レツダンセンセイ・グレーテストヒッツ

れつだん先生

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インタールード

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 あれは二度目のオーヴァードーズだった。風呂なしトイレ共同のアパートに住んでいたころだ。そこから歩いて数分のところにある心療内科に通っていた。何十種類もの薬を毎日飲んでいた。毎日がなんとなくで過ぎていった。そして僕は決意した。死ぬしかないと。そこでもらっていた薬とあまった薬を全部布団の上にぶちまけ、アルコールの次に飲み合わせが危険なグレープフルーツジュース100%を近くのローソンで買い込んですべてをばりばりと噛み砕きながら飲んだ。そして倒れているところを同じアパートに住むH氏に発見され、救急車に乗せられ、距離のある大学病院へと運ばれた。ICU、集中治療室だ。その間記憶はほとんどない。発見されるのが遅かったため、胃洗浄はせず点滴だけだったのだが、体中が痛くてゲロは吐きまくるわ人工呼吸器を外そうとするわで看護師に何度も怒られていたぐらいしか記憶がない。そこで三日過ごしたのだが、病院を出た記憶もないしどうやってアパートに帰ったのかも記憶がない。なぜこんなことを今書こうかと思ったかというと、まあ、死にたい願望がむくむくと膨らんできたというのが一番の理由だろう。薬はちゃんと飲んでるしちゃんと寝てるし飯も食ってるんだけど、今の主治医が言うところによると、「お前は新しいことを始めるときに体調が悪くなる」そうだ。先月の二十日でデイケアを無事卒業し、その後は電車を乗り継いで一時間のところにある就労支援センターに通っている。週三日だ。それがなかなか辛い。でもまぁ仕事ってそれ以上に辛いよね、と思いながらそこで作業をしている。ま、みんな大変だよね。僕もいろいろ大変さ。
 とりあえずまあもう少しは生きてみるよ。
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