レツダンセンセイ・グレーテストヒッツ

れつだん先生

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派遣オンザロック

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 今回の仕事はこれまでの仕事と比べて比較的楽と言えよう。とはいえ、多少運動しているからだろうか、 まだ寒い二月の半ばに、額汗なんていうものがにじみ出ている。トラックから荷物を下ろして台車で運んでいくというだけの作業。これで時給八百円、七時間で 五千六百円。生活の足しにはなる。僕は元々体が弱くて体を動かすような仕事はあまり好きではないのだが、このご時世に高卒という最終学歴を持つと、肉体労 働以外の仕事が廻ってこないのだ。それに加え今日仕事があったとして明日があるとは保証できない。僕は長期の仕事を一年も経たない内に辞め、生活に苦しく なってきたので日雇い派遣で働き、そして余裕ができてきだしたら長期の仕事に入るというのを長年暮らしてきているので、基本的にお金が無いのだ。十年来の 友人たちにも金の無心に走るほど金がない。あの時こうしておけばよかった、仕事辞めなければよかった、という後悔はその時だけで、一時間もすれば忘れてし まい、仕事を辞めた開放感に浸っている状況だった。
 店内にいる人に呼ばれたので中へ行くと、もうほとんど出来上がっている状態の電気屋が見渡す ことができた。ダンボールに固いプラスティックの輪っかを商品にかけていく仕事をしてくれと言われた。僕と一緒にやるのは、若くて巨乳の女性だ。それを素 早く終わらせ、ここからは待機時間となった。
「何歳ですか?」
 最初何のことだかわからなかった。僕は自慢するつもりはないけれど、これ までかつて知らない女の人に年齢を着買えるようなことはほとんどなかっただろう。僕は突然の状況に鼻水を飛ばしそうになりながら、ようやく「二十四歳で す」とだけ言い放った。そこで僕はひとつの間違いを犯している。聞かれた質問は聞き返す。これが基本的。あとはこの状況のまま女性の指先から頭の先までば れないように見回る。若い。
「十九ぐらいかな?」
「またまたぁ~。二十二ですよ」
「そうなんだ、若くみえるよ」
 などと他愛もない話をしていると、上司がやってきたのでそれはお開きとなった。
  そんな他愛もない話をしていただけでは終わらされたくない。これは男であれば誰でも思うであろう、つまり言うところのSEXなわけだが、あの娘をいくら探 してもいない。裏の喫煙所で探しがてら一服しようかと思っていたら、そこにいた若い男と僕の時とは全く違う満面の笑みでもって、まぁ、どうせ、所詮、男は 顔と金なんですよね。
 休憩時間が終わり、中へ入ってみると、二人で何か作業をするということになった。これはあの娘と一緒にせねばならぬとじっ と気を伺っていたのだが、女がふよふよと僕の隣に立ち、「一緒にやろうよ」と言ってくれたことには絶賛のほかない。地べたに這いつくばって、私のような鼻 汁男が、となりたいところであるが、今回は女性の方からアクションがあったため、僕には断る理由も無いので「あーはい、全然大丈夫ですよー」と言い、黙々 と作業に入る。素面では女の人としゃべるのがほぼ不可能に近い僕と一緒になってもどうせ沈黙になってしまうというのに。ここから大丈夫なのか?
  案外大丈夫だった。女性がこの派遣だめだからこっちのほうがいいよ、一緒に行こう」と誘ってきたり、膝枕をさせろなどという言葉まで出てきて、女性の強気 というものはこんなにも強いものなのかと再確認させられた。店の奥の億の棚の影に隠れてキスをした。戻った後僕たちは腹痛のため早退という運びになったの は、言うまでもない。
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