分を見上げながら舌の動きに合わせて、熱を持った下半身を押しつけてくる。
「江藤さん、腰の動きがエロすぎですって。挿れる前に、イっちゃうかもしれない」
「しょうがねぇだろ。俺様を感じさせるおまえが悪いんだ。早くひとつになりたいんだよ」
「その気持ちは分かるんですけどもう少しだけ、江藤さんを堪能させてください。五感全部を使って、大好きな貴方を感じたい」
ひどく掠れた声で強請られてしまった言葉を拒否したことは、後輩としても恋人としても最低だろう。
でも風呂場では我慢できずすぐに挿入したので、ベッドで抱き合っている今は真正面からこの人を愛してあげたいと思った。
お風呂上りに無造作に躰の水分をバスタオルで拭う自分の横で、江藤は洗面台の上に置いてあったボトルを手に取り、滑らかな肌に何かをつけていた。そのとき辺りに漂った匂いが大好きなシトラス系の香りで、だからこの人からいつもいい匂いがしていたんだと感心したんだ。
そして今、しっとりとかいた汗とそれが混ざり合い、興奮する材料になっている。シトラス系の爽やかな香りが花のような甘い香りに変化して、これでもかと鼻腔をくすぐった。
(この香り、江藤さんを抱いたら俺にもついちゃうのかな――)
線の細い躰をぎゅっと抱きしめながら、首筋に舌を這わせる。首の付け根に強く吸いついて、赤い花を咲かせてしまった。
「痛っ……。おいコラ、あんまり痕をつけんなよ」
「嫌だね。たくさん印をつけまくって、俺のものだっていうのを江藤さんに分からせたいから」
「分からせたいなんて、俺様はおまえと違ってバカじゃねぇし。忘れないから安心しろ」
ちょっとだけ軽蔑した目で見る江藤の意見をしっかり無視して、いたるところにキスマークをつけながら、むさぼるように激しく抱いた。
お蔭でそれなりに甘く一夜を過ごすことができた上に、お互いの貸し借りをしっかり清算して、ふたり仲良く抱き合いながら朝を迎えたのである。
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
年上の恋人は優しい上司
木野葉ゆる
BL
小さな賃貸専門の不動産屋さんに勤める俺の恋人は、年上で優しい上司。
仕事のこととか、日常のこととか、デートのこととか、日記代わりに綴るSS連作。
基本は受け視点(一人称)です。
一日一花BL企画 参加作品も含まれています。
表紙は松下リサ様(@risa_m1012)に描いて頂きました!!ありがとうございます!!!!
完結済みにいたしました。
6月13日、同人誌を発売しました。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる