84 / 90
番外編
宮本が失踪なんてどういうことだよ!?5
しおりを挟む
「こう見えてふたりに心配されるほど、ヤワな体じゃないんだけど」
「橋本さんが雅輝の愛情を受け止めるのが、結構大変かと思いまして。こっちの体の具合もお構いなく、容赦せずにヤっちゃうから」
しれっと夜伽の話を持ち出したら、ぎょっとしたであろう雅輝が振り返り、『なに言ってんだよ』と口パクで俺様に文句を言う。
「ハハッ、江藤さんが体感しているからこそ、俺を心配してくださったんですね。一晩どころか次の日に跨いでも、まったく支障ありませんよ」
後部座席から見える橋本さんの横顔は微笑んでいたが、乾いた笑みという感じで、笑い声を出したのに、笑った様子がまったく伝わってこない。
「さすがは橋本さんですね。雅輝のしつこさにビクともしないとは、すごいと思います」
元彼と今彼がやり合うのを目の当たりにした雅輝の視線は、落ち着きなく右往左往していて、困惑してるのが明らかだった。
「雅輝のしつこさというか、ねちっこさに愛情感じることができるので」
「あー、なんかわかるかもしれません。俺様のときよりもねちっこそう……」
橋本さんに負けない無愛想な笑みを頬に滲ませたら、雅輝が助手席で頭を抱えた。
「陽さんも江藤ちんもいい加減にして! 間に入ってる俺の身になってよ」
「俺様は事実を口にしてるだけだぞ」
「雅輝が苦悩してる意味がわからない。江藤さんと世間話してるだけなのに」
「今の会話の、どこが世間話なのさ?」
橋本さんに文句を言う雅輝の顔は真っ赤で、かなり恥ずかしがっているその様子が、俺様と橋本さんの笑いをさらに誘った。
「江藤さんの顔を見てみろ。ただの世間話に羞恥心丸出しの雅輝の情けない姿を見て、心の底から呆れ返っているじゃないか」
「呆れまくって、俺様なにも言えない~」
俺様のややふざけ気味の態度に、振り返った雅輝の顔はしっかり怒っていた。
「江藤ちん!」
「橋本さん、雅輝が橋本さんを嫉妬させることを、わざわざ俺様にしようとしてます。これはあとから、お仕置案件ですよね?」
「雅輝、いい加減にしろよ。どんだけお仕置されたいんだ、おまえは」
橋本さんの左手が、雅輝のおでこにデコピンをお見舞いする。
「痛い! 陽さんの指力は半端ないのに!」
「江藤さんに無駄絡みするからだろ。俺に見せつけるなよ」
口では文句を言っているが、橋本さんの表情は明らかに仕掛け人という感じだった。
こうして二人で天然の雅輝を翻弄したおかげで、三笠山に到着するまでに、気がかなり楽になったのだった。
「橋本さんが雅輝の愛情を受け止めるのが、結構大変かと思いまして。こっちの体の具合もお構いなく、容赦せずにヤっちゃうから」
しれっと夜伽の話を持ち出したら、ぎょっとしたであろう雅輝が振り返り、『なに言ってんだよ』と口パクで俺様に文句を言う。
「ハハッ、江藤さんが体感しているからこそ、俺を心配してくださったんですね。一晩どころか次の日に跨いでも、まったく支障ありませんよ」
後部座席から見える橋本さんの横顔は微笑んでいたが、乾いた笑みという感じで、笑い声を出したのに、笑った様子がまったく伝わってこない。
「さすがは橋本さんですね。雅輝のしつこさにビクともしないとは、すごいと思います」
元彼と今彼がやり合うのを目の当たりにした雅輝の視線は、落ち着きなく右往左往していて、困惑してるのが明らかだった。
「雅輝のしつこさというか、ねちっこさに愛情感じることができるので」
「あー、なんかわかるかもしれません。俺様のときよりもねちっこそう……」
橋本さんに負けない無愛想な笑みを頬に滲ませたら、雅輝が助手席で頭を抱えた。
「陽さんも江藤ちんもいい加減にして! 間に入ってる俺の身になってよ」
「俺様は事実を口にしてるだけだぞ」
「雅輝が苦悩してる意味がわからない。江藤さんと世間話してるだけなのに」
「今の会話の、どこが世間話なのさ?」
橋本さんに文句を言う雅輝の顔は真っ赤で、かなり恥ずかしがっているその様子が、俺様と橋本さんの笑いをさらに誘った。
「江藤さんの顔を見てみろ。ただの世間話に羞恥心丸出しの雅輝の情けない姿を見て、心の底から呆れ返っているじゃないか」
「呆れまくって、俺様なにも言えない~」
俺様のややふざけ気味の態度に、振り返った雅輝の顔はしっかり怒っていた。
「江藤ちん!」
「橋本さん、雅輝が橋本さんを嫉妬させることを、わざわざ俺様にしようとしてます。これはあとから、お仕置案件ですよね?」
「雅輝、いい加減にしろよ。どんだけお仕置されたいんだ、おまえは」
橋本さんの左手が、雅輝のおでこにデコピンをお見舞いする。
「痛い! 陽さんの指力は半端ないのに!」
「江藤さんに無駄絡みするからだろ。俺に見せつけるなよ」
口では文句を言っているが、橋本さんの表情は明らかに仕掛け人という感じだった。
こうして二人で天然の雅輝を翻弄したおかげで、三笠山に到着するまでに、気がかなり楽になったのだった。
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
年上の恋人は優しい上司
木野葉ゆる
BL
小さな賃貸専門の不動産屋さんに勤める俺の恋人は、年上で優しい上司。
仕事のこととか、日常のこととか、デートのこととか、日記代わりに綴るSS連作。
基本は受け視点(一人称)です。
一日一花BL企画 参加作品も含まれています。
表紙は松下リサ様(@risa_m1012)に描いて頂きました!!ありがとうございます!!!!
完結済みにいたしました。
6月13日、同人誌を発売しました。
ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~
みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。
成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪
イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

勃起できない俺に彼氏ができた⁉
千歳
BL
大学三年生の瀬戸結(セト ユイ)は明るい性格で大学入学当初からモテた。
しかし、彼女ができても長続きせずにすぐに別れてしまい、その度に同級生の羽月清那(ハヅキ セナ)に慰めてもらっていた。
ある日、結がフラれる現場に出くわしてしまった清那はフラれて落ち込む結を飲みへと誘う。
どうして付き合ってもすぐに別れてしまうのかと結に尋ねてみると、泥酔した彼はぽつりと言葉を零した。
「……勃起、できないから」
衝撃的なその告白と共に結は恋愛体質だから誰かと付き合っていたいんだとも語った。
酔っ払いながら泣き言を零す結を見ながら清那はある一つの案を結に提示する。
「誰かと付き合っていたいならさ、俺と付き合ってみる?」
幸せの温度
本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。
まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。
俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。
陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。
俺にあんまり触らないで。
俺の気持ちに気付かないで。
……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。
俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。
家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。
そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?

寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる