望まれて嫁いだはずなのに夫には恋人がいるようなので自白剤で全て白状させます

ララ

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二話

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「美味しい。」

「そっ、そうかしら??」

「ああ、美味しいよ。君が淹れてくれた紅茶を飲めるなんて夢みたいだ。世界で1番美味しいよ。」

ど、どうしたのかしら?

いつも一言二言しか話さない彼がこんなに話すなんて‥‥自白剤が効いているのかしら。

「それで?聞きたいことって?」

「あっ、あのそれは‥‥その。」

「ふふっ、かわいいね。落ち着いて。君の声ならいつまでも聞いていられるよ。」

カワイイ?かわいい。可愛いって言われた?!

うそっ?本当に????

ブワッ!!顔が赤くなる。

「ふふっ、顔が真っ赤だよ。林檎みたいだ。食べてしまいたい。ちゅっ。」

「ひやぁっ!!」

「可愛い。可愛すぎる!!」

「あっあの。なななんで??」

「なんで?君は俺の妻だろ?ああ、でも可愛すぎて困るな。可愛すぎるから他の男に惚れられたら困る。閉じ込めて囲ってしまいたいくらいだ。」

「他の男って‥‥。フレッド様には恋人がいると言うのは本当ですか?」

「コイビト。こいびと。恋人‥‥?俺に?恋人??何を言っているんだい??俺が愛してるのは君だけだよ。」

「で、でも!!噂になっていますわ!!それに‥‥見てしまったんです。あなたが仕事だと言っていた日に女性と宝飾店に入っていくところを!!これでもまだ言い逃れするおつもりですか?もし、あなたに恋人がいると言うのなら私は身を引きます。お飾りの妻として娶ったのでしょう??身の振り方は早めに決めたいので本当のことを教えてください!」

「エレノア‥‥。違う。違うんだ!ごめん。こんな‥‥誤解させてしまっていたなんて。でも信じてくれ!俺が愛しているのは君だけだよ。愛しい奥さん。」

「なっ、なにを!!だって私たちはキスどころか初夜も共にしなかったのですよ?それなのに信じろと?!私を馬鹿にしていらっしゃるの?騙せるとでも??」

「ごめんね。こんなことになるなんて‥‥。本当はサプライズにしたかったんだけど。はい。これを君に。」

「これは‥‥?」

手渡されたのはまだ加工の済んでいないブレスレットのようなもの。

「君に渡したくて準備していたんだ。幼馴染にアドバイスをもらいながら作っていたんだよ。やっぱり女性の方が感性がいいからね。それなのに君に誤解させてそんな顔させてしまうなんて。だめだなぁ。」

「こ、これ。」

「これは守護石を使ったブレスレットだよ。最高品質の魔石に守護魔法がかかっていて君に危険が訪れた時俺がそばに居られなくても守れるように身につけて欲しい。」

「ぁ、‥‥。でもなんで?じゃあ‥‥。」

「すまなかった。俺は君に一目惚れしたんだ。それから君を見かけては遠くから見たりして君の内面まで好きになった。でも恋愛をしたことがなかったからどうしたらいいかわからなくて‥‥。この婚姻はもちろん俺が望んだものだ。」

「惚れっ!好きって。でもならなぜ初夜の日は?」

「怖がらせたくなかった‥‥。辺境伯家からの婚姻なんて君では逆らえない。だから心を通わせてからって思っていたんだけど‥‥それが君を不安にさせていたんだね。」

「わっ、私‥‥確かに不安でしたわ。顔も知らない方に嫁ぐのは。でも初めてあなたを見た日、私も恋に落ちましたの。それだけじゃない、領民のために心を砕く姿も、剣を振るい戦うその勇姿も。あなたの内面まで好きになっていた。だからあなたに恋人がいるかもしれないって‥‥悲しかったし悔しかった。」

「エレノア。改めて言わせて欲しい。
愛している。世界で誰よりも幸せにすると誓う。だから結婚してください!」

「私もフレッド様のこと愛しております。よろしくお願いします。」

「エレノア!!」

がばっ!!

ぎゅーぎゅーと抱きつかれてたくさんのキスを浴びせられる。

両思いだったなんて‥‥。

その夜は一晩中語り合って次の朝部屋を出ると使用人たちの生暖かい視線が‥‥居た堪れない。

後から聞いたのだが使用人は私の思いもフレッドの思いも知っていたらしい。

だからこそようやく結ばれた2人を祝福しますって言われた。

自白剤を使った日以来フレッドは人が変わったように暇さえあれば愛を囁くようになった。

もともと初恋に臆病になっていただけで話が大好きな人だったらしい。

それからたくさん話して愛し合って子宝にも恵まれて私は両親のような素敵な温かい家庭を築けた。

今日も旦那様は最高にかっこよくて優しくて幸せです!

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