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主の誕生日プレゼント

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「アンドレア様、少しだけお待ちください」

 顔を俯かせて口を開いた私を、アンドレア様は両腕でぎゅっと抱きしめる。

「ずっと待ちぼうけを食らってる俺に、そんなつれないことを言うなんて、カールは酷い男だな」

「私もアンドレア様がほしいんですっ!」

 アンドレア様の突然の来訪に、心の準備ができなかったことと、頭の中が沸騰するセリフばかり言われたせいで、とんでもないことを口走ってしまった。

「俺がほしいだと? それはあれか、俺のナカにおまえのを挿れたいということなのか?」

「ああぁあ、えぇえっと…つまりそんな感じですぅ」

 アンドレア様と顔を突き合わせていない現状ゆえに、大胆な返事ができた。

「ふむ、男同士だとこういう問題が起こってしまうのか。厄介だな」

(ひえ~、このあと私は、どうなってしまうのでしょうか。畏れ多くて、アンドレア様とこんな関係になる妄想すら、したことがなかったのに!)

「カール、顔をあげて、俺を蔑む目で見つめてくれ」

「え?」

 顔をあげろと言われたので、とりあえずやってみせたが、その後に指示されたことが謎めいているせいで、実行できずに小首を傾げる。

「今日はおまえの誕生日だからな、言うことをきいてやるって話だ」

「はあ?」

「俺がやられ役に徹するために、多少の興奮材料が必要でな。それにはおまえからの冷たい視線や罵倒が、絶対に不可欠なんだよ」

「アンドレア様の仰ってる意味がわかりません」

 小首を傾げたまま、アクセントのない早口でまくし立てた。

「またまた~、わかってるクセに。だからそんな軽蔑を滲ませた目で、俺を見てるんだろう? ぞくぞくするぞ」

「…………」

「常日頃カールに叱責されるたびに、心と躰にぎゅんっとクるものがあってな。それで――」

 夢見心地に語られる内容は、盛りあがった私の気持ちに、冷や水を浴びせるものばかりだった。

(伯爵様、大変申し訳ございません。アンドレア様の性癖が、私のせいで歪んだものになってしまわれましたぁ)

 ショックで茫然自失状態の私を相手に、興奮しっぱなしのアンドレア様が、きちんとやられ役を全うできたのかどうか。そしてその後、どうなったのか。

 皆様のご想像におまかせいたします。
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