魔法学校で最弱の僕が最強魔法少女の従者となりました

モーティー

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僕が魔王の子孫って本当…?

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数百年前――

地球は"魔王"と呼ばれる邪悪な存在によって脅かされていた。魔王は強大な魔族の軍勢を率い、人類を支配しようとした。しかし、その暗黒の時代に立ち向かう勇者たちが現れた。

魔王の城での最後の戦いは凄惨を極めた。勇者たちは疲れ果てながらも、全力で魔王に立ち向かった。

「く…人間が…我に勝てると思っているのか…」

魔王は威圧的な声を発しながらも、限界が近いことを悟っていた。勇者たちの不屈の精神には恐れを感じていたが、それを隠そうとした。

「魔王!お前は…俺が倒す…!」

満身創痍の勇者は、仲間の犠牲と未来への希望を胸に、最後の一撃に人生を賭けた。

「行くぞーーー!この攻撃に俺の全てをかける!!」

勇者の剣が魔王の防御を突破し、その腹部を貫いた。

「ぐあああ…」

魔王は力尽き、地面に崩れ落ちた。その目には敗北の色が映っていたが、かすかな笑みを浮かべた。

「くくく…見事だ…まさかこの私が敗れるとは…見事としか言いようがないな…」

魔王は死ぬ間際に最後の魔力で魔物の卵を生み出し、遠くへと飛ばした。

「だが、我が一族がこのまま消えると思うなよ…」

魔王は死んだが、彼の血はまだ途絶えていなかった。


現在――


長い月日が経ち、平凡な朝が始まる。

「起きなさい、オズワルド。魔法学校に遅れるわよ」と母親が声をかけた。

オズワルドはぼんやりとした意識の中でベッドから起き上がり、朝が来たことを感じていた。彼の家はパン屋を営んでおり、毎朝、母親は早起きしてパンを焼き、父親はそれを運ぶ。朝食はいつもパンだ。

キッチンに行くと、母親が焼きたてのパンを並べていた。キッチンテーブルに座ったオズワルドに向かって、母親が口を開いた。

「オズワルド。わかってるわよね?あなたは気高き魔王の子孫なのだから…」

その言葉には、期待と不安が滲んでいた。母親はオズワルドに何かを期待しているが、それは彼にとって重荷でしかなかった。

「わかってるよ、母さん…魔王の血族を絶やさないために、伴侶を見つけなさいってことでしょ?」とオズワルドは機械的に返事をした。

新聞を読んでいた父親が静かに口を開いた。
「母さん、オズワルドはまだ学生だよ。好きにさせてやりなさい」

父親の声には、オズワルドへの理解と優しさが感じられたが、母親は少しキレ気味に反論した。

「あなた!!オズワルドの将来のことに関しては、口出ししないでって言ったでしょ!?オズワルドには魔王の血族を守るという大事な使命があるのよ!」

母親の声には狂気じみた執念が感じられ、それがオズワルドにとって恐怖の対象だった。母親の期待に応えられなければ、彼はどうなってしまうのかと恐れていた。

父親は困惑しつつ、「で…ですよねー…オズワルド、頑張りなさい!」と話をそらした。オズワルドはため息をつきながら朝食を終え、魔法学校ギョウダへと急いだ。




――ギョウダは歴史ある名門校で、多くのエリート魔法使いを輩出してきた。

しかし、オズワルドにとって魔法学校は居心地の良い場所ではなかった。彼の魔力値は最低で、誰からも相手にされていなかったからだ。

「おはようございます…」

オズワルドが教室に挨拶をしても、誰も応じない。冷たい空気が教室を支配していた。

小さな声が聞こえた。「ビリケツオズワルド」

その言葉がオズワルドの胸に突き刺さった。彼は魔法学校で孤立していた。魔力値が全てのこの世界では、彼の存在は見えないもの同然だった。


オズワルドはいつも思っていた。

もし学校に友達ができて、なんでもない日々を過ごせたら、どんなに素晴らしいことだろう?友達同士でカードゲームをしたり、川で魚を釣ったり…。

でも、その夢が叶うことなんてあるのだろうか?

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