歪なTriangle―がんじがらめの恋―

相沢蒼依

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「なぁ龍はいつもどんなこと考えて、オナニーしてるんだ?」

 僕の躰をまさぐる怜司の片手が、下半身に伸ばされた。

「やっ!」

「ふふっ、少しだけ大きくなってる。俺の手で、もっと感じさせたい」

 制服のスラックスの上から躊躇なく握られた僕自身は、はじめて他人から与えられる快感に、どんどん変化していく。

 怜司の抱きしめる腕の力に抗いたいのに、感じさせられるたびに力が見事に抜け落ち、息がどんどんあがっていった。

「怜司っ、もぉやめっ……」

「完勃ちしといて、やめろなんてよく言えるな」

「くっ、こんなの嫌に決まってる。友だちがすることじゃない」

 息を切らしながら、怜司の胸を力なく叩いた。そのタイミングで、部屋の扉が勢いよく開く。ふたり揃って顔をそこに向けると、高校一年の怜司の兄浩司が驚いた表情で立ちつくした。

「浩司兄ちゃん、助けて!」

 助かったと思った僕は、渾身の力を込めて怜司を突き飛ばし、浩司兄ちゃんの傍に駆け寄った。僕よりも大きな躰が、優しく包み込むように抱き締める。

「怜司、なにやってんだよ」

 浩司兄ちゃんの背後で、扉が静かに閉まった。

「なにって、龍がかわいくてつい――」

「怯えさせることをするんじゃねぇよ。かわいそうに」

 口ではそう言った浩司兄ちゃんの片手が、僕の大事なところになぜか触れる。

「!!」

 大きくなってるのを確かめるように、指先で軽く触れてから、宥める感じで僕の頭を撫でてくれる。浩司兄ちゃんに守られることに、すごく安堵した。

「まったく。怜司、どこまでヤったんだ?」

「キスして、龍のを握っただけ」

「握っただけじゃなくて、扱いたんだろ?」

 怜司にされたことをズバリと言い当てられただけで、なんだか恥ずかしくなり、俯いて頬の赤みが見えないようにした。

「だって龍の感じてる、かわいい顔が見たかったし」

「だったら、もっと見ればいいじゃん」

 浩司兄ちゃんの両手が僕の肩に置かれると、怜司を見るように反転させられた。そして両脇に腕が突っ込まれ、羽交い締めにされる。

「浩司兄ちゃん、なにして……」

「本当は来月ある、龍の誕生日まで待つって話だったのにさ。計画がとん挫したじゃないか」

「僕の誕生日?」

 呟くように訊ねると、怜司が目の前にやってきて、ワイシャツのボタンを外しはじめた。

「兄貴とふたりで、龍の誕生日プレゼントはなにがいいか考えたんだ。そしたらさ、見事にあげたいものが同じだったわけ。だからそれまで我慢しようって話だったんだけど、俺が我慢できなくなっちゃった」

(あげたいものが同じって、いったいなんだって言うんだ?)

 絶句している僕の頭上から、楽しげな声で浩司兄ちゃんが話しかける。

「怜司が龍のファーストキスをもらってるんだから、初フェラは俺がもらうからな」

「はいはい、右の乳首は俺がもらうよ。この陥没した乳首を責めることを考えるだけで、夢に見ちゃうくらい興奮したんだよ」

 さっきからなされる信じられない言葉の羅列に、頭がおかしくなりそうだった。
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