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第18話 伏線が、下手である
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目が覚めたときに期待していなかったと言えば嘘になる。タオルを巻いただけのサキエさんが私を抱いているのではないか、と。しかし現実はそんなに甘くないのである。私はおばあさんの腕の中で目を覚ました。
「あんた! 大丈夫かい!」
おばあさんの隣では、心配そうに見つめる男の姿もあった。年齢は四十代といったところだろうか。サキエさんは風呂の端で腹を抱えて笑っていた。既に着替えた後で、私は少しだけ落胆した。おばあさんと男に礼を言い、銭湯を後にした。情けなく歩く私の後ろでサキエさんが笑いつづけている。
「いやぁ、いいですな! 純情純情。手を繋いだだけでドキドキ!」
「もう、やめてくださいよ!」
「バレンタインデーの日なんか、貰えるわけもないのに一日中ドキドキしちゃってさ」
それは確かに、ある。体調に優れなくとも無理して行った経験がある。結果は言わずともがなであるが。その日が休日だった時など、外出などせず家にずっと篭っていた。誰かがチョコレートを持って来るのではないかという期待をしながら。結果は言わずともがなである。
「でもいつかはスレちゃうんだよねえ」
私にはまだわかりかねます。
「キスしたい?」
え?
風呂上りで火照ったサキエさんの顔を見つめる。乾きかかった髪の毛が風にのってゆらめいている。静かに風が吹いた。時が止まる。私はゆっくりとサキエさんに近づいた。
「ばっかねえ! 冗談よ! 冗談! さ、行くわよ」
私の体をするりとかわしアパートへ飛んでいくサキエさんを、私は呆然と立ち尽くしたまま見ていた。徐々に小さくなっていくサキエさんの姿は、やがて見えなくなった。それでも私はそこに立ったまま、そして、手に持っていたタオルが音も無く地面にゆらりと落ちていった。
二人して部屋に入る。とりあえず腰を下ろし、洗濯物を籠に放り込んだ。長い長い気まずい沈黙。それを破ったのは、ひっかくような窓の割れる音だった。窓の丁度真ん中に引っかいたような傷があった。何か飛んできたわけでも無し、突然の出来事だった。傷自体最初は小さなものだったが、どういう仕組みかはわからないが、それは窓一面にまで大きくなり、傷の深さも大きくなるにつれて深まっていった。
「な、ななな何ですかサキエさんこれは」
「私にわかるわけないでしょ!」
二人して騒ぎ立てるも、傷は止まることなく広がってゆく。そして完全に窓が割れた。崩れ落ちるような割れ方ではなく、爆発するように破片が飛び散った。私の頬をガラス片が傷つけるが、動くことができなかった。不安が頭をよぎる。口に出したいのだが、出してしまえばそれが本当のことになるような気がして、なかなか声が出ない。口の中が乾いてゆく。
「あ、あの、サキエさん」
わかってる、という表情でサキエさんが頷いた。サキエさんも不安なのだろうが、それを見せまいと無理やり笑顔を作った。ガラス片に気をつけながら壊れた窓まで移動し、外を見た。点滅する電灯の下にそれはいた。女生徒。
「でも……でも、おかしいですよね、地縛霊ならその場から出られないはずなのに」
私が慌てふためきながら泣きそうな顔でサキエさんにしがみ付いた。サキエさんは少し落ち込んだ表情で軽く頷き、窓の外へ出た。
「私がちょっと話つけてきてあげるよ」
