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プロローグ
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人がたくさん歩いている横断歩道を歩きながら私はワクワクしていた。ついに醸造所を開くための開業資金が貯まったからだ。
夢だった醸造所を開けるなんてーーーー
そんな浮かれた気持ちだったのがいけなかったのだろうか。『プップー』とクラクションの音がして気がついたら世界から音が消え意識がなくなっていた。
酒、酒、酒ーーー
酒という単語を聞くと何を思い浮かべるのだろうか。多くの人々はきっとアルコール、ビール、ワインといった普段飲んでいるお酒や酒という言葉の言い換えを思いつくだろう。
でも私が酒と聞いてまず思い浮かべるのは
飲んだ時の多幸感とワイナリー、つまりワインの醸造所だ。もちろん酒を飲むことも大好きだ。酒が好きすぎてその作り方に興味を持ち作りたいと思っていた。
醸造所を開くには企業で醸造を経験したりビール塾に通ったり、修行したりしなければならない。他にも色々方法はあるだろう。そんな感じで色々と調べながら開業資金を貯めている矢先、私はその夢を叶えることができずに死んだ。
ふと気がついたら真っ白な空間に1人で立っていた。ここには何もない。文字通り縦も横も奥行さえも存在していない。時間さえもゆっくりと流れているようだ。いや、時間という概念さえ無いかもしれない。
どれくらいこの空間に居ただろうか。
何分しか経っていないのかもしれないし、何十年、何百年、もしかしたら何千年も経っているのかもしれない。いずれにせよもう随分と長い間ここにいた気がする。
突然この空間に変化が起きた。いきなり
赤い道、青い道、緑の道、黄色の道、白の道、黒の道、虹色の道が現れたのだ。
それぞれの道の前には茶色の木材で出来た立て札が立っていた。
赤の道の前の立て札には「情熱を持ったものはここへ進め」
青の道の前の立て札には「知性溢れるものはここへ進め」
緑の道の前の立て札には「優しさを持ったものはここへ進め」
黄色の道の前の立て札には「生物に好かれるものはここへ進め」
白の道の前の立て札には「人を癒すものはここへ進め」
黒の道の前の立て札には「誇り高きものはここへ進め」
虹色の道の立て札には「全てに秀でているものはここへ進め」
とあった。
そこで私は赤の道を進んだ。
進んでいくうちに理解した。この道を進むひとは職人気質やオタク気質そして何かひとつに傾倒するものが選ぶ道だということにーーーー。
この道をまた気が遠くなる時間歩き続けた。そうして道が途絶えた頃に複数の人達に出会った。
ある人達は私に「私たちはあなたを愛するわ」といった。
またある人達は私に「私たちはあなたを苦労させないわ」といった。
また残りの人達は私に「私たちはあなたに美を与えるわ」といった。
そうして私は私を愛してくれる人達がいるところへ向かった。
そうして向かった先で私は光に包まれた。
そして「あなたが選んだ選択だ。新しい人生に祝福を」と声が聞こえた気がした。
夢だった醸造所を開けるなんてーーーー
そんな浮かれた気持ちだったのがいけなかったのだろうか。『プップー』とクラクションの音がして気がついたら世界から音が消え意識がなくなっていた。
酒、酒、酒ーーー
酒という単語を聞くと何を思い浮かべるのだろうか。多くの人々はきっとアルコール、ビール、ワインといった普段飲んでいるお酒や酒という言葉の言い換えを思いつくだろう。
でも私が酒と聞いてまず思い浮かべるのは
飲んだ時の多幸感とワイナリー、つまりワインの醸造所だ。もちろん酒を飲むことも大好きだ。酒が好きすぎてその作り方に興味を持ち作りたいと思っていた。
醸造所を開くには企業で醸造を経験したりビール塾に通ったり、修行したりしなければならない。他にも色々方法はあるだろう。そんな感じで色々と調べながら開業資金を貯めている矢先、私はその夢を叶えることができずに死んだ。
ふと気がついたら真っ白な空間に1人で立っていた。ここには何もない。文字通り縦も横も奥行さえも存在していない。時間さえもゆっくりと流れているようだ。いや、時間という概念さえ無いかもしれない。
どれくらいこの空間に居ただろうか。
何分しか経っていないのかもしれないし、何十年、何百年、もしかしたら何千年も経っているのかもしれない。いずれにせよもう随分と長い間ここにいた気がする。
突然この空間に変化が起きた。いきなり
赤い道、青い道、緑の道、黄色の道、白の道、黒の道、虹色の道が現れたのだ。
それぞれの道の前には茶色の木材で出来た立て札が立っていた。
赤の道の前の立て札には「情熱を持ったものはここへ進め」
青の道の前の立て札には「知性溢れるものはここへ進め」
緑の道の前の立て札には「優しさを持ったものはここへ進め」
黄色の道の前の立て札には「生物に好かれるものはここへ進め」
白の道の前の立て札には「人を癒すものはここへ進め」
黒の道の前の立て札には「誇り高きものはここへ進め」
虹色の道の立て札には「全てに秀でているものはここへ進め」
とあった。
そこで私は赤の道を進んだ。
進んでいくうちに理解した。この道を進むひとは職人気質やオタク気質そして何かひとつに傾倒するものが選ぶ道だということにーーーー。
この道をまた気が遠くなる時間歩き続けた。そうして道が途絶えた頃に複数の人達に出会った。
ある人達は私に「私たちはあなたを愛するわ」といった。
またある人達は私に「私たちはあなたを苦労させないわ」といった。
また残りの人達は私に「私たちはあなたに美を与えるわ」といった。
そうして私は私を愛してくれる人達がいるところへ向かった。
そうして向かった先で私は光に包まれた。
そして「あなたが選んだ選択だ。新しい人生に祝福を」と声が聞こえた気がした。
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