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番外編
宮本が失踪なんてどういうことだよ!?7
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目的地の祠に行くために、まずは途中にある湧き水を目指した。
湧き水の場所を示す札があるため、すんなり到着することができた。そこからメモどおりに左に向かって、人が歩いた道を難なく突き進む。
草がしっかり踏みしめられているため、けもの道ができていて、山道を登ることもまったく苦じゃなかった。そしてすぐに小さな祠に到着する。俺様でさえ簡単に見つけたのだ、あの宮本だって同じように見つけることができたであろう。
「アイツが恋愛長寿をお願いしたんだったら、俺様も同じ物をお願いしないと叶わないだろうな」
パワースポットと呼ばれているひなびた祠は、木々の間にひょっこり祀られていて、誰かが管理しているのか、祠の周りには雑草が生えておらず、とても綺麗な状態が保たれていた。
「恋愛長寿するために、どうか宮本が無事でありますように!」
お願い事を大きな声で言い放ち、改めて気合いを入れ直す。リュックからビニール紐とハサミを取り出して、来た道を戻りはじめた。本来ならそのまま右に行く道を、宮本が進んだであろう左に行く前に、目の前の木にビニール紐を括りつけた。
遠くから見てもわかりやすい、黄色のビニール紐を目の高さでしっかり縛り、足元に気をつけながら山道を進む。
(ところどころ草が踏みしめたあとがあるのは、山菜採りの客人だろうか。複数人同じ場所を踏んでるから、この跡を宮本が辿っていった可能があるな)
時々背後を見渡しながら、目印のビニール紐を結ぶを繰り返した。スマホの電波が届いていることも確認しつつ、雅輝に定時連絡をする。
『雅輝、ここに来て足跡が3方向に分散しちまった。宮本はどっち方面に行っただろうな…』
わかりやすすぎる分かれ道に、二の足を踏む。すると、すぐに返信がきた。
『俺は江藤ちんの読みを信じる。アイツの向かったと思しき場所を行って欲しい!』
読み終えてから、スマホをポケットにしまった。雅輝の文面を思い返すだけで、肩の力がすっと抜け落ちていく。
「実の兄貴のくせに、大事なことを恋人の俺様に全投げするとか、実際ありえないだろ……」
ぽつりと呟いて、その場にしゃがみ込んだ。
「宮本の命がかかってるんだぞ。俺様の勘を頼りにするなんて、空恐ろしいことすんなよ……」
しかしながら、迷ってる時間はない。だって制限時間が残り30分と少々しかなかった。
「あ~クソっ! あのバカのやることが読めるのは、上司である俺様しかいないんだから、間違いは絶対にありえない!」
腹を括ったら、宮本が進んだであろう道が光って見えた。三方向の真ん中の道を、急ぎ足で歩く。
目的地の祠に行くために、まずは途中にある湧き水を目指した。
湧き水の場所を示す札があるため、すんなり到着することができた。そこからメモどおりに左に向かって、人が歩いた道を難なく突き進む。
草がしっかり踏みしめられているため、けもの道ができていて、山道を登ることもまったく苦じゃなかった。そしてすぐに小さな祠に到着する。俺様でさえ簡単に見つけたのだ、あの宮本だって同じように見つけることができたであろう。
「アイツが恋愛長寿をお願いしたんだったら、俺様も同じ物をお願いしないと叶わないだろうな」
パワースポットと呼ばれているひなびた祠は、木々の間にひょっこり祀られていて、誰かが管理しているのか、祠の周りには雑草が生えておらず、とても綺麗な状態が保たれていた。
「恋愛長寿するために、どうか宮本が無事でありますように!」
お願い事を大きな声で言い放ち、改めて気合いを入れ直す。リュックからビニール紐とハサミを取り出して、来た道を戻りはじめた。本来ならそのまま右に行く道を、宮本が進んだであろう左に行く前に、目の前の木にビニール紐を括りつけた。
遠くから見てもわかりやすい、黄色のビニール紐を目の高さでしっかり縛り、足元に気をつけながら山道を進む。
(ところどころ草が踏みしめたあとがあるのは、山菜採りの客人だろうか。複数人同じ場所を踏んでるから、この跡を宮本が辿っていった可能があるな)
時々背後を見渡しながら、目印のビニール紐を結ぶを繰り返した。スマホの電波が届いていることも確認しつつ、雅輝に定時連絡をする。
『雅輝、ここに来て足跡が3方向に分散しちまった。宮本はどっち方面に行っただろうな…』
わかりやすすぎる分かれ道に、二の足を踏む。すると、すぐに返信がきた。
『俺は江藤ちんの読みを信じる。アイツの向かったと思しき場所を行って欲しい!』
読み終えてから、スマホをポケットにしまった。雅輝の文面を思い返すだけで、肩の力がすっと抜け落ちていく。
「実の兄貴のくせに、大事なことを恋人の俺様に全投げするとか、実際ありえないだろ……」
ぽつりと呟いて、その場にしゃがみ込んだ。
「宮本の命がかかってるんだぞ。俺様の勘を頼りにするなんて、空恐ろしいことすんなよ……」
しかしながら、迷ってる時間はない。だって制限時間が残り30分と少々しかなかった。
「あ~クソっ! あのバカのやることが読めるのは、上司である俺様しかいないんだから、間違いは絶対にありえない!」
腹を括ったら、宮本が進んだであろう道が光って見えた。三方向の真ん中の道を、急ぎ足で歩く。
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