危険ですよ、と言う前にサキエさんは女生徒の元へと素早く飛んでいった。私は奥歯をかみ締め自分を罵った。窓の手すりを握っていた手の力が強くなる。私はこんな所でただ見ているだけなのか。サキエさんが危険を省みず女生徒の元へ言ったというのに。
私が踵を返し部屋からでようとしたそのとき、サキエさんの悲鳴が聞こえた。
私は手のひらを袖で守りながらガラス片を握り、裸足のまま扉を乱暴に開け、朽ち果てた廊下を走り、アパートの外へ出た。女生徒が髪の毛を逆立てながら宙を浮き、その前にサキエさんが目を閉じたまま床に倒れていた。私は女生徒には目もくれずサキエさんに走りより、抱きかかえようとしたが何度触ろうとしても透けてしまう。今までは意識せずとも触れることができたのに、だ。
「サキエさんは関係ないだろう!」
女生徒を睨み付ける。先ほどまで怒りに歪んでいた女性との表情が突然やわらかくなった。言うなれば、最初に見た時のような、少女の顔つき。
「和也先輩、ようやく私の思いに気づいてくれたんですね」
女生徒が私に抱きついてきた。私は何が起きたのかもわからず、ただ女生徒に抱きつかれたまま、呆然としていた。手に持っていたガラス片が音を立てて落ちた。その瞬間右手に痛みが走った。
「先輩、血が出てるじゃないですか! 手当てしなきゃ。ちょっと待ってくださいね」
女生徒がポケットからハンカチを取り出し、私の掌に浮かんだ血を拭う。何が起きているのかまったくわからない私は、抱きつかれたときと同じようにただそれを見ていた。
「どういう……こと?」
気持ちの悪い汗が全身に流れる。口の中は乾ききり、私は思わず唾を飲み込んだ。
「何言ってるんですか先輩。まさか私を忘れたんじゃないでしょうね!」
喜んだり驚いたり怒ったりと、ころころと表情を変える女生徒の顔に、もはや今までの面影は残っていない。憎しみや怒りに満ちた表情ではなく、それは一般的な少女に変わっていた。しかし私の中にある恐怖は拭い去ることはできない。鼓動は高鳴るばかりであるし、やはり変な汗は流れつづける。
「えっと、その……」
「洋子ですよ洋子! 柿崎祥子! もう! 冗談でも怒りますよ!」
「あ、ああ、そ、そうだったね」
私は会話をあわせることにした。時折サキエさんに目をやるが、未だ目を開けることはない。
「ああ、その女ですか。先輩に近づく者は全員成敗ですよ!」
きゃはは、と女生徒……いや、柿崎祥子は笑った。感情が欠けているのだろうか。女生徒は私から離れ、サキエさんに近づいた。止める暇も無く、女生徒の体とサキエさんの体が重なり、サキエさんの姿は消えた。
「これで邪魔者は消えましたね」と笑う柿崎祥子を見て、私は怒りよりも恐怖に慄き、腰が抜けそうになったがなんとか力をいれてこらえた。
「か、柿崎さん」
「そんな他人行儀な。祥子でいいですよ祥子で」
「あ、祥子ちゃん。ちょっとまだよくわからないんだけど」
柿崎祥子の説明によると、どうやら柿崎は、自殺する前に付き合っていた和也とかいう男性と私を混合させているようだった。それを人は付き合うというのだろうか。話を聞くに、ただ利用されていたというだけにしか感じない。体目的だったのだろうか。無論私はそんなことを口に出せるわけもなく、ただ話を合わせていた。
「先輩さっき、お前は死んだんだなんて言ってたじゃないですか」
「うん」
「何で自殺したか知ってます?」
私は必死に首を横に振った。柿崎祥子の顔つきが急変したのだ。
「受験に失敗したのと、もうひとつあるんですよ」
言いながら私の首に手をまわす。
