歪なTriangle―がんじがらめの恋―

相沢蒼依

文字の大きさ
上 下
57 / 76

57

しおりを挟む
☆ここからはじまるお話は、前回のものと変わりますので、みなさん頭の中のリセットをお願いします。

☆三人の名前と年齢や学年・幼なじみの設定は変更しません。

☆三人そろって童貞です♡ 歪な三角関係がどうやって進んでいくのかをお楽しみください!

はじまり はじまり~!

***

 聞いたことのない優しい響きを含んだ声が僕の耳に届いたとき、最初はその意味がわからなくて、アホ面丸出し状態でぽかんとした。

 ことのはじまりは中学3年生のとき。どこの高校に行くかムダに悩んでしまって、浩司兄ちゃんに相談するために、久しぶりに藤島家へお邪魔した。

 ムダに悩むといっても、僕の頭脳で通える高校が決まっているから、当然限られているし、それぞれ特色のある校風にいろいろ惹かれてしまって、悩みに悩んでしまった。自分が将来なにになりたいとか、そんな先の未来を考えたこともなかったせいで、決められなかったのも要因のひとつになる。

「僕の不甲斐ない成績を見せるのは恥ずかしいんだけど、このレベルで通える高校で僕に合いそうなところを、幼なじみの浩司兄ちゃんの目で確かめてほしいんだ」

 浩司兄ちゃんの部屋にて、自分の成績を見せながら思いきって打ち明けると、ローテーブルのむこう側にある面持ちが、ふわっと柔らかくほほ笑む。昔と変わらないその優しい笑みを見て、暗く沈んでいた気持ちが簡単に浮上した。

「龍が言うほど、悪い成績じゃないって。もう少しだけ頑張れば、俺が通う高校に進学できるレベルだろ」

「そうなんだけどさ、どうしても自信がなくて……」

「俺が言うのもなんだけど、龍には俺を追いかけてほしい」

 浩司兄ちゃんの大きな手が、ローテーブルに置いてる僕の手に重なる。なんの気なしにそれを見たあと視線をあげたら、目の前に浩司兄ちゃんのドアップがあって。

「え?」

 強く押しつけられる浩司兄ちゃんの唇を意識した瞬間、顔が遠のいていった。

「龍が好き。俺は龍がずっと好きだった」

「あ? えっ? なん、で……」

 告白されたのははじめて――だからなのかな、浩司兄ちゃんの表情を食い入るように見てしまうし、声が耳について離れない。

「俺もよくわからない。クラスメートが好きな女子の話で盛り上がっているのを聞いていても、俺の頭の中には龍の姿しか思い浮かばなくてさ。実際、気持ち悪いよな……」

「そ、そんなこと」

「ごめん。龍は俺をそんな目で見ていないのに、キスしちゃって。好きな気持ちが抑えられなくなった」

 恥ずかしそうな顔で僕を見る浩司兄ちゃんのまなざしは、いつもと違って見えるのは気のせいなんかじゃない。好きという好意と一緒に違う感情が、凝視される視線から見え隠れしているのがわかった。

(同性の僕を、浩司兄ちゃんは欲しがってる――)

「浩司兄ちゃんが僕のことを好きとか、なんか信じられない。だって僕は、どこにでもいるようなコなのに」

 視線を逸らして言いながら、ローテーブルに置いてる手を引っ込めようとしたのに、重ねられている手がそれを阻止する。

 頼りがいのある、大きくてあったかいてのひら――いつも僕が困っているときに差し伸べられるその手を、無下に振りほどくことなんてできない。

「俺にとって龍は特別な存在だよ。この世で一番大切で愛おしい存在。そして一番失いたくない」

 痛いくらいに握りしめられる自分のてのひらの痛みを感じたことで、浩司兄ちゃんの本気が伝わってくる。

「龍と一緒に同じ高校に通いたい。勉強なら俺が教えるし、頑張ってみないか?」

 こうして必然的に同じときを過ごす時間が増えるとともに、浩司兄ちゃんへの想いが変化し、怜司にナイショで付き合うことになった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

処理中です...