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☆ここからはじまるお話は、前回のものと変わりますので、みなさん頭の中のリセットをお願いします。
☆三人の名前と年齢や学年・幼なじみの設定は変更しません。
☆三人そろって童貞です♡ 歪な三角関係がどうやって進んでいくのかをお楽しみください!
はじまり はじまり~!
***
聞いたことのない優しい響きを含んだ声が僕の耳に届いたとき、最初はその意味がわからなくて、アホ面丸出し状態でぽかんとした。
ことのはじまりは中学3年生のとき。どこの高校に行くかムダに悩んでしまって、浩司兄ちゃんに相談するために、久しぶりに藤島家へお邪魔した。
ムダに悩むといっても、僕の頭脳で通える高校が決まっているから、当然限られているし、それぞれ特色のある校風にいろいろ惹かれてしまって、悩みに悩んでしまった。自分が将来なにになりたいとか、そんな先の未来を考えたこともなかったせいで、決められなかったのも要因のひとつになる。
「僕の不甲斐ない成績を見せるのは恥ずかしいんだけど、このレベルで通える高校で僕に合いそうなところを、幼なじみの浩司兄ちゃんの目で確かめてほしいんだ」
浩司兄ちゃんの部屋にて、自分の成績を見せながら思いきって打ち明けると、ローテーブルのむこう側にある面持ちが、ふわっと柔らかくほほ笑む。昔と変わらないその優しい笑みを見て、暗く沈んでいた気持ちが簡単に浮上した。
「龍が言うほど、悪い成績じゃないって。もう少しだけ頑張れば、俺が通う高校に進学できるレベルだろ」
「そうなんだけどさ、どうしても自信がなくて……」
「俺が言うのもなんだけど、龍には俺を追いかけてほしい」
浩司兄ちゃんの大きな手が、ローテーブルに置いてる僕の手に重なる。なんの気なしにそれを見たあと視線をあげたら、目の前に浩司兄ちゃんのドアップがあって。
「え?」
強く押しつけられる浩司兄ちゃんの唇を意識した瞬間、顔が遠のいていった。
「龍が好き。俺は龍がずっと好きだった」
「あ? えっ? なん、で……」
告白されたのははじめて――だからなのかな、浩司兄ちゃんの表情を食い入るように見てしまうし、声が耳について離れない。
「俺もよくわからない。クラスメートが好きな女子の話で盛り上がっているのを聞いていても、俺の頭の中には龍の姿しか思い浮かばなくてさ。実際、気持ち悪いよな……」
「そ、そんなこと」
「ごめん。龍は俺をそんな目で見ていないのに、キスしちゃって。好きな気持ちが抑えられなくなった」
恥ずかしそうな顔で僕を見る浩司兄ちゃんのまなざしは、いつもと違って見えるのは気のせいなんかじゃない。好きという好意と一緒に違う感情が、凝視される視線から見え隠れしているのがわかった。
(同性の僕を、浩司兄ちゃんは欲しがってる――)
「浩司兄ちゃんが僕のことを好きとか、なんか信じられない。だって僕は、どこにでもいるようなコなのに」
視線を逸らして言いながら、ローテーブルに置いてる手を引っ込めようとしたのに、重ねられている手がそれを阻止する。
頼りがいのある、大きくてあったかいてのひら――いつも僕が困っているときに差し伸べられるその手を、無下に振りほどくことなんてできない。
「俺にとって龍は特別な存在だよ。この世で一番大切で愛おしい存在。そして一番失いたくない」
痛いくらいに握りしめられる自分のてのひらの痛みを感じたことで、浩司兄ちゃんの本気が伝わってくる。
「龍と一緒に同じ高校に通いたい。勉強なら俺が教えるし、頑張ってみないか?」
こうして必然的に同じときを過ごす時間が増えるとともに、浩司兄ちゃんへの想いが変化し、怜司にナイショで付き合うことになった。
☆三人の名前と年齢や学年・幼なじみの設定は変更しません。
☆三人そろって童貞です♡ 歪な三角関係がどうやって進んでいくのかをお楽しみください!
はじまり はじまり~!
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聞いたことのない優しい響きを含んだ声が僕の耳に届いたとき、最初はその意味がわからなくて、アホ面丸出し状態でぽかんとした。
ことのはじまりは中学3年生のとき。どこの高校に行くかムダに悩んでしまって、浩司兄ちゃんに相談するために、久しぶりに藤島家へお邪魔した。
ムダに悩むといっても、僕の頭脳で通える高校が決まっているから、当然限られているし、それぞれ特色のある校風にいろいろ惹かれてしまって、悩みに悩んでしまった。自分が将来なにになりたいとか、そんな先の未来を考えたこともなかったせいで、決められなかったのも要因のひとつになる。
「僕の不甲斐ない成績を見せるのは恥ずかしいんだけど、このレベルで通える高校で僕に合いそうなところを、幼なじみの浩司兄ちゃんの目で確かめてほしいんだ」
浩司兄ちゃんの部屋にて、自分の成績を見せながら思いきって打ち明けると、ローテーブルのむこう側にある面持ちが、ふわっと柔らかくほほ笑む。昔と変わらないその優しい笑みを見て、暗く沈んでいた気持ちが簡単に浮上した。
「龍が言うほど、悪い成績じゃないって。もう少しだけ頑張れば、俺が通う高校に進学できるレベルだろ」
「そうなんだけどさ、どうしても自信がなくて……」
「俺が言うのもなんだけど、龍には俺を追いかけてほしい」
浩司兄ちゃんの大きな手が、ローテーブルに置いてる僕の手に重なる。なんの気なしにそれを見たあと視線をあげたら、目の前に浩司兄ちゃんのドアップがあって。
「え?」
強く押しつけられる浩司兄ちゃんの唇を意識した瞬間、顔が遠のいていった。
「龍が好き。俺は龍がずっと好きだった」
「あ? えっ? なん、で……」
告白されたのははじめて――だからなのかな、浩司兄ちゃんの表情を食い入るように見てしまうし、声が耳について離れない。
「俺もよくわからない。クラスメートが好きな女子の話で盛り上がっているのを聞いていても、俺の頭の中には龍の姿しか思い浮かばなくてさ。実際、気持ち悪いよな……」
「そ、そんなこと」
「ごめん。龍は俺をそんな目で見ていないのに、キスしちゃって。好きな気持ちが抑えられなくなった」
恥ずかしそうな顔で僕を見る浩司兄ちゃんのまなざしは、いつもと違って見えるのは気のせいなんかじゃない。好きという好意と一緒に違う感情が、凝視される視線から見え隠れしているのがわかった。
(同性の僕を、浩司兄ちゃんは欲しがってる――)
「浩司兄ちゃんが僕のことを好きとか、なんか信じられない。だって僕は、どこにでもいるようなコなのに」
視線を逸らして言いながら、ローテーブルに置いてる手を引っ込めようとしたのに、重ねられている手がそれを阻止する。
頼りがいのある、大きくてあったかいてのひら――いつも僕が困っているときに差し伸べられるその手を、無下に振りほどくことなんてできない。
「俺にとって龍は特別な存在だよ。この世で一番大切で愛おしい存在。そして一番失いたくない」
痛いくらいに握りしめられる自分のてのひらの痛みを感じたことで、浩司兄ちゃんの本気が伝わってくる。
「龍と一緒に同じ高校に通いたい。勉強なら俺が教えるし、頑張ってみないか?」
こうして必然的に同じときを過ごす時間が増えるとともに、浩司兄ちゃんへの想いが変化し、怜司にナイショで付き合うことになった。
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