――先輩、私をさんざん弄んだあげく、あっさりと捨てたじゃないですか――
また必死に首を横に振る。柿崎祥子の顔がすぐ耳元にまで近づいてきた。息遣いまで感じる。膝の震えが止まらない。浮きつづける脂汗が止まらない。歯ががちがちと音を立てて鳴り続ける。
――なぜ生きているの――
――自殺する前に殺したはずなのに――
「ちょっと待って! 私は、私は、君の言う和也とかいう男ではない! とにかく、サキエさんを帰してくれ」
――じゃあ和也先輩はどこにいるの――
「探してくるよ、探す! 探すから!」
――あなたも私を騙したの――
「そんなことはしていない!」
――あなたもここで死にたいの――
膝を落とし、涙を流しながら、聞きかじっただけの念仏を必死に唱えていた。とても会話が通じる相手ではない。どうか夢であってほしいなどという期待を持ったところで、現実は何も変わらない。
――カズヤセンパイヲミツケタラコノオンナカエシテアゲル――
突然強い風が吹き、木々がざわめいた。そして、女生徒の姿は無くなっていた。私は全身の力が抜け、床に崩れ落ちた。少しずつ恐怖や絶望といった感情も薄れかかり、少し冷静になった私は家の塀にうな垂れかかり、汗を拭った。
「すみません、すみません」
やはりというべきか。道の向こうからしきりに私に頭を下げながら歩いてくる神主の姿が見えた。私はポケットから潰れかかった煙草を取り出し、火をつけた。
「すみません、すみません」
「あなたは……一体誰ですか」
「名前を佐野淳一、少し前まであの神社の神主をやっていました。年は四十になります」
神主は私の目の前で歩みを止めた。疲れきった顔は、とても働き盛りの四十歳には見えなかった。髪の毛もほとんどが白く色が落ち、やせ細っている。
「あの子が探している、和也の父です」
「和也さんは今どこに?」
私の問いに、佐野はにっこりと微笑んだ。
「あの子は霊になってから和也を殺そうとしたのですが、どういう手違いか私が殺されまして。和也はあの神社に今も住んでいます」
綺麗に掃除してあった神社にも納得がいく。私は佐野をそのままに、疲れきった体を奮い立たせ神社へ走った。しかし私が神社にたどり着いたときには、もう既に全ての決着がついていた。柿崎祥子が死んだ場所で、和也は首を吊って死んでいた。その横に、微笑みながら抱きつく柿崎祥子と倒れたままのサキエさんの姿があった。柿崎は私の姿を確認すると、まるで物のようにサキエさんをこちらに投げ飛ばすと、満面の笑みで
「これで先輩とずっと一緒にいられる」
と言った。
「あんた! 大丈夫かい!」
おばあさんの隣では、心配そうに見つめる男の姿もあった。年齢は四十代といったところだろうか。サキエさんは風呂の端で腹を抱えて笑っていた。既に着替えた後で、私は少しだけ落胆した。おばあさんと男に礼を言い、銭湯を後にした。情けなく歩く私の後ろでサキエさんが笑いつづけている。
「いやぁ、いいですな! 純情純情。手を繋いだだけでドキドキ!」
「もう、やめてくださいよ!」
「バレンタインデーの日なんか、貰えるわけもないのに一日中ドキドキしちゃってさ」
それは確かに、ある。体調に優れなくとも無理して行った経験がある。結果は言わずともがなであるが。その日が休日だった時など、外出などせず家にずっと篭っていた。誰かがチョコレートを持って来るのではないかという期待をしながら。結果は言わずともがなである。
「でもいつかはスレちゃうんだよねえ」
私にはまだわかりかねます。
「キスしたい?」
え?
風呂上りで火照ったサキエさんの顔を見つめる。乾きかかった髪の毛が風にのってゆらめいている。静かに風が吹いた。時が止まる。私はゆっくりとサキエさんに近づいた。
「ばっかねえ! 冗談よ! 冗談! さ、行くわよ」
私の体をするりとかわしアパートへ飛んでいくサキエさんを、私は呆然と立ち尽くしたまま見ていた。徐々に小さくなっていくサキエさんの姿は、やがて見えなくなった。それでも私はそこに立ったまま、そして、手に持っていたタオルが音も無く地面にゆらりと落ちていった。
二人して部屋に入る。とりあえず腰を下ろし、洗濯物を籠に放り込んだ。長い長い気まずい沈黙。それを破ったのは、ひっかくような窓の割れる音だった。窓の丁度真ん中に引っかいたような傷があった。何か飛んできたわけでも無し、突然の出来事だった。傷自体最初は小さなものだったが、どういう仕組みかはわからないが、それは窓一面にまで大きくなり、傷の深さも大きくなるにつれて深まっていった。
「な、ななな何ですかサキエさんこれは」
「私にわかるわけないでしょ!」
二人して騒ぎ立てるも、傷は止まることなく広がってゆく。そして完全に窓が割れた。崩れ落ちるような割れ方ではなく、爆発するように破片が飛び散った。私の頬をガラス片が傷つけるが、動くことができなかった。不安が頭をよぎる。口に出したいのだが、出してしまえばそれが本当のことになるような気がして、なかなか声が出ない。口の中が乾いてゆく。
「あ、あの、サキエさん」
わかってる、という表情でサキエさんが頷いた。サキエさんも不安なのだろうが、それを見せまいと無理やり笑顔を作った。ガラス片に気をつけながら壊れた窓まで移動し、外を見た。点滅する電灯の下にそれはいた。女生徒。
「でも……でも、おかしいですよね、地縛霊ならその場から出られないはずなのに」
私が慌てふためきながら泣きそうな顔でサキエさんにしがみ付いた。サキエさんは少し落ち込んだ表情で軽く頷き、窓の外へ出た。
「私がちょっと話つけてきてあげるよ」
危険ですよ、と言う前にサキエさんは女生徒の元へと素早く飛んでいった。私は奥歯をかみ締め自分を罵った。窓の手すりを握っていた手の力が強くなる。私はこんな所でただ見ているだけなのか。サキエさんが危険を省みず女生徒の元へ言ったというのに。
私が踵を返し部屋からでようとしたそのとき、サキエさんの悲鳴が聞こえた。
私は手のひらを袖で守りながらガラス片を握り、裸足のまま扉を乱暴に開け、朽ち果てた廊下を走り、アパートの外へ出た。女生徒が髪の毛を逆立てながら宙を浮き、その前にサキエさんが目を閉じたまま床に倒れていた。私は女生徒には目もくれずサキエさんに走りより、抱きかかえようとしたが何度触ろうとしても透けてしまう。今までは意識せずとも触れることができたのに、だ。
「サキエさんは関係ないだろう!」
女生徒を睨み付ける。先ほどまで怒りに歪んでいた女性との表情が突然やわらかくなった。言うなれば、最初に見た時のような、少女の顔つき。
「和也先輩、ようやく私の思いに気づいてくれたんですね」
女生徒が私に抱きついてきた。私は何が起きたのかもわからず、ただ女生徒に抱きつかれたまま、呆然としていた。手に持っていたガラス片が音を立てて落ちた。その瞬間右手に痛みが走った。
「先輩、血が出てるじゃないですか! 手当てしなきゃ。ちょっと待ってくださいね」
女生徒がポケットからハンカチを取り出し、私の掌に浮かんだ血を拭う。何が起きているのかまったくわからない私は、抱きつかれたときと同じようにただそれを見ていた。
「どういう……こと?」
気持ちの悪い汗が全身に流れる。口の中は乾ききり、私は思わず唾を飲み込んだ。
「何言ってるんですか先輩。まさか私を忘れたんじゃないでしょうね!」
喜んだり驚いたり怒ったりと、ころころと表情を変える女生徒の顔に、もはや今までの面影は残っていない。憎しみや怒りに満ちた表情ではなく、それは一般的な少女に変わっていた。しかし私の中にある恐怖は拭い去ることはできない。鼓動は高鳴るばかりであるし、やはり変な汗は流れつづける。
「えっと、その……」
