89 / 90
番外編
宮本が失踪なんてどういうことだよ!?10
しおりを挟む
(コイツときたら、どうしてナイショなことをしようとするんだ。それが気になって、しょうがなくなるだろ)
唇を突き出して文句を言った宮本を、猜疑心を含んでいるであろうまなざしで見つめてやる。
「ほほぅ。俺様の目を盗んで、浮気でもしようとしていたのか? それとも風俗に行っちゃったりしようなんて計画を」
「そんなのするわけない! 江藤さんでお腹いっぱいだから!」
「……本当にあんなので、お腹がいっぱいになってるのか?」
宮本が逃げられないように、目の前にある木に腕を突き立てながら、腰を下ろして跨った。
「江藤さん……」
「足りないときはないのかよ?」
「そんなこと、こんな場所で言われたら困るって。求めることをしちゃうかもしれないのに」
「こんな広い場所から、おまえを見つけ出した俺様に、ご褒美くらい寄越しやがれ!」
躊躇する宮本にキレて、押し付けるように唇を重ねた。すると俺様の躰を痛いくらいにぎゅっと抱きしめて、想いに応えるように舌を絡める。
「んうっ!」
山道を登って宮本を捜した疲労があるのに、そんなのが無になるくらい、宮本が欲しくてたまらなかった。顔の角度を変えて、ふたたびキスしようとしたら、ポケットに入れてるスマホの着信音が辺りに鳴り響く。
「あ、定時連絡するの忘れてた!」
キスしようと顔を寄せていた宮本の頬を片手で制し、ポケットに手を突っ込んでスマホの画面をタップする。俺様の手によって変形した宮本の顔が面白いこと、この上ない。
「もしもし、雅輝済まない! 宮本を見つけたから、これから下山する。怪我もしてないし、元気だから安心してくれ」
タイムリミットの一時間が過ぎようとしていたから、雅輝から電話が着たんだろう。必要最低限の説明後、宮本の手にスマホを渡した。
「雅輝が駐車場で待ってる。俺様以上に心配してたんだ。声を聞かせてやってくれ」
俺様のセリフをしっかり聞いてから、宮本は耳にスマホを当てて、小さな声で「もしもし」と呟く。目をつぶって雅輝がかけた言葉に耳を傾けている様子は、従順な弟の姿に見えた。
(俺様は一人っ子だから、こういうときは羨ましくなるな――)
唇を突き出して文句を言った宮本を、猜疑心を含んでいるであろうまなざしで見つめてやる。
「ほほぅ。俺様の目を盗んで、浮気でもしようとしていたのか? それとも風俗に行っちゃったりしようなんて計画を」
「そんなのするわけない! 江藤さんでお腹いっぱいだから!」
「……本当にあんなので、お腹がいっぱいになってるのか?」
宮本が逃げられないように、目の前にある木に腕を突き立てながら、腰を下ろして跨った。
「江藤さん……」
「足りないときはないのかよ?」
「そんなこと、こんな場所で言われたら困るって。求めることをしちゃうかもしれないのに」
「こんな広い場所から、おまえを見つけ出した俺様に、ご褒美くらい寄越しやがれ!」
躊躇する宮本にキレて、押し付けるように唇を重ねた。すると俺様の躰を痛いくらいにぎゅっと抱きしめて、想いに応えるように舌を絡める。
「んうっ!」
山道を登って宮本を捜した疲労があるのに、そんなのが無になるくらい、宮本が欲しくてたまらなかった。顔の角度を変えて、ふたたびキスしようとしたら、ポケットに入れてるスマホの着信音が辺りに鳴り響く。
「あ、定時連絡するの忘れてた!」
キスしようと顔を寄せていた宮本の頬を片手で制し、ポケットに手を突っ込んでスマホの画面をタップする。俺様の手によって変形した宮本の顔が面白いこと、この上ない。
「もしもし、雅輝済まない! 宮本を見つけたから、これから下山する。怪我もしてないし、元気だから安心してくれ」
タイムリミットの一時間が過ぎようとしていたから、雅輝から電話が着たんだろう。必要最低限の説明後、宮本の手にスマホを渡した。
「雅輝が駐車場で待ってる。俺様以上に心配してたんだ。声を聞かせてやってくれ」
俺様のセリフをしっかり聞いてから、宮本は耳にスマホを当てて、小さな声で「もしもし」と呟く。目をつぶって雅輝がかけた言葉に耳を傾けている様子は、従順な弟の姿に見えた。
(俺様は一人っ子だから、こういうときは羨ましくなるな――)
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説


寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

愛人は嫌だったので別れることにしました。
伊吹咲夜
BL
会社の先輩である健二と達哉は、先輩・後輩の間柄であり、身体の関係も持っていた。そんな健二のことを達哉は自分を愛してくれている恋人だとずっと思っていた。
しかし健二との関係は身体だけで、それ以上のことはない。疑問に思っていた日、健二が結婚したと朝礼で報告が。健二は達哉のことを愛してはいなかったのか?
年上の恋人は優しい上司
木野葉ゆる
BL
小さな賃貸専門の不動産屋さんに勤める俺の恋人は、年上で優しい上司。
仕事のこととか、日常のこととか、デートのこととか、日記代わりに綴るSS連作。
基本は受け視点(一人称)です。
一日一花BL企画 参加作品も含まれています。
表紙は松下リサ様(@risa_m1012)に描いて頂きました!!ありがとうございます!!!!
完結済みにいたしました。
6月13日、同人誌を発売しました。
ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~
みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。
成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪
イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる