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エルフィールの揺れる心。そして新たな挑戦者リシア
しおりを挟む新学期が始まった魔法学園ギョウダァ。夏休み明けの活気に溢れる校内、お昼休みの中庭で、エルフィールと親友のレイチェルが談笑していた。
「エルフィール、夏休みの時にオズワルドと一緒に歩いてるの見ちゃったんだけどー?」
レイチェルは興味津々に話しかけた。
エルフィールは少し動揺しながらも、冷静さを保とうと努める。
「あれは、私が彼の実家のお店で購入したパンを運んでくれただけよ。それだけ…。」
しかし、レイチェルは負けじとニヤリと笑う。
「前々から気づいてたけどさ、エルフィールは、オズワルドのこと好きなんでしょ?」
「そ…そんなことないわ!」エルフィールは慌てて否定したが、顔が少し赤くなっているのがバレてしまう。
「ふふ、そんなこと言ってると、オズワルドは、グリンディアちゃんに取られちゃうよ?」
レイチェルがからかうように言うと、エルフィールは一瞬言葉を失った。
「……そうかもしれないわね。」小さくため息をつくエルフィール。
「それとも、フレア君だっけ?アナタに夢中だって噂だよね?」レイチェルはさらに追及する。
「フレアは…別に。」エルフィールは気乗りしない様子で応じた。
「えーー!彼、かなりのイケメンだし、魔力値も高いって評判じゃん!」
「そうね…でも、私はオズワルドにしてもフレアにしても、好きになれないのよ。」
エルフィールは悲しげに視線を落とす。
「なんで?もったいないじゃない!」レイチェルが驚いた表情で問いかける。
「だって…私には…許婚がいるから…」エルフィールの声はかすかに震えていた。
「えっ、許婚??」レイチェルは目を見開いて驚いた。
――放課後、グリンディアとオズワルドは一緒に帰路についていた。学園の門を通り抜けようとしたその時、二人の前に学園四天王の一人、レオンを従えた謎の美女が近づいてきた。
「グリンディア、久しぶりね。」その美女は微笑みながら言った。
「リシア姉ちゃん!?本当に久しぶりじゃな!なんでここに?」
グリンディアは驚きつつも嬉しそうに声を上げた。
「私もこの魔法学園に入学することになったのよ。」リシアは優雅に言葉を続ける。
「よ、よお!」レオンは照れ臭そうに挨拶する。
「生徒会のレオンさん!?あの節はどうも…」
オズワルドが礼儀正しく応じた。
「リシア姉ちゃんがこの学園に入学するなんて嬉しいな♪さてはわしに会うためじゃな?」
グリンディアは目を輝かせながら言う。
オズワルドもリシアに向かい、礼儀正しく自己紹介をする。
「初めまして、グリンディア様の従者を務めています、オズワルドです」
リシアは柔らかく微笑みながら「こんにちは、オズワルド」と返す。
オズワルドは少し緊張しながらも、「グリンディア様のお知り合いですか?」と尋ねた。
「そう。ワシの幼馴染♪リシア姉ちゃんは本当にすごい魔法使いなんじゃ♪」
グリンディアは誇らしげに言うと、突然指先から光線を生み出し、リシアに向かって放った。
リシアは驚いたが、即座に小さな結界を手で作り、光線を跳ね返した。
「うわっ!何をやってるんですか!」オズワルドは驚きの声を上げた。
「な?姉ちゃんならわしの光線魔法ぐらい平気じゃろ?」
グリンディアは笑いながら言う。
「な、何すんじゃ!危ないだろこのクソガキゃあ!」
リシアは顔を真っ赤にして怒鳴った。
「リシア姉ちゃんは、魔法について色々教えてくれたし、本当に天才なんじゃ!」
グリンディアは相変わらず楽しそうだ。
「天才ねぇ…また私をからかってるの?」
リシアは呆れたように言う。
「へっ?」
「アナタの気持ちはよくわかったわ。私はね、アナタと勝負するためにこの学園に来たのよ。」
リシアの目が鋭く光る。
「ええええ!?」グリンディアは目を丸くして驚いた。
「グリンディア、アナタにこの魔法学園での勝負を申し込むわ!」
リシアは挑戦的に言い放った。
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