「洋子ですよ洋子! 柿崎祥子! もう! 冗談でも怒りますよ!」
「あ、ああ、そ、そうだったね」
私は会話をあわせることにした。時折サキエさんに目をやるが、未だ目を開けることはない。
「ああ、その女ですか。先輩に近づく者は全員成敗ですよ!」
きゃはは、と女生徒……いや、柿崎祥子は笑った。感情が欠けているのだろうか。女生徒は私から離れ、サキエさんに近づいた。止める暇も無く、女生徒の体とサキエさんの体が重なり、サキエさんの姿は消えた。
「これで邪魔者は消えましたね」と笑う柿崎祥子を見て、私は怒りよりも恐怖に慄き、腰が抜けそうになったがなんとか力をいれてこらえた。
「か、柿崎さん」
「そんな他人行儀な。祥子でいいですよ祥子で」
「あ、祥子ちゃん。ちょっとまだよくわからないんだけど」
柿崎祥子の説明によると、どうやら柿崎は、自殺する前に付き合っていた和也とかいう男性と私を混合させているようだった。それを人は付き合うというのだろうか。話を聞くに、ただ利用されていたというだけにしか感じない。体目的だったのだろうか。無論私はそんなことを口に出せるわけもなく、ただ話を合わせていた。
「先輩さっき、お前は死んだんだなんて言ってたじゃないですか」
「うん」
「何で自殺したか知ってます?」
私は必死に首を横に振った。柿崎祥子の顔つきが急変したのだ。
「受験に失敗したのと、もうひとつあるんですよ」
言いながら私の首に手をまわす。
――先輩、私をさんざん弄んだあげく、あっさりと捨てたじゃないですか――
また必死に首を横に振る。柿崎祥子の顔がすぐ耳元にまで近づいてきた。息遣いまで感じる。膝の震えが止まらない。浮きつづける脂汗が止まらない。歯ががちがちと音を立てて鳴り続ける。
――なぜ生きているの――
――自殺する前に殺したはずなのに――
「ちょっと待って! 私は、私は、君の言う和也とかいう男ではない! とにかく、サキエさんを帰してくれ」
――じゃあ和也先輩はどこにいるの――
「探してくるよ、探す! 探すから!」
――あなたも私を騙したの――
「そんなことはしていない!」
――あなたもここで死にたいの――
膝を落とし、涙を流しながら、聞きかじっただけの念仏を必死に唱えていた。とても会話が通じる相手ではない。どうか夢であってほしいなどという期待を持ったところで、現実は何も変わらない。
――カズヤセンパイヲミツケタラコノオンナカエシテアゲル――
突然強い風が吹き、木々がざわめいた。そして、女生徒の姿は無くなっていた。私は全身の力が抜け、床に崩れ落ちた。少しずつ恐怖や絶望といった感情も薄れかかり、少し冷静になった私は家の塀にうな垂れかかり、汗を拭った。
「すみません、すみません」
やはりというべきか。道の向こうからしきりに私に頭を下げながら歩いてくる神主の姿が見えた。私はポケットから潰れかかった煙草を取り出し、火をつけた。
「すみません、すみません」
「あなたは……一体誰ですか」
「名前を佐野淳一、少し前まであの神社の神主をやっていました。年は四十になります」
神主は私の目の前で歩みを止めた。疲れきった顔は、とても働き盛りの四十歳には見えなかった。髪の毛もほとんどが白く色が落ち、やせ細っている。
「あの子が探している、和也の父です」
「和也さんは今どこに?」
私の問いに、佐野はにっこりと微笑んだ。
「あの子は霊になってから和也を殺そうとしたのですが、どういう手違いか私が殺されまして。和也はあの神社に今も住んでいます」
綺麗に掃除してあった神社にも納得がいく。私は佐野をそのままに、疲れきった体を奮い立たせ神社へ走った。しかし私が神社にたどり着いたときには、もう既に全ての決着がついていた。柿崎祥子が死んだ場所で、和也は首を吊って死んでいた。その横に、微笑みながら抱きつく柿崎祥子と倒れたままのサキエさんの姿があった。柿崎は私の姿を確認すると、まるで物のようにサキエさんをこちらに投げ飛ばすと、満面の笑みで
「これで先輩とずっと一緒にいられる」
と言った。
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