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第四章 クリスマス礼拝
第7話 礼拝
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とあるキリスト教関係のホームページに、都内の様々な教会が紹介されていた。当然そこにはエホバの証人やモルモン教や統一教会は掲載されていない。そこで、キリスト教の中に様々な派閥があることを知った。渡辺はプロテスタントとカトリック違いすらもわかっていないので、より混乱することとなった。
教会名、URL、Youtubeのチャンネルが合わせて掲載されている。Youtubeで雰囲気を見て行くか行かないかを判断するしかない渡辺にとって、チャンネルを持っていない教会は選考外となる。Youtubeもリアルタイムで配信しているものもあれば、終わった後編集されてアップロードされるものもあれば、教会員の限定公開というものもある。
グーグルマップで場所を確認しつつ配信を観る日々が続いた。
そうやって毎週日曜日に東京近郊の教会の礼拝配信を観ていると、観る教会が固定されてゆく。渡辺の好みにあう教会というのが固まっていくことになる。しかし、配信ではいい感じの雰囲気を出しているが、実際どうかはわからない。慎重に慎重を重ねすぎて困ることなどない。数撃ちゃ当たるで様々な教会に行くという方法もあるが、なにをされるかわかったものではない――というより渡辺が教会に行きどんな反応取られるかもわからない。クリスチャンと創価学会2世という、育ってきた環境が違うから好き嫌いは否めない、というわけだ。
ものは試しにと、前述の祈りに、教会が見つかるようにを追加した。
匿名掲示板に、行ってはいけない危険な教会というスレッドがある。
当然、1からすべて見るが、結局どこも見方によれば危険に映る。これは教会に限らずなんでもそうだろう。
普段渡辺は使うことのない、Yahoo!知恵袋で質問してみる。
周りにクリスチャンがいない。教会に行ってみたいがどこがいいかわからない。
すぐに返答がきた。
「住んでいる地域でおすすめの教会を教える、とSNSで謳っている牧師に訊けばいい」
さっそく検索する。見つける。訊く。5つの教会名を教えてもらう。検索する。Youtube配信を観る。1つに絞る。
そして行く教会が決まった。あっという間の流れに渡辺自身驚いている。決め手になったのは、礼拝の雰囲気が楽しそうでそこにいる人たちが笑顔だから、という単純な理由であった。荘厳な雰囲気の教会ももちろんよいだろうが、渡辺は教会に行ったことがないため、中に入りやすい雰囲気を選んだ。
決めたはいいが、行けない。半年間、朝起きるたびに行こうと思い、行けなくてYoutube配信を観て終わる日曜日を過ごしていた。
渡辺はまたYahoo!知恵袋を開いた。
教会に初めて行くならどの日がよいかを質問した。わからないことはなんでもかんでも質問すればいい。
すぐに返答がきた。
「クリスマス礼拝がおすすめ。初めて来る人が最も多い日。服装は普段着でいい」
クリスマス礼拝に行くことに決まった。
今は10月なので2ヶ月間Youtube配信を観て過ごした。
渡辺は用意周到な人間だから、クリスマス前日に教会に行って建物の外観をチェックした。比べる対象がないため大きいのか小さいのかわからないし教会っぽいのか教会っぽくないのはもわからない。ただ、渡辺が住んでいる地区からはバスや電車を使ってそれなりの時間がかかるということだった。
当然渡辺が住んでいる地区にもいくつも教会はある。が、配信を観て厳粛すぎたりそもそも配信をしていないのでよくわからなかったり等々あり、どうしても選択肢には入れられない。
そもそも等の教会の雰囲気が気に入ったから行くわけで、そこが遠かろうが近かろうが関係ない。遠いなら早起きすればよいだけだ。
前日は緊張して眠れないかと思ったが、そんなことはなかった。ちゃんと睡眠を取り、日曜日なのに早起きし、歯を磨き家を出た。バスや電車に乗り、教会についた。
教会は昨日とは打って変わって外観がきらきらしていた。クリスマスだからだろうか。クリスマスはイエス・キリストの生誕を祝う日だと聞いている。深呼吸し呼吸を整え、扉を開く。とりあえず靴を脱いで下駄箱に起き、中へ入る。入ってすぐ目の前に引き戸があり、開放されている。その奥に部屋があって老若男女が立って話しているのが見える。右にはトイレと2階へ行く階段がある。左に受付係だろう中年女性が立っているのに入ってから気づいた。
特筆することのない一般的な中年女性が笑顔で頭を下げ「こんにちわ」と語尾を伸ばし目に言った。渡辺も挨拶を返し、一瞬の間があって「お名前拝見してもよろしいですか?」と言われはっとしながら「あ、すいません、渡辺透と言います」と少し声を張り上げてしまった。
中年女性が名簿に名前を記入していると、引き戸の向こうから妙に色気を感じる背の低い髪の綺麗な中年女性が近づいてきた。配信を予習していたので知っている。この人は牧師の妻だ。
「初めての人ですよね? 初めまして。小林今日子と言います。牧師の妻です」と笑顔で訊いてきた。
まさか入ってすぐに牧師の妻に話しかけられるとは思いもしなかった渡辺が緊張を爆発させながら「は、はい」とだけ返すと今日子がすぐさま「クリスチャンの方ですか?」と畳み掛けてきたので渡辺は焦りに焦って「い、いや、クリスチャンではないです」とまた声を張り上げてしまった。
今日子が首を傾けながら「ご両親がクリスチャン?」と言う。少々パニックに陥った渡辺は「い、いや、家族は仏教と創価学会です」と別に言わなくてもいい情報を晒す。絶対変な奴だと思われたなと自身の発言を後悔していると、引き戸の奥から優しそうな笑みを浮かべた背が高くツーブロックヘアを後ろで縛っている男性が、渡辺たちに気づいて近づいてきた。もちろんこの人も知っている。牧師だ。
「初めて来たんですか? 小林二郎と言います。牧師です」
まさか来てすぐ牧師夫妻に話しかけられるとは思ってもいなかった。いや、初めて来る人のために入り口にいたのかもしれない。
教会名、URL、Youtubeのチャンネルが合わせて掲載されている。Youtubeで雰囲気を見て行くか行かないかを判断するしかない渡辺にとって、チャンネルを持っていない教会は選考外となる。Youtubeもリアルタイムで配信しているものもあれば、終わった後編集されてアップロードされるものもあれば、教会員の限定公開というものもある。
グーグルマップで場所を確認しつつ配信を観る日々が続いた。
そうやって毎週日曜日に東京近郊の教会の礼拝配信を観ていると、観る教会が固定されてゆく。渡辺の好みにあう教会というのが固まっていくことになる。しかし、配信ではいい感じの雰囲気を出しているが、実際どうかはわからない。慎重に慎重を重ねすぎて困ることなどない。数撃ちゃ当たるで様々な教会に行くという方法もあるが、なにをされるかわかったものではない――というより渡辺が教会に行きどんな反応取られるかもわからない。クリスチャンと創価学会2世という、育ってきた環境が違うから好き嫌いは否めない、というわけだ。
ものは試しにと、前述の祈りに、教会が見つかるようにを追加した。
匿名掲示板に、行ってはいけない危険な教会というスレッドがある。
当然、1からすべて見るが、結局どこも見方によれば危険に映る。これは教会に限らずなんでもそうだろう。
普段渡辺は使うことのない、Yahoo!知恵袋で質問してみる。
周りにクリスチャンがいない。教会に行ってみたいがどこがいいかわからない。
すぐに返答がきた。
「住んでいる地域でおすすめの教会を教える、とSNSで謳っている牧師に訊けばいい」
さっそく検索する。見つける。訊く。5つの教会名を教えてもらう。検索する。Youtube配信を観る。1つに絞る。
そして行く教会が決まった。あっという間の流れに渡辺自身驚いている。決め手になったのは、礼拝の雰囲気が楽しそうでそこにいる人たちが笑顔だから、という単純な理由であった。荘厳な雰囲気の教会ももちろんよいだろうが、渡辺は教会に行ったことがないため、中に入りやすい雰囲気を選んだ。
決めたはいいが、行けない。半年間、朝起きるたびに行こうと思い、行けなくてYoutube配信を観て終わる日曜日を過ごしていた。
渡辺はまたYahoo!知恵袋を開いた。
教会に初めて行くならどの日がよいかを質問した。わからないことはなんでもかんでも質問すればいい。
すぐに返答がきた。
「クリスマス礼拝がおすすめ。初めて来る人が最も多い日。服装は普段着でいい」
クリスマス礼拝に行くことに決まった。
今は10月なので2ヶ月間Youtube配信を観て過ごした。
渡辺は用意周到な人間だから、クリスマス前日に教会に行って建物の外観をチェックした。比べる対象がないため大きいのか小さいのかわからないし教会っぽいのか教会っぽくないのはもわからない。ただ、渡辺が住んでいる地区からはバスや電車を使ってそれなりの時間がかかるということだった。
当然渡辺が住んでいる地区にもいくつも教会はある。が、配信を観て厳粛すぎたりそもそも配信をしていないのでよくわからなかったり等々あり、どうしても選択肢には入れられない。
そもそも等の教会の雰囲気が気に入ったから行くわけで、そこが遠かろうが近かろうが関係ない。遠いなら早起きすればよいだけだ。
前日は緊張して眠れないかと思ったが、そんなことはなかった。ちゃんと睡眠を取り、日曜日なのに早起きし、歯を磨き家を出た。バスや電車に乗り、教会についた。
教会は昨日とは打って変わって外観がきらきらしていた。クリスマスだからだろうか。クリスマスはイエス・キリストの生誕を祝う日だと聞いている。深呼吸し呼吸を整え、扉を開く。とりあえず靴を脱いで下駄箱に起き、中へ入る。入ってすぐ目の前に引き戸があり、開放されている。その奥に部屋があって老若男女が立って話しているのが見える。右にはトイレと2階へ行く階段がある。左に受付係だろう中年女性が立っているのに入ってから気づいた。
特筆することのない一般的な中年女性が笑顔で頭を下げ「こんにちわ」と語尾を伸ばし目に言った。渡辺も挨拶を返し、一瞬の間があって「お名前拝見してもよろしいですか?」と言われはっとしながら「あ、すいません、渡辺透と言います」と少し声を張り上げてしまった。
中年女性が名簿に名前を記入していると、引き戸の向こうから妙に色気を感じる背の低い髪の綺麗な中年女性が近づいてきた。配信を予習していたので知っている。この人は牧師の妻だ。
「初めての人ですよね? 初めまして。小林今日子と言います。牧師の妻です」と笑顔で訊いてきた。
まさか入ってすぐに牧師の妻に話しかけられるとは思いもしなかった渡辺が緊張を爆発させながら「は、はい」とだけ返すと今日子がすぐさま「クリスチャンの方ですか?」と畳み掛けてきたので渡辺は焦りに焦って「い、いや、クリスチャンではないです」とまた声を張り上げてしまった。
今日子が首を傾けながら「ご両親がクリスチャン?」と言う。少々パニックに陥った渡辺は「い、いや、家族は仏教と創価学会です」と別に言わなくてもいい情報を晒す。絶対変な奴だと思われたなと自身の発言を後悔していると、引き戸の奥から優しそうな笑みを浮かべた背が高くツーブロックヘアを後ろで縛っている男性が、渡辺たちに気づいて近づいてきた。もちろんこの人も知っている。牧師だ。
「初めて来たんですか? 小林二郎と言います。牧師です」
まさか来てすぐ牧師夫妻に話しかけられるとは思ってもいなかった。いや、初めて来る人のために入り口にいたのかもしれない